《前編》魔道祖師完結後墨香銅臭インタビュー記録《有志翻訳》

引用されることが多いインタビューですが全文翻訳されているものは見かけなかったので有志翻訳しました。インタビュー中で、キャラクターがあだ名で呼ばれているところは全て名前に統一して訳しています。
元のインタビューの書き起こしと動画は下記サイトに無料で公開されています。

全文は長いため、前編、後編に分けています。興味のある方に読んでいただければ幸いです。


2016.3.6
墨香銅臭インタビュー

(冒頭略)

女性司会:皆さんこんにちは、「耽美事記」の番組へようこそ。司会の小Rです。

男性司会:皆さん、出来たて新人の肉食系司会者、Tityです。初めての司会を務めますので、皆さんよろしくお願いします。

女性司会:新しい相棒を大歓迎します。ようやく前の情熱を秘めた静かな男から解放されて、とても可愛くて新しい共演者が加わりました。初めて司会者を務める方なので、寛容に、励ましと期待をお願いします。

男性司会:皆さん、ありがとうございます。小R姉さん、ありがとうございます。

女性司会:パチパチパチパチ(拍手)

男性司会:今日のゲストについて、小Rはどんな印象を持ってる?

女性司会:さっきまで私を小R姉さんと呼んでたのに…

男性司会:うん…

女性司会:一瞬で態度を変えるなんて、Tity!

(省略)

男性司会:今日のゲストについて、小Rさんはどんな印象を持ってますか?

女性司会:うーん…今日のゲストは、デビューしてたった一年半で、二作しか小説を書いてないけど、上達が早くて、明らかに才能と機知に富んだ人です。だから、短い間に多くの読者から愛されるようになったのでしょう。今日のゲストをお招きできてとてもとても光栄です、ゲストは墨香銅臭先生です。皆さん、歓迎してください!

墨香:皆さん、こんにちは、墨香銅臭です。

女性司会:そう、そう、初めて番組を聞く読者や墨香さんのコラムを読んだことのない読者に説明しましょう。この「臭」は「シウ」と読みます、「チョウ」ではないです(笑)
(※「臭」には二つの読み方があります。シウ(xiu):におい/チョウ(chou):悪臭)

女性司会:私たちからは、どう呼ばれるのがお好きですか?

墨香:墨香で構いません。

女性司会:はい。確か、読者の中には「秀秀(シウシウ)」と呼ぶ人もいますよね。

墨香:ええ、なぜだか分かりませんが、おそらく以前コラムで、どんな名前で呼んでも良いけど、「臭臭(チョウチョウ)」とは呼ばないで、と書いたからかもしれません。それから「秀秀」と呼ばれるようになりました。

女性司会:「秀秀」はとても可愛いですね、ええ、「秀秀」はとても可愛いです。

(省略)

女性司会:この名前の正しい発音を伝えるために、今夜は「秀秀」と呼ぶことにしましょう、どうでしょうか?

墨香&男性司会:わかりました。

女性司会:先生はなぜ「墨香銅臭」というペンネームをつけたんですか?

墨香:それは大学に進学しようとしたときの話です。私は文学専攻に進みたかったのですが、母が許してくれず、絶対に経済学専攻を選ぶように言ったので、私は不満でした。それで母はこう言ったんです。「経済学専攻を選んだとしても、大学に行きながら小説は書けるでしょう。そうすれば、片手で墨香、片手で銅臭をつかめる」そのとき、母が私にこの名前をつけてくれました。だから私はそれ以降、そのままこのペンネームを使うようになりました。

女性司会者:ええっ、ちょっと聞き間違えたかもしれません、あなたのお母さんがつけたんですか?

墨香:はい、そうです、私の母です。

女性司会者:わあ、それならお母さんはこのペンネームで小説を書き始めたことを知ってるんですか?

墨香:母は…少しは知っていますが、あまり詳しくは知らせていません…恋愛小説かそうでないかも正確には伝えていません。

女性司会:はははは、もしある日、読者の一人が突然母親を自称するコメントを残したら…先生は間違いなくびっくりするでしょうね…はははは、そうならないよう願いましょう。

墨香:そうはならないでしょう、母は本を読むのがあまり好きではありません。

女性司会:先生、あなたはご自分の性格が、自分が書いたどのキャラクターに一番似ていると感じますか?先生の創り出した人物たちはとても鮮やかで、魅力的です。

墨香:…誰とも似ていない、一人も似ていないです…

女性司会:自分の性格の一部をキャラクターに組み込まないんですか?

墨香:組み込まないです、私は自分の性格がかなり掴みどころのないタイプだと感じています。その時々である性格、ある気分があるような感じで、自分がどんな人なのかはっきり言うのは難しいです。だから、各人物、各キャラクターに少しは影響を与えているかもしれませんが、あなたが言うように本当に似ている人物というのなら、そういう感覚は持っていないです。

男性司会:では先生、初めてBLに触れたのはいつですか?何がきっかけだったんですか?同人かそれとも別の何かですか?

墨香 :同人です、中学の時に見ていたアニメで、『D.Gray-man』というアニメがあったんです。それがとてもとても好きで、関連する掲示板を見て楽しんでいたら、あるときうっかりある…そういう小説を読んでしまったんです。ちょっと読んですごく面白いと思ったのですが、後でなんだかおかしいなと気づいたんです。どうして男の主人公と、男のサブキャラクターが一緒になったんだろう…そうして、新しい世界の扉が開かれたわけです。

男性司会:多くの先生たちが同人からBLを読み始めるんですね…じゃあ先生は、初めてBLに触れたとき、どうして小説を書きはじめようと思ったんですか?

墨香:それは…ほかの人の小説が本当に面白かったので、それからすぐ自分でも書いてみようと思ったんです。

女性司会:先生が小説を書きはじめたのはいつ頃ですか、つまり筆をとり始めたのは?

墨香:オリジナルのBL小説という意味では…書き始めたのは、『渣反』からです。

男性司会:先生は、作者とファンはどのような関係を維持すべきだと考えていますか?例えば…先生がひたすらに文を書き続け、(読者が)コメント欄で賛辞を送るのがいいですか、それとも作者と読者が比較的親密にコミュニケーションをとるのがいいですか?

墨香:個人的な感覚では…簡単な関係の方が良いと思います。私が小説を書き、あなたは好きなら読む。好きでないなら読まずに円満に別れる。簡単な方が良いです。

男性司会:とてもさっぱりしていますね…では先生は、もし読者ともっとたくさんコミュニケーションを取れば、小説を書くのに役立つと思いますか?

墨香:思いません…執筆は個人の作業なので、時には読者との多くコミュニケーションをとると逆効果になることもあります。なぜなら「読者が千人いれば、千人のハムレットがいる」というように、ある読者はあなたの書き方が好きでないかもしれず、こう要求してくるかもしれません。「先生、こう書いてほしいんですよ…」「先生、このキャラクターが好きじゃないんです、こんな風に書かないでください」、そうして皆のこういった声が多くなると、あなたは一体どれを聞くべきなのか、一体あなたが小説を書いているのか読者が書いているのか分からなくなってしまいます。だから私はやはりこの方面でのコミュニケーションはできるだけ穏やかにして、読者の影響を受けすぎない方が良いと思います。

女性司会:私たちも知っている通り、『魔道祖師』連載期間はちょうど先生のおっしゃったような状況が割とはっきりとありましたよね。読者の議論などが先生の執筆に影響を与えたことはありますか?このような状況になったとき、先生はどうやって自分を調整していますか?

墨香:影響がなかったとは言えません。自分を調整する方法は、ただコメントを見ないようにするしかありません。コメント欄を閉鎖して、ブロックして、小説を書き、コメント欄を見ないようにします。

女性司会:そうすれば更新に影響はありませんでしたか?

墨香:うん、時々は影響を受けることもありましたが、何といっても小説を書き続けなければなりません。

男性司会:では『魔道祖師』が完結して、先生の今の生活はどんな感じですか?

