不本意な形で《上》を知ると、ガッカリする。

井の中の蛙大海を知る。

「もっと広い世界に行きたいな」と思っているならいいが、それ以外だと絶望する。

手取り30万だとする。
別に不満は無いし、なんなら周囲より高いと思っている(実際給与としては高めだ)。
しかし手取り70万の人間を知った瞬間から、手取り30万がめちゃくちゃ少なく感じる。
やっぱり可視化されるとキツいと思う。プライバシーの面で実現することはないだろうが、人の頭上に年収が表示されるようなシステムが出来たら、日本人の幸福度は一気に下がるだろう。知らぬが仏。だから芸能人は給与のことになると口ごもるんだろうな。

知らなきゃいいのに、SNSは可視化されるので不幸メーカーなのだ。
noteではたまにスキ1000〜3000連発しているユーザーを見かける。フリーザ様並の戦闘力。そうすると、自分のスキ1とか2とかがちっぽけに見える。他のユーザーの10とか30を見るより絶望的だ。あんなの努力や継続じゃ追いつけない。
やっているゲームなどでも、ネットで上のランキングを見せつけられるとやる気を無くすことがある。ちょっと上くらいなら追いつけそうなので、逆にやる気が出そうだが、差が圧倒的過ぎて、努力では追いつけそうもないからだ。

それまで幸福度が世界トップだったブータンは、国民がネット環境を手にして周辺国の生活を知ったことで幸福度が落ちた。

割合の問題でもある。
「あの人は50年に1人レベルの出世だそうだよ」と言われれば、手取り70万だろうが2億だろうがあまり気にならない。周りがみんな手取り70万だったと知ったならば、手取り30万社員は出社拒否するだろう。
これは僕で言うと恋愛だろう。彼女や恋愛なんて、芸能人やアニメのキャラクターとかがするものだろうと思っていたが、旧友に勧められてやったインスタ(不幸生産機！)で、かつての同級生がほとんど彼女を作っていたという事実を知ったことで、自分は(悪い意味で！)特殊なんだなと思い、人とは関わらなくなった。努力でなんとか出来ないだろ。障害持ちだぞ。
noteを続けられているのは、周りの人間に、フリーザ様レベルのスキ記事が、そんなにないからだろう。
僕よりひと回り上ぐらい。
僕が農家のおじちゃんなら、周りはミスターサタン並の戦闘力。状況によっては勝てる。
だがこれで、周りがみんなフリーザ様レベルのスキをドッカンドッカン出していて、僕だけ農家のおじちゃんレベルのスキならば、辞めている自信がある。ちなみにXはそれが原因で辞めた。でけえ気を持った奴がゴロゴロ居すぎて、悟空でもなければワクワク出来んかった。しかもnoteなら多少承認されるが、Xだとママ活の詐欺アカにしかいいねされないのでアホらしくなった。

最上にいる人間というのはごく一部なのだろうが、そのごく一部の人間が目立って見えるので、さもそれが一般的かのように思える。
アイドルのルックスに価値があるのは、そのルックスが貴重だからだ。
日本男性のデフォルトが、サイヤ人の下級戦士のように、みんな同じ吉沢亮だったら、今芸能界で活躍している吉沢亮は出世出来ていないだろう。新垣結衣でも同じだ。みんな新垣結衣なら、その顔に価値は無いし、SNSをやらなくて、私服のダサい今の新垣結衣よりインスタグラムをやっていて、私服もイケてる新垣結衣の方が出世する。
そこら辺の石が全部ダイヤモンドや純金になったら、ダイヤモンドにも純金にも価値が無くなる。
だから負けること、劣ることにも、意味と逆価値はあるのだ。 

ただ、劣るとコンプレックスを刺激される(だから社会は成長するのだろうが)ので困る。
自分は気にしていなくても、周囲がそれをやっていることで気にしてしまう。
自動車免許に興味はなかったのだが、周りが取り始めるので、自分も取ろうと思った。
酒も同じ理屈だ。
タバコはもう《タバコ悪》の風潮だったので、吸っている人は珍しかった。周囲が吸っていたら、自分も吸っていたと思う。

noteはスキ1000とか3000とかを見て「やる意味あるのかな？」と思ってしまった。
スキ1000がフリーザ様なら、僕はラディッツに殺された農家のおじちゃんだろ。いや、おじちゃんでも5あるのな。僕はスキでいったらゼロの時があるから。

ずっと井の中の蛙でありたかった。