墨香:通常の先生リズムに戻り、ついに12時前に眠れるようになりました。

男性司会:先生の体調は大丈夫ですか?『魔道祖師』の連載中に腰痛があったそうですね。

墨香:ああ、それは単純に座りすぎが原因です。長時間座りすぎました。私の執筆速度はどちらかというと遅く、1時間におよそ800から1000字程度です。遅いときには500字、速い時には1300字くらいです。ですから…もし毎日更新しなければならないとしたら、約3〜4時間座らなければいけません。だから…仕事も座りっぱなし、執筆も座りっぱなしです。そうすると…椎間板ヘルニアなどになってしまうんです。だから、一定の時間座った後は、立ち上がってちょっと歩くべきです。これは作者も読者も気をつけなきゃいけないことです。

女性司会:先生は、執筆中は楽しくて充実していると感じますか、それとも実際のところはかなり疲れると感じていますか?

墨香:疲れます、とても疲れます…

女性司会:それだけですか、ははは。

墨香:それだけです。

女性司会:まだたくさん不平や不満を言いたそうに見えます。

墨香:まあ…そういう苦労話はこういうインタビューで言うべきではないでしょう。

女性司会:ここでお伺いしますが、『魔道祖師』の後半には議論や論争があったかもしれませんが、それはプロットの改善や完成に影響を与えましたか?当時、多くの読者が、エピソードやプロットが削除されてしまうのではないかと心配していました。また、この小説は先生のプロットの通りに完成したのでしょうか?

墨香:プロットは基本的に元のままです、元のものに従って書き進めました。ですが、細部には確かに影響がありました。あとがきにも書いたように、細部まで美しい文章を書くには、時間とエネルギーをかけて細かく磨く必要があります。プロットはやはりプロットであり、簡略的なものでしかありません。

女性司会:先生は以前に、自分が書いた2作のオリジナルBL小説がこれほど人気になると予想していましたか?特に『魔道祖師』です。あとがきで、最初は人気のある設定を取り入れずに小説を書いたらどうなるか試したかったと書かれていましたね。そして、書いた小説はあまり人気が出ないかもしれないと思っていたとも書かれていました。

墨香:いえいえ、まったく予想していませんでした。『渣反』を書き終えた後、最初は妖怪や神仙が登場する霊異ジャンルの現代BLを書こうと思っていました。ですが、霊異ジャンルも人気がないと聞いて、それならもう一度古風耽美を書くのがいいだろう、人気のある設定も加えようと思いました。その結果ご覧のとおり、転生という人気のある設定を加えましたが、基本的に爽快なポイントがありません、私もどうしてだかわかりません。もともと、復讐ものの転生小説を書くつもりだったのですが、なぜかプロットを変更すればするほど、復讐ものの爽快な小説ではなくなっていきました。

女性司会:では、いまのこの小説はどのようなカテゴリーに分類されると思いますか?

墨香:この小説をどう分類するかよくわかりませんが、おそらく仙侠…恩讐の入り交じった仙侠小説でしょう。

女性司会:私は復讐の名を借りた恋愛小説だと感じています。

墨香:それもいいですね、なかなかいいです。

女性司会:この1年半、ちょっと文学的な話になりますが、先生の心の旅路はどのようなものでしたか?まず晋江文学城に登場して『渣反』を書き、そして『魔道祖師』を書き、今ではあなたの作者アカウントをお気に入り登録している人数はもうすぐ1万を超えます。この経過で、あなたはどんな気持ちでしたか?

墨香:うーん…特に特別な気持ちはなかったです。この過程ではずっと…更新するたびに忙しくて追いつめられるような気持ちだったからです。ああ、今日はどう更新しようかとか…更新しない日は三次元の用事で忙しかったりで、あまりそういうことを考える余裕がなく、自分の心の旅路を振り返る余裕があまりありませんでした。

女性司会:ははは、なるほど。私は、この特に芸術的な質問を聞いて、このインタビュー全体をテレビ番組の『芸術人生(※中国のテレビ番組)』のようなものにしようと思っていましたが、実際にはそうならないと気づきました。分かりました。

男性司会:先生はBL小説のどのジャンルや攻受属性が好きですか?あなたの作品は古風耽美で、少女攻めや忠犬攻めですが、こういう属性がお好きなんですか?

墨香:いいえ、そういう方面に好みが偏っているわけではありません。なぜ古風耽美ばかり書いているかというと、最初の作品が古風耽美だったから、二番目の作品も古風耽美にするのがいいだろうと思ったからです。もし二番目の作品を現代耽美にしたら、古風の読者がついてこないかもしれないからです。簡単に考えてみましたが、特別な好みはありません。基本的にどのジャンルでも読めますし、どの攻受属性も読めます…いや、冰山受け(※氷のように冷たくて高慢な性格の受け)の作品は読めません。

男性司会:それでは先生、あなたが好きな作家はいますか?ずっと好きで追いかけていて、毎日更新を待っているような作家はいますか?

墨香:私の好きな作家、一番好きな作家は、作品を追いかけているわけではありませんが、木原音瀬という作家です。

女性司会:それは…その作家はなんだか印象的ですね…

墨香:日本のBLです。

女性司会:日本の?

男性司会:なんだか以前、ちょっと見たことがあるような…。

女性司会:なんてこと、少しがっかりしました、もしかして彻夜留香たちの世代の人は私だけなんでしょうか?その世代の入門的なBL小説の話なら興奮して話せますけど…でも先生と私の間にはすでに大きな世代差があるみたいです。Tity、Tity…

男性司会者:そうですね、これも…以前に彼女の小説の…タイトルを見たことがありますが、中身は読んだことがありません。

女性司会者:そうそう、私もそのタイトルは見たことがあります。

男性司会者:ならあなたの時代のってことですね。

女性司会者:私の時代の?!

(省略)

墨香:きっと世代の問題だと思います。

女性司会:そうですね、それに読書範囲の問題かもしれません。私が日本の作品をあまり読んでいないせいかもしれません。当時追いかけて読んでいたのは台湾の作品、拓人や凌豹姿が書いた入門的なBL小説でした。

墨香:私は比較的二次元指向なので、日本の作品を少し多く読んでいるかもしれません。凌豹姿の小説も読んだことがあります。

男性司会:先生、いちばん好きな小説をいくつかおすすめしてください。BLでも他のジャンルでもいいですよ。

墨香:BLの好きな小説はたくさんありすぎて、今すぐおすすめしてと言われてもすぐには思いつきません。

男性司会:思うようにひとつひとつ上げてください。

墨香:BLなら、木原音濑の『期限切れの初恋』です。他のジャンルなら、ちょっと本棚を見てみましょう。他のジャンルなら、尾鱼先生の『怨気撞铃』です。妖怪や神仙が登場する霊異ジャンルですね…

女性司会:他にも何かありますか?

墨香:うーん…何も思い浮かばないみたいです。

女性司会:わあ、先生、そんなことないでしょう。凌豹姿の系列作品や日本の漫画やBL作品だけを読んで小説を書き始めたわけではないでしょう。きっと、大量の本やBL作品を読んだ後に筆を取ったのではないかと思います。

墨香:大量言うほどではないですが、少なくとも晋江文学城の小説は大量には読んでいませんでした。比較的たくさん読んでいたと言えるのは、BL作品だと、風弄先生や蓝淋先生の作品です。

男性司会:それは初期の作家ですね…

墨香:そうです、そうです。初期の作家で、すごく人気がありました。学校に通っていた時、クラスメイトがこっそり学校で読んでいたのを私がうっかり見つけてしまいました。

男性司会:私も何作か読みました、すごく好きです。

女性司会:先生が晋江文学城に来た後は、ネット小説とはいえ風弄や蓝淋の時代とは違ったでしょう。あの時代にはVIP制度がありませんでした。先生が来た時の晋江文学城はVIP制度があって、日々更新しなければいけなかったかもしれません。ストーリーの爽快ポイントや紆余曲折、テンポなどに関わらず、このVIP制度に適応する必要がありました。当時の晋江文学城の状況や人気のあるテーマについて、調べていましたか?

墨香:あまり慣れていません。調べたこともありません、ただ小説を一、二作読んで、そのテーマがとても面白いと感じました。テーマが斬新で、このジャンルの作品は荒削りなものが多かったので、これなら比較的人気が取れるんじゃないかと思い書き始めました。調査のようなものは、あまり行っていません。

男性司会:それでは先生、他の三次元の本のおすすめはどうでしょうか?

墨香:三次元の本なら、多すぎます。多すぎてすぐには思い浮かびません。

女性司会:私は先生がとてもとても幅広いジャンルの本を読んでいると知ってますよ。恋愛小説から文学理論まで、あらゆるジャンルを読んでいるんでしょう?

墨香:ええっ、小R姉さんはどうして知ってるんですか…

女性司会:小R姉さんには独自の情報源があるんです。

墨香:確かに、幅広く本を読んでいます。

女性司会:だから、あなたが古い時代の細かい描写や風習などに興味があるのは、幅広く本を読んでいることと関係があるかもしれませんね?

墨香:ある程度はそうですね、そういう方面に比較的興味があります。できるだけ詳しく描写をすれば、読者に臨場感や現実感を与えられるのではないかと思います。

女性司会:インタビューを聞いている皆さんに、先生が幅広く、雑多に本を読んでいると直感的に伝えるために、三冊本をおすすめしてください。先生がとても有意義だと思う本を、どのジャンルでもいいのでお願いします。

墨香:有意義な本…『中国建築図解辞典』、これはとても面白い本です。図と文章が書かれていて、資料もたくさん載っています。

女性司会:それでは、二冊目は?

墨香:ロバート・マッキーの『ストーリー』です。正確なタイトルは忘れましたが、映画制作や脚本制作の原理などが書かれていました、どちらにせよ作者はロバート・マッキーでした。(『ストーリー ロバート・マッキーが教える物語の基本と原則』)

女性司会:では、三冊目は?きっともうすでに皆さん、言葉を失っていることでしょう。

墨香:三冊目…三冊目…本棚を見てみましょう。本当に自分がどの本を読んだか思い出せません…『群集心理』、『群集心理』です。

女性司会:え?それのタイトルは分かりました。ですがこれは…何についての本ですか?

墨香:ギュスターヴ・ル・ボンという人の、大衆心理について研究した本です。どうしてこんな本を紹介させるんですか、こんなのを紹介したらまるで私がずっとこういう本を読んでいるように思われてしまいます。実際はそうじゃなくて、私が比較的よく読むのは色々な大したことのない本なんです。

女性司会者:わかりました、それなら他の本もおすすめしてくださいよ。先生は「マスターオブスキル 全職高手(原題:全职高手)」も読んだことがあるんじゃなかったですか?

墨香:ああ、少し読みましたが、長すぎて最後まで読み切れませんでしたが、とても面白かったです。でも、あまりに長すぎました…とても長い本を読む時は、私は紙の本を買わないと読み切れないと思いました。

女性司会者:そうなんですね、先生の読書の話題では、先生の好みが感覚的に分かったような気がします。では先生は、読書や小説を書く以外にはどんな他の興味や趣味がありますか?

墨香:映画を見ること、アニメを観ることです。

女性司会者:それから、他にも何かありますか?ゲームとか?

男性司会者:消消乐(※中国の落ちゲー)?

墨香:いえ、ゲームはしません。ああ、落ちゲーですね。『剣網3』(※オンラインゲーム)にすらハマらなかったのに、消消乐は遊びだしたら止められません。『剣網3』は、プレイしてた当時のレベルは18でした。

女性司会者:先生、消消乐のレベルを勇敢に暴露しちゃってください。今のですよ。

墨香:170以上かな、私はお二人に比べたらしょぼいって知ってますよ。

男性司会:そんなことないですよ先生、私はやっとレベル70になったところです。

女性司会者:はは、レベル625の私が自慢げにあなたを見てますよ。

墨香:わあ…

女性司会者:私の目標は三か月以内に…いや、きっと三か月もかかりませんね、最上位になることです。本当に、このゲームはすごく中毒性があります、本当に。皆におすすめできます。

墨香:本当に中毒性があります。一時期は、一時期はですけど、目の前に凹型や凸型のものがあると、並べて横一列か縦一列を作りたくなりました。それに、夜寝る前にはいつもあの「デンデンデンデン」という音楽が頭の中で鳴っていました。

男性司会者:先生、ほかにも何かおすすめのものがあれば、思う存分話してください。オリジナル同人作品や映画、ゲーム等なんでも宣伝できるので全部話してください。

墨香:『人渣反派自救系统』の第二刷です。購入を希望してくださる方は、微博で『我们工作室S』を検索してください、サイトのトップに予約リンクがあります。よろしくお願いします。

男性司会者:はい、『我们工作室S』でゲットしてください。

女性司会者:予約はいつまでですか、先生?

墨香:3月28日です。

女性司会者:はい、来週中にこの番組を公開するように頑張ります。きっと間に合うはずです、間に合います。最後に秀秀のために高い要求がかかりましたね。

女性司会者:先生の小説を書くインスピレーションは、だいたいはどこから来るんですか?とても詳しくプロットやアウトラインを書いたり、材料やストーリーを準備したりするんですか?

墨香:プロットは詳しく書きます。インスピレーションは特定の何かから来るわけではありません。まずキャラクターの性格を決め、それから彼らの間でどのような火花が散るか構想を練ります。

確実なのは、もし…一度2人のキャラクターを確立し、彼らのさまざまな設定を整えたら、彼らは自分で頭の中で動き出し、自分で対話できるようになります。

女性司会者:これはあとがきにも書いていたことですが、まだもう少しお伺いしたいです。どうして2人のとてもとても極端なキャラクターイメージ、蓝湛と魏无羡を創ろうと思ったんですか?2人は非常に極端です。

墨香:それはですね…いつも私は小説、恋愛小説を読んでいる時に、ヒロインの周りにはいつも高貴で冷たく美しいキャラクター(高貴冷絶)と、悪のカリスマ系(邪魅狂狷)のキャラクターがよくいると感じていました。最初は何も思っていませんでしたが、腐女子になってからは、この二つのタイプのキャラクターをカプにしたいといつも思っていました。長い間やってみたかったんです。

男性司会:先生は自分が書いた中で一番好き、または満足しているキャラクターは誰ですか?沈清秋、洛冰河、または藍忘機か魏無羨ですか?それとも、例えば阿箐のような脇役のキャラクターですか?

墨香:今はすぐには思いつきませんが、選べません。もしかすると今後、一番好きで一番満足しているキャラクターが書けるかもしれませんね。でも今は、どのキャラクターが一番好きで一番満足しているかを選ぶのは難しいです。

男性司会:それでは、先生が一番好きで一番満足しているキャラクターを書くのを楽しみにしています。先生はどのプロットのシーンに一番満足していますか?

女性司会:書いていてとても楽しく、とても筆が進み、すぐに読者たちが大きな衝撃を受けて、コメント欄に転がり回る声が聞こえるだろうと思ったところです。

墨香:とても筆が進んだのは、『草木』の章です。当時は、読者たちが転げ回り衝撃を受けるだろうとは思っていませんでしたが、あの時は確かに最高の状態で、だいたい、私の遅筆な速度でも、一日9000字くらいは更新できました。間違いなく、山河を呑むような勢いで書いていました。

男性司会:『草木』の章って…

女性司会:山河を呑む勢い…

墨香:もちろん、それはただの感覚です。

女性司会:ちょっと、ちょっと…ちょっと待って、10秒待ってください。『草木』の章ってどの章ですか。

墨香:義城篇です。

女性司会:わあ、義城篇、義城篇のことを言っているのは分かります。でも、その章は泣きたくなるような章ですよね。

墨香:いえいえ、そうでもないですよ

男性司会:本当に泣きたい気持ちになりますよ、先生

女性司会:そうじゃないですか、盲目の阿箐や、あの薛洋と悲痛な暁星塵の章でしょう?

墨香:そうです、そうです。

女性司会:泣きたくなるところじゃないですか?!作品全体で一番悲痛な部分じゃないですか?!

墨香:どうしてか分かりませんが、読者が本当に悲痛だと言う時でも、私が自分で書いている時には、本当に何も感じていません。感じないんです。

男性司会:私の友達はその章を読んだとき、地面に転がって、ずっと泣いてましたよ。

女性司会:感じない…

墨香:感じない、感じないです。

女性司会:それはないでしょう、先生。もし感じないというのなら、それは先生の衝撃を受けるポイントや悲痛と感じるポイントの基準がとても高いからですか、それとも先生は全体的に…先生、どう思いますか?

墨香:そうかもしれません、その可能性もありますが、でも、私は小説を書く時にどちらかと言うと距離をおくほうだからかもしれません。自分を完全に没入させず、どちらかというと距離を置いているので、そういう悲痛な感覚を身をもって感じられない、感じていない可能性があります。

女性司会者:わあ、先生は神の視点から書いているわけですね。ほかの作家のような、書きながら泣くような書き方ではなく、ちょっと学術的すぎるような書き方かもしれませんね。

墨香:書きながら泣く…私にとってはあり得ない、あり得ないことです。自分が書いたものを読むと、他の人がこんな風に感じているかは分かりませんが、少なくとも私は自分で書いたものを読んでも何も感じません。

女性司会者:何も感じないんですか?自分であの章を読み返してみても…

墨香:あまりないです、ほとんど感じません。私はただ、あの部分はとてもよく書けているとか、あまりよく書けていないとか、詳細が書ききれていたかどうかとかは言えるのですが、でも…感情移入するのは難しいです。

女性司会者:わあ…先生は実は、私がインタビューしてきた作家の中では、感覚がどちらかというと不思議なほうかもしれません。いえ、不思議というよりは、ちょっと独特と言った方がいいですね。ある先生は、書きながら泣き、書き終わった後で読み返すとどうしようもなく感動すると言っていました。

墨香:どちらかというと感受性が強いのかもしれませんね。

女性司会者:そうですね。先生が言っていたのは、それも悪くないのですが…でも本当に感じないのですか、先生の文章を読んでこういう没入感を感じないのはとても珍しく不思議なことに感じます。では先生が一番書いていて楽しく得意なのはどういうストーリーですか?ついでに、一番書いていて詰まるのはどういうストーリーですか?ちょっと例を挙げて教えてくれませんか?もしかして、悲痛なストーリーですか?

墨香:一番楽しいのは…二、三人のキャラクターの間で比較的強烈な矛盾と衝突が爆発するシーンと、いちゃついているシーンです。一番書いていて詰まるのは、大きな戦争が起こるシーンで戦いの描写です。

女性司会者:先生、例を挙げてみてくれませんか?例えば、あるシーンを書いている時、特に順調だと感じる瞬間です。今日はもともと1時間に800字書いていたのに、急に1500字、2000字に加速するようなことはありますか?そして、どの大場面を書いた時に先生は特に詰まりましたか?

墨香:特に詰まった大場面は…ああ、全部の大場面で特に詰まりましたね。それから、書いていて比較的楽しかったのはあの回想シーン、魏無羨と藍忘機たちの子供の時のシーン、十代の頃に一緒に雲深不知処に通っていたシーンは、書いていてとても楽しかったです。

女性司会者:わあ、確かにそのシーンはすごくすごく萌えました。私としては…あのシーンが全文の中で一番幸せにさせてくれる時だったと思います。

墨香:そんなことないですよ…

女性司会者:それからあまりたたないうちに、もう義荘の話ですよね。

男性司会者:先生はちょっと独特な執筆方法に挑戦するのがお好きなんですか?『魔道祖師』と今の他の多くの作品を比べると、『魔道』は回想シーンが特に多く、その回想シーンは特に印象深くて臨場感があります。

墨香:これは全然、独特な執筆方法ではないと思います。もし皆がこれを新鮮に感じたとしたら、それはただ元々BL小説ではこういう書き方をする人が少なかっただけだと思います。私が独自に考えた書き方ではありません。

男性司会:それでは先生は今後も独特な書き方に挑戦する予定はありますか?

墨香:将来的には…できるだけたくさん挑戦してみたいです。どちらにせよ、何度も同じような書き方をするのはあまり好きではありません。

女性司会:ああ、それはあとがきでも言っていたことですね。基本的にどの作品も目的を持って書いている、というお話でしょう。自分を何かの方面で鍛えたり、何かを試したりするのは、こういうことですか?

墨香:何かを試す?ええ、確かにその通りです。

女性司会者:それでは、『渣反』と『魔道』では、それぞれ最初の創作目的は何ですか?私が今言ったようなこと以外に、試しているというのなら、読者に伝えたい考えや理念のようなものがあったのではないでしょうか。

墨香:創作の目的…考えや理念といったことについては、聞かないほうがいいと思います。なぜなら、もし作者が作品の中で考えや理念を表現したのなら、読者が作品を通じてそれを感じとれるのがいちばん良いと思うからで、「あなたのこの作品はいったい何を伝えたいのですか?」と直接聞くものではないと思います。それは食事を楽しむのと同じで、みな自分で咀嚼した味があるものではないでしょうか。他人が咀嚼したものを食べるべきではありません。

女性司会者:大切なのは、読者が千人いれば、千人のハムレットがいるということですね。とはいえほかの作家は、読者が自分の本当に伝えたかったことを理解しているか気にしているんじゃないでしょうか?例えば、一部の作家は小説の後半で創作意図を明らかにすることがあります。非天夜翔の『二零一三』は小説の後半でようやく、ああ、もともとの創作意図は環境保護、環境保護というテーマを表しているのだなとわかりました。あの時私は跪きました。先生はこういうことはありませんか?

墨香:ありません、ただ成り行きに任せて書いています。

男性司会:多くの人が評価していますが、『魔道祖師』は『渣反』に比べてさまざまな点で進化していると感じます。例えば、キャラクターの造形、プロットの構築や、思想と理念側面などです。どうして短い期間でこれほど進歩したんですか?

墨香:それほど大きく進歩した実感はありません。ただ、比較的詳しくプロットを書いたからかもしれませんね。

女性司会者:先生に称号を授けましょう、「予定調和を崩す先生」です…プロットはきっとじっくり考えられたとのだと思いますし、少なくとも『渣反』のプロットよりもはるかに複雑だと思います。例えば二つのストーリーを並行させるような、新しい要素も試しているからです。それに感情面でも、過去と未来が交錯する要素があるので、『渣反』よりも読んでいて充実しているし、より面白くて感動的です。

墨香:『渣反』のプロットはだいたい500字くらいで、『魔道』のプロットはだいたい1万字くらいです。

女性司会者:そうですね、きっとそれが理由でしょう。ようやく本当の理由が分かりました、これでがっかりしなくてすみます。先生はようやく答えをくれました。もう予定調和を崩す先生ではありません。とても感慨深いです。

墨香:各章の詳細なプロットを書くこともありましたが、基本的には全体のプロットに従って書き進めました。

男性司会:先生は本当に真面目ですね

女性司会:実際、先生の創作姿勢は、経験にかかわらずとても成熟していると思います。だから作品もだんだん成熟していっているのでしょう。では、先生は小説を書いている時にいつも詰まることはありますか?

墨香:いつも、いつもです。

女性司会:小説を書くのに詰まった時はどう対処していますか。

墨香:苦しい思いをして書くか、苦しい思いをして休みをとります。

女性司会:先生、一番長く詰まったときはどれくらい時間がかかりましたか?

墨香:一番長く詰まった時間…『魔道祖師』のプロットに詰まったときで、一年ほどかかりました。

女性司会者:ええ?先生、『魔道祖師』のプロットはいつから構想を練り始めたんですか?先生は晋江文学城ではまだ一年半しか活動していないと思います。

墨香:うーん…よく思い出せませんが、おそらく、最初に文案を練り始めたのは二月ごろだったと思います。その時はまだ、復讐ものの爽快なストーリーを書こうと考えていたのですが、どうしてか、6月ごろにはプロットがだんだん復讐ものの爽快な話から逸れていってしまいました。具体的にいつ頃から変えたのかは忘れてしまいましたが、少しずつ変えていき、今のような形になりました。とにかく、この過程全体ではとてもとても行き詰まる感覚があり、筆を進められませんでした。

女性司会者:それでは、何が、または誰がきっかけで、急に書き始めようと決めたんですか?作家の中には、プロットを完成させた後だと、物語はすでに自分の頭の中で一度終わっているに等しいと感じて、もう熱意がなくなり、筆をとる気がなくなる人もいます。

墨香:筆が動かないわけではありませんでしたが、プロットを書いたときからすでにこう思っていました。この物語を書くのはきっと難しいだろう、たくさんのうまく書きにくい部分があるし、回想シーンもとても多い。書いた後はきっと、私は当時は、きっと人気が出ないだろうと思っていました。だからずっと書く気が起きず、ずっと詰まっていました。それに、ずっと完成できない部分があったし、プロットのボス戦に至る部分も詳細を決められていませんでした。だからずるずると引き伸ばしていたのですが、どうしようもなく、ついに一年経ってしまいました。

男性司会者:先生は将来的にどんなジャンルの小説を書こうと思っていますか?どんなテーマや属性の話でしょうか?以前は現代ものの霊異小説を書こうと思っていた、と言っていましたが、それはいつごろ読むことができるでしょうか?だいたい、どんな風に書く準備をしているのか、ちょっとだけヒントをくれませんか?

墨香:いつ頃書けるかはわかりません。現代ものの霊異ジャンルはあまり人気がないテーマですし、霊異ジャンルは一話完結シリーズに似ていると思います。ひとつひとつの小さなストーリーが組み合わさっているもので、それをひとつひとつ考える必要があるので、きっとすぐには書けないでしょう。

男性司会者:それでは、先生は新しい小説を書く計画はありますか、いつ頃始める予定ですか?

墨香:いえ、まだ考えていません。

女性司会者:先生はいつまでお休みする予定ですか?

墨香:また詰まってしまったので、私もどれくらいかかるかわかりません。 

女性司会者:詰まってしまったと言うことは、実際にはもう構想を考え始めたということですか?つまり、次の作品のテーマはもうだいたい決まっていますか?

墨香:次は現代BLを書きたいと思っていますが、具体的なテーマはまだ決まっていません。

女性司会者:ああ、現代BLですね。前の二作は古風BLで修仙小説でしたから、現代ものを書くのは良いアイデアだと思います。

墨香:古風はしばらく書き疲れました、もう百万字は書いています。

女性司会者:現代ものというと、どういうジャンルかだけでも教えてくれませんか?都市生活が舞台のもの、例えば学園ものや芸能界もの、サラリーマンものやスポーツもの、現代BLといってもいろいろありますよね。もう少しヒントをくれませんか?

墨香:芸能界ものはきっとやりません。中華ファンタジー要素のあるものになるでしょう。どんなものになるかは分かりませんが、きっと普通の現実生活とは違って、普通に恋愛する話ではなく、きっと少しファンタジー的なものになると思います。

女性司会者:ファンタジー的な要素...

墨香:鬼(幽霊)や神みたいな要素です

女性司会者:へえ…それは霊異ジャンルとは違うんですか?中華ファンタジーな方向の話になりそうですね。

墨香:それはもちろん書いてみないとわかりません…

女性司会者:そうですね。みなさん、次回作を楽しみにしてください。

墨香:楽しみにするよりも、あまり楽しみにしないでください。最初に高い期待を持たないほうがいいと思います、そうすれば後から失望しなくてすみますから、本当に。

女性司会者:次の作品はどんな内容かについては答えをいただけましたが、時期についてはどうでしょう、先生。いつ頃書き始めるご予定ですか?

墨香:わかりません…次の質問に移りましょう。

女性司会者:わからない…

墨香:私にもわかりません、今のところは何も約束できないです。

女性司会者:それでは番外編はどうでしょう。先ほどは少し休む予定だと言っていましたが、いつ頃休み終わる予定ですか?番外編はいつ書き始める予定でしょうか?

墨香:いえ、番外編は最近もう書き始めています。番外編は長くはならないでしょう。書き終えたら本文の修正に集中します。何をするにしてもまず本文の修正が先です。

女性司会者:なるほど…ではこのまま次の質問をお聞きします。修正が終わったら…以前、『魔道祖師』は四月に本を出版する予定だったと聞いたことがあるのですが、本文を修正するということなら、修正が終わってから本を出す予定ですか?

墨香:きっと延期になるでしょう、修正が終わってから本を出します。雑な初版を出版するわけにはいきませんから。

女性司会者:では本文を修正したら、あとがきでは五月頃になるとのことでしたが、出版できるようになるのは四月か五月くらいでしょうか。だいたい五月ごろに予約が始まるのでしょうか。

墨香:はい、五、六月くらいだと思います。

女性司会者:わあ…まだ時間がかかりますね。本が手に入るのは七、八月になるかもしれません。

墨香:皆さんが落ち着くのにちょうどいい時間があると思います。その時に、新しい版を読んで、もしまだ買いたいと思ってくださるなら、買ってください。もしあまり好きでなかったり、もう熱が冷めてしまったのなら、お金を節約してください。

女性司会者:では先生は、修正が完了したら本で修正版を公開してから晋江文学城を更新するのではなく、先に晋江文学城を更新するおつもりなんですね。

墨香:はい、先に晋江文学城を更新します。

女性司会者:おそらく、本の中に番外編がいくつかあるかもしれませんね。皆さんお楽しみに。先生は五、六月に予約が始まると言っているので、覚えておいてくださいね。
 
墨香:その時になったらまた発表しますね。

女性司会者:分かりました。それでは、次は読者からの質問コーナーに移ります。『魔道祖師』に関する質問が二十以上寄せられています。

男性司会者:先生、読者からこんな質問をもらっています。『魔道祖師』のキャラクターは皆、いくつかの呼称がありますね。修真小説は何作か読んだことがありますが、人物や氏族をこんなにも丁寧に描写しているものはあまりありません。先生はシリーズ物を書くおつもりでしょうか、それともいつもこんな風に背景やエピソードを設定する習慣があるのでしょうか?

墨香:シリーズものを書く野心はありません。いつも…背景やエピソードをしっかり設定するのが趣味で、そういうのが好みなんです。細かいところまで設定することで、物語がより魅力的になり、より面白くなると感じます。

男性司会者:では、先生はプロットを書くときに、エピソードや背景、全体的な初期設定をはっきり書き出すんですか?

墨香:必ずそうしています。そのために特別に作った文書を開いて、各家族はどの氏族なのか、どこに居を構えているのか、おおよその勢力範囲は、家訓は、などを書き出しています。

女性司会者:ゲームをプレイするみたいに、地図を作ったりはしますか?

墨香:地図はいりません、中国の地図の上に勢力図を描けば十分です。

女性司会者:わあ、なるほど、そうですね、姑蘇ですもんね。それであの…藍家はどこでしたっけ?ど忘れしちゃいました。

墨香:姑蘇です、姑蘇のあたりです。

女性司会者:金家はどこでしたっけ?

墨香:蘭陵、山東のあたりです。

女性司会者:じゃあ…江家は?

墨香:雲夢、湖北の辺りです。

男性司会者:じゃあ温家は?

墨香:温家は…岐山、陝西の辺りです。

女性司会者:わあ、岐山も実在の地名なんですね、気づいていませんでした。姑蘇くらいにしか注目していなかったから、他の地名にはそこまで現実的な感覚を持っていませんでした。でも実際、彼らは剣に乗って空を飛べるわけだから、他の時代小説のように馬や馬車に乗って何十日もかけて行かなくてもいいでしょう。それほど大きな地理的空間は感じませんね。

墨香:低魔の世界なんです(笑)

女性司会者:そういえば、山東方言がありますよね。これを頭の中で当てはめたら…

墨香:当てはめないでください…

女性司会者:藍忘機たちが江蘇方言で話しているような感じでしょうか?

墨香:そんな風には当てはめないでください、

女性司会者:分かりました、分かりました。陝西方言を話している温寧は…たまらないですね。スクリーンに「みんな歓迎します」というコメントがきていますね、そんなに興奮しないでください。では次の質問に移ります。『魔道祖師』での金子軒の死についてはとても気になるところですよね。読者からの質問です。これは間違いなく魏無羡のしくじりのせいなのでしょうか?温寧があのとき暴走したのには、何か裏事情があったのですか?

墨香:間違いなく、彼はしくじりました。温寧の暴走に裏事情はありません。

女性司会者:本当にないんですか?どうして?小説を読んだときはいつも、温寧が暴走するシーンの裏で、大ボスが暗躍しているような気がします。とても気になるんです。じゃあいったい温寧はどうして暴走したんですか?

墨香:こういった問題にはこだわらないでください。実際、小説の中で書いた通りなんですが、おそらく急いで書いていたせいで必要な伏線が足りていなかったのかもしれません。間違いなく、魏無羡は自分で鬼道を修練し、そのあとだんだんコントロールを失っていったんです。反噬(はんぜい)ですね。

女性司会者:それはつまり、結局のところ魏無羡は自分の力の反噬をうけて、精神的に不安定になっていたということですか。だから…

墨香:そうです、そうです。彼はかなり影響を受けていました。

女性司会者:では本当に魏無羡のせいで、金子軒たちは死んだんですね。わぁ…分かりました。

墨香:はい。主な責任は…彼にあります。

女性司会者:あぁ…分かりました。

男性司会者:それでは、藍忘機はいったいいつ魏無羡を好きになったんですか?読者たちはみなこれにとても興味があるようです。

墨香:うん…それは皆さんに自分で感じてほしいと思います。この物語を書いているときに、藍忘機の心理描写を書きませんでした。なぜかというと…私はこういう風に距離感があるほうが好きなんです。小説の中で攻めとの間に精神的な距離感を持たせたいんです。だから、彼はいったいいつ魏無羡を好きになったのかは、皆さんで推測してみてください。

女性司会者:私は一目惚れだと思います。

男性司会者:私は玄武洞でだと思います。

女性司会者:玄武洞だと遅すぎじゃないですか?

墨香:皆さんそれぞれの考えがあると思います。また読み返してみてください。

男性司会者:気をつけて読み返してください、玄武洞ではきっと恋愛感情がありますよ。

墨香:皆さんそれぞれの考えがあるでしょう。もし私がいま簡単でいいかげんに「藍忘機はいついつのときに魏無羨が好きになった」と断言してしまったら、小説を解釈する楽しみが失われてしまいます。

女性司会者:ある読者からの質問です。彼はいつ自分の性的指向に気がついたんでしょうか?

墨香:ご自身で考えてみてください。

女性司会者:いやいや、彼らの世界では性的指向のことは気にしないんじゃないでしょうか。どのみち彼は藍家の次男なので、代々血統をつなぐようなことには関わらないでしょう。まあ、こういう細かいところにこだわる必要はないでしょうね。現実とはかけ離れたBL作品の世界ですから。

墨香:こういう細かいところは気にしないでください。

女性司会者:次の質問です。魏無羨は金丹を失ったあとで、いったいどんな経験をしてあれほど強くなったんですか?先生はその部分を書かなかったようですね。どんなものに似た経験をしたかは教えてもらえませんか?例えば、張無忌(金庸の『射鵰三部作』の主人公)が白猿に出会って九陽神功を会得したようなものでしょうか?

墨香:それについては…皆さんで脳内補完してください。実際、これは皆さんで想像できるところだと思います、それで大体合っていると思います。

女性司会者:脳内補完ですか?それで合っているんでしょうか?

墨香:想像です、想像してください。

女性司会者:私の印象では、細かいところまで読めているかは分かりませんが、私の印象では、彼はちょうど乱葬崗に落ちましたよね。

墨香:はい、乱葬崗です。

女性司会者:その後で、次に登場したときにはもうとても強くなっていました。あっという間に強くなったという感じです。

墨香:実は私は…他の人とは違って、強くなっていく過程を詳しく書くのがあまり好きではないんです。どちらかと言うとキャラクターが最初からレベルMAXで登場するのが好きで、どんなふうにモンスターを倒して経験値を稼いでレベルアップしたかを細かく書くのはあまり好きじゃありません。

女性司会者:ということは、もし魏無羨が乱葬崗でどうやって強くなったかを書けば、少なくとも何万字も書くことになって、とても複雑になってしまうというわけですね…

墨香:話を引っ張ることはできますが、やろうとは思いませんでした。引っ張ることはできますが、でも…

女性司会者:わかりました。でもきっと…確かに言えるのは、多くの苦痛を経験したに違いないということですね。

墨香:はい、そして多くの恐怖を。

女性司会者:『起点中文网』の作品とは違いますね…わあ、恐怖。『起点中文网』の作品のような、爽快なレベルアップとは全然違うんでしょうね。

墨香:間違いなく、爽快なものではなかったです。

女性司会者:わあ、分かりました。

男性司会者:では、次の質問です。ある読者からの質問です。江澄は魏無羡に対して、本当にただ友情しか感じていなかったんでしょうか?それなら、以前の江澄の色々な行動は、本当に怒りからくるものだったんでしょうか?先生の心の中の江澄はどんな人ですか。読者の中には江澄がすごく嫌いな人もいるようです。

墨香:私の知る限り、江澄は…ファンもいますがアンチもいて、コメント欄で戦いが繰り広げられているようですね。だから…思うに、それでも多くの人が彼を好きなのは…彼を絶対的な悪人だと見なしている人はほとんどいないからだと思います。彼は魏無羨に対して友情しか感じていなかったのかについて、この種の質問は…読者は二人のキャラクターが出てきたときに…暁星塵と薛洋で例えましょうか。暁星塵と薛洋の間には、一般的な感情を超えたものがあると多くの人が感じているようですが、実際には暁星塵と阿箐の間にある感情のほうがもっと親密です。でも、どうして二人を恋愛関係に持っていこうとする人はいないのでしょうか?思うに、読者はこのような男性同士の間にある感情に敏感になりすぎて、それを全て…恋愛の方面に持っていこうとしない方がいいと思います。簡単で雑にその方面の感情だと定義してしまわないでください、キャラクター間の関係にはもっと深い可能性があります。

女性司会者:では、先生の目に映る江澄はどのような人ですか? 

墨香:私の目に映る江澄は…実際、どうと言われても、私はどちらかというと客観的に小説を書いています。私が見る彼は…小説に書いている通りの人です。

女性司会者:ではもし先生が江澄を誰かに紹介するとしたら、どういう風に紹介しますか?

墨香:彼はどちらかというと…後ろ向きでマイナス思考な人です。

女性司会者:そんなに簡単な説明なんですか?

墨香:はい、後ろ向きでマイナス思考ですが、許すことのできない悪人では決してないです。はい。

女性司会者:ええ。

墨香:本性は特別悪いというわけではありませんが、誰か彼を嫌うなら、それはどうしようもないことです。誰かを嫌うというのは…その人自身の問題だからです。

女性司会者:なるほど。コメントが来ていますね、江澄は江氏の宗主ですが、どうしてこんなに長い間結婚しないままなんですか?

墨香:性格があまり良くないからでしょう、恋愛経験はいくつかありましたが、うまくいきませんでした。

女性司会者:恋愛関係はいくつかあったということは、やはり彼は異性愛者なんですね。分かりました、分かりました。

墨香:もちろん、彼は異性愛者です。私が小説を書くときは、メインCP以外に、他のキャラクターをみな同性愛者にするのはあまり好きではありません。もちろん恋愛経験はありますが、うまくいきませんでした。

女性司会者:分かりました。次の質問に移りましょう。義城篇は悲しみに満ちた雰囲気に包まれていて、時には絶望感にも感じられました。そして産み出された五人のキャラクター、暁星塵、薛洋、阿箐と宋嵐…あ、すみません、数字が苦手で、四人でしたね。彼らの間の魂が震えるようなドラマは忘れられないものでした。この義城篇は大きく盛り上がりましたね、先ほども話しましたが、先生は当時どのようにこの章の構想を練りましたか?この章は、二人の主人公の恋愛模様とは異なる独立した章なので、これほど素晴らしいプロットをどのように書き上げたのか教えてください。

墨香:やはりキャラクターを先に設定し、それから物語を考えました。主人公二人のキャラクターについてはあとがきで書いたとおり、高校生の頃に性格の雛型を考えて、それから名前を決めました。そしてキャラクターの性格に基づいて、彼らがどう影響しあうかを想像しました。価値観の全く異なるキャラクターたちなので、どう火花が散るのか、どのような矛盾と衝突が生じるのか考えるうちに、物語が自然とできていきました。どのように構想を練ったかについては、私も分かりません。

女性司会者:先生が悲痛な展開だと思う水準はとても高いですよね。本当に、暁星塵の死は悲痛で絶望的だと思わないんですか、暁星塵の気持ち、当時の心情は…

墨香:彼にとっては、確かにとても悲惨な運命です。ですが私にとっては、その感情から距離を置いています。客観的な記録者として、感情から離れて小説を書くことで思わぬ効果を生み出すことができるからです。薛洋はちょっと異常でしょう。ちょっと異常だから、彼が表現する感情もちょっと異常でねじ曲がっているせいで、そちらの方面に考えられてしまいやすいのかもしれません。ですが実際は…実際は、彼は好意を抱いた人なら誰でも、少しでも好感を持てば、偏執的で異常なやり方でそれを表現するでしょう。

男性司会:分かりました。次の質問です。読者からの言葉をそのままお伝えしますね。「『魔道祖師』を読んだ後で、薛洋にとても衝撃を受けました。彼は悪役で、その悪辣さには身の毛がよだちますが、彼の最後の結末には少し心が痛みました。彼が死ぬ時に飴を握りしめていたのは、あの飴が意味するのは、彼が最後には暁星塵に影響を受けて少しだけ感化されていたということでしょうか?

墨香:感化ですか…この人が感化されることはありません。彼は間違いなく、誰かに影響されて変わることはないでしょう。

男性司会:では先生は、薛洋はいったいどのような人だと思いますか。江澄を紹介したように、薛洋のことも紹介してください。

墨香:価値観が倒錯していて、不幸な幼少期を持つ、主人公に倒されるべき悪役です。

男性司会:少年院に送られるような…

墨香:少年院に送られれば、彼はおそらく少年院にいる他の人たちをみんな…始末してしまうでしょう。

女性司会:先生は最初からこの飴の設定を考えていたんですか?実際、多くの人がコメント欄で言うように、もしこの飴がなければ読者はきっぱりと、薛洋を非常に憎んでいたでしょう。ですが飴があることで、読者の気持ちは少し複雑になりました。

墨香:気持ちが複雑になるのは正常なことでしょう。社会のニュースを見る時にも、複雑な気持ちになることはありますよね。このエピソードを連載していた頃、私のコメント欄はまるで現実のニュース、社会ニュースのコメント欄のように、解決しない言い争いが繰り広げられていました。

男性司会:では先生は、この三人または二人の新しい番外編や、新しい物語を書きたいという思いはありますか?

墨香:この二人の新しい話は…薛洋はもう死んでしまったので、道長と一緒にいるのは当然不可能でしょう。薛洋はもう死んだんです。うん…もし道長との話なら、暁星塵道長と宋嵐道長が以前どう知り合ったかや、夜狩をどう過ごしたかなら書けると思います。ですが薛洋は…安らかにお眠りください。

女性司会:先生の薛洋に対する評価を聞いていると、嫌いに思っているような感情があるように感じます。

墨香:私は彼を…嫌いに思ってはいません、ただ客観的に見ているだけです。

女性司会:うん…分かりました。では先生、阿箐は、そして暁星塵は、生まれ変わる可能性はありますか?彼らの魂はもう一度集まって完全な形に戻る可能性はありますか?それに、彼らの物語がまた書かれることはありますか?

墨香:まだよく考えてはいませんが、可能性はあります。

女性司会:可能性はあるんですか?阿箐は実は…

墨香:安易に請け合うことはできません、今のところそのような方面のインスピレーションはないので、適当に保証することはできません。

女性司会:ああ…先ほど先生が私たちに考えさせようとしたように、阿箐と暁星塵のCPはありえるかもしれません、ですが…

墨香:いえ、私は考えさせようとしたわけではありません。私が言いたかったのはただ、阿箐と暁星塵の関係は特別親密で、薛洋と暁星塵よりも親しい間柄だというだけです。その二人を皆さんが男女CPとして扱わない以上、いったい…いったいどうして薛洋と暁星塵をCPとして見る必要があるのでしょうか?どのみち私の書く物語では、彼らは間違いなく永遠にありえないCPです。

女性司会:それでも道長はあまりにも高嶺の花の存在です。ああ…彼は本当に心が痛むキャラクターだと思います、本当に…。だからとても知りたいのですが…彼に良い結末をくれないのでしょうか。今のままでは本当に…魂が跡形もなく消え失せてしまったのは本当に悲惨だと思います。

男性司会:それでは、蘇渉と金光瑶はどのような関係なのでしょうか?読んでいる時に、特に複雑だと感じました、蘇渉は劣等感と自惚れを持っている人間ですが、どうして金光瑶のためにあんなに力を尽くすことができたんでしょうか?

墨香:私が作中で書いている通り、彼は実際ずっと人に見下されていたせいで、ずっと心の中に劣等感と自惚れを抱き、ひそかに他人を見下していました。そして…それでも他の人はみな蘇渉を見下していたのですが、金光瑶にはじめて名前を呼ばれたことでとても感激したのです。単純なことです。時には複雑に考えすぎないでください、本当に単純なことなんです。

男性司会:ですが、彼は…彼の技術はみな藍家で学んだものです。彼はそれほど無私の人には見えません。ただ名前を覚えていて呼んでくれただけでそこまで感激したとは言えないでしょう…

墨香:この藍家というのは、彼が藍家で感じたのは更なる挫折感です。なぜなら、身分も地位も低く、血統も何もありませんし、家柄も何もありません。そして藍忘機に締め付けられ、そのあと彼は…言わないでおきましょう、ただ彼の心はますます暗くなり、誰かに認められることを渇望するようになったのです。

男性司会:では先生が蘇渉が死ぬシーンを書いた時、金光瑶の目に涙があったのは蘇渉が死んだからですか?

墨香:金光瑶の目にはいつも涙があると気がつきませんでしたか?彼の目が潤んでいない時はありましたか、金光瑶の涙は…

男性司会:あのシーンを読むと、蘇渉と金光瑶はずっとCPだったんだと思いました。でも最後に金光瑶は藍曦臣を抱きしめて…

墨香:待ってください、いえいえいえ、何でもCPの方向に持っていって考えないでください。実際、私が物語を書いた時には絶対にそちらの方面に持っていくつもりはありませんでした。おそらく、私の書き方はもっとはっきりさせて、もっと改善する必要があるのかもしれません。

男性司会:いえいえいえ、みんな下克上の関係が好きなだけですよ。

墨香:それは…

女性司会:それなら藍曦臣と金光瑶の間には、金光瑶から藍曦臣に対してはそのような感覚はないんですか?

墨香:ありません…

女性司会:普通の兄弟ですか?私はまた傷ついた気がします。

墨香:本当になにもないんです

男性司会:そんなはずはないでしょう…

女性司会:そんなはずはないでしょう…先生、ちょっと反省してくださいよ、どうして、どうして先生の書く小説ではみんな天然の腐向け、天然のゲイみたいに見えるんですか。

墨香:いえいえ、私も反省しなければいけないかもしれません。私の書き方が…

男性司会:では金光瑶はどうして最後に藍曦臣を抱きしめたんですか?

墨香:抱きしめてはいないです。叩いたんじゃないですか、叩いていたはずです

男性司会:押しのけたんですね…

墨香:そうです

男性司会:押しのけた後で、藍曦臣はとても消沈していたんじゃないですか。

女性司会:それに、彼は一度も藍曦臣に危害を加えようとしなかったし、いつも礼を尽くしていましたよね。

墨香:高嶺の花なんです。

男性司会:そうです、それははっきりと書かれていましたよね。

墨香:はい、その通りです…

男性司会:高嶺の花…

墨香:これは…どんなクズだとしても、誰かに対して感激することはあるということです。

女性司会:その上、彼はもともと藍曦臣を道連れに死のうとしていたけれど、最後の瞬間に諦めましたよね、これは明らかにある種…永遠の別れで悲惨な恋心が深い、相愛相殺というような感じがします。

墨香:これは...これは...あなたたち自身で解釈してください。私が説明することはもうありません…

女性司会:分かりました。読む人によって異なる感じ方をしているのかもしれませんね。

墨香:大丈夫、大丈夫です。皆さんは自分でどう読んでどう解釈するか考えてください。どのみち私は…書くのは作者のやることで、解釈するのは読者がやることです。

女性司会:それでは先生、あなたは悪役に人間性を残す習慣があるのでしょうか?例えば、私達が先ほど話したように、金光瑶の死に際してや、死んだ後のことなどです。

墨香:私の目に映る金光瑶は、高い地位にのぼるためには手段を選ばないが、感情は少し残っているクズですね。

女性司会:まだ少し感情が残っているクズなんですね。そして薛洋は異常者だと。

墨香:ええ、ええ。クズと異常者、そういう感じです。

男性司会:はい。小説には強力な武器として陰虎符がありますが、その半分は薛洋に持ち去られました。ではもう半分の陰虎符は一体どこにあるのでしょうか?

墨香:もう半分は強力な武器とは言えないのです。それは実は…もう半分は使われた後で壊され、もう使えません。壊れたせいで、薛洋は修復しました。修復した後は、作中でも書いたように思いますが、陰虎符には使用制限があり、数回しか使えないのです。修復したとしても元のものではないからです。

男性司会:それでは最後に、金光瑶は…最後の戦いの時に棺を掘っていましたよね。結局、完全な陰虎符はあの棺の中にあったのではないかと皆が考えています。

墨香:棺の中にあるのは彼の母の遺体です。そして、棺の上にはもう一つ箱がありますが、その箱の中には聂明玦の頭が詰められています。

女性司会:壊れた後は、完全な陰虎符は、最後は金光瑶のもとにありました。彼らが死んだ後は、金光瑶は聂明玦と一緒にいますが、陰虎符も彼らの入っている棺の中にあるんですね?

墨香:はい、その通りです。みんな封印されています。

女性司会:ああ、じゃあ最後に金光瑶も屍変したのでしょうか?彼と聂明玦は、先生が作中で書いていたように、中で争っているような様子でした。

墨香:ええ、ええ、戦っているでしょう。中で百年は戦うでしょう。

女性司会:そして中には陰虎符の残りがまだあります、これはとても危険な気がします。

墨香:はい、とても危険です。だから…

女性司会:二人がいて、二つの強力な武器があり、陰虎符もまだある。先生はきっと将来破られるかもしれないという伏線を埋めたんじゃないですか?第二部はありますか?

墨香:伏線は埋めていません。

男性司会:聂明玦…聂明玦…
 
墨香:伏線は埋めていません、ただ危険な影を残したんです。きっともう書けないでしょう、続きはもう書けません。

男性司会:それでは聂明玦は本当に人間性を取り戻す希望はないんですか?序盤からずっと、いつか戻ってこれるんじゃないかと感じていました。

墨香:それは…そんな機会はないでしょう。棺の中でずっと争って、ますます気が狂うだけです。

女性司会:これはとても危険だと思います。二人の戦闘力が上限突破して怨気が満ちたら、将来大きな戦いが起こるんじゃないかと想像してしまいます。いくつかの家が鎮めにきて、またいろいろな騒ぎが起きて、江湖で血腥い殺戮が起きるような気がします。ああ…

墨香:本気で戦えば、金光瑶は聂明玦にボコボコにされる立場にありますね…

女性司会:ああ…そうですね…確かに戦闘力は比べものになりません。大哥と三弟、金光瑶は永遠にただの小弟にすぎません。それでは十五番目の質問です。藍忘機、字は忘機、号は含光君です。では藍曦臣は?字は曦臣、号は沢蕪君、では名は何ですか?藍翔ですか、もしかして?先生?疑問を解明してください。

墨香:いえ、違います。名はつける機会がなく、つける必要もなかったのでそのままにしていました。修正版では、もし適切な機会があれば名を入れるでしょう。間違いなく藍翔ではなく、さんずいへんの漢字を持つ名前です。

女性司会:ではいったい何でしょうか、さんずいへんの、先生はまだ考えついていないんですか?

墨香:考えています...(笑)

女性司会:考えているんですか?それなら何ですか?コメント欄ではまだ藍翔の話をしています、これは良くないですね。早く皆に彼の名はいったい何なのか教えてください。

墨香:これは…修正版で公開しましょう。はは、何でしょうかね、藍淋か…はたまた別の名か。

女性司会:藍淵なんか良いと思いますよ。藍淵はどうでしょうか、先生。

墨香:本文の修正を待っていてください。

女性司会:わかりました。

墨香:なんとまあ、藍猫…藍猫はどうでしょう(笑)

男性司会:藍月亮...
 
墨香:(笑)藍月亮...
 
女性司会:先生、このいつもトラブルをうっかり見逃す兄のことに、皆はとても興味を持っています。そして突然、彼には意外にもまだ名がないと気づきました。これは皆さんに考えを話してもらう場じゃないですか、先生、仕方ないですね…

墨香:しばらくの間は自由に考えを話していてください。その時になったら修正版で秘密を公開します。

女性司会:分かりました。

男性司会:分かりました。それでは、「一問三不知」の聂懐桑について、彼は密かにとても多くのことをしましたが、これはただ兄にかわって復讐するためだけにしたことですか?彼はいったい悪役なのでしょうか?

墨香:彼は…厳密に言うと、主人公たちに対して許されないことをしたかというと、していないので、私はその点からいえば、悪役ではないと思います。では彼はただ兄にかわって復讐するためだけなのかというと、彼が以前行ったことの全てはひとつの単純な目的のためだけだったかもしれません。ですがその後は、もうそうではないでしょう。

男性司会:それでは、彼は最後まで自分を偽っていましたがバレませんでした、これは先生が意図的にそうしたのですか?

墨香:はい、プロットからこうなっています。

男性司会:ではどうして…彼の偽りはばれなかったのですか?

墨香:うん…もし魏無羨になぜ偽りをばらさなかったのかと尋ねたら、十分な証拠がなかったから、彼が尻尾を出さなかったから、彼の弱みをにぎれなかったと言うでしょう。私が直接彼の偽りを暴かなかったのは、その必要がないと思ったからです。なぜなら、実際に多くのことは明かさなくてもいいことだからです。明かしたとしても、彼を厳重に処罰する方法はないでしょう、彼の理由は正当だったでしょう。

男性司会:でも…彼の胸のうちには…

女性司会:彼の策略をみるに、将来、四大世家は彼をリーダーにするんじゃないかと思います。江澄、この可愛らしい江澄では…どうしてなれるでしょう…

墨香:そうですね、将来、四大世家は彼をリーダーにすると保証できます。江澄、江澄さよなら、江澄、江澄、もう考えないでおきましょう。

女性司会:藍家の藍曦臣は?

墨香:…早く奥さんを探した方がいいよ、江澄。

女性司会:藍曦臣はどうですか?藍曦臣ならもしかしたら彼と張り合えるかもしれません、ですが藍曦臣は少し人格者すぎるんじゃないでしょうか?

墨香:藍曦臣はもちろん人格者です、藍曦臣に争う心はないでしょう…彼は自分の家族を良い状態に維持するだけでいいのです。誰かと争ったり比べたりするような欲望はありません。藍曦臣も奥さんを見つけた方がいいですね。

女性司会:金家はこの後きっと…そうだ、ならどうして先生の書く世家の主はみんな奥さんがいないんですか、この十数年ずっと奥さんがいませんね。

墨香:世家の主にも結婚相手を見つけた人はいますよ。金光揺もそうですね。

女性司会:金光揺の奥さんは数に入るんですか、あれはパスです、パス。

墨香:ならこう考えてください。もし小説の視点から考えるなら、家主はしばらくの間修行をして、それから結婚相手を探すのがいちばんいいです。そうすればまず修為を高めてから、家のことを考えることになるからです。そして、作者の視点から考えるなら、私はそんなにたくさん夫人のキャラクターを登場させたくありません。キャラクターが多くなりすぎるからです。キャラクターが多くなりすぎるとそれぞれを気にかけられなくなるからです。

女性司会:そうなんですね、藍曦臣は考えてみるともうすぐ五十歳になります。もしいま彼らの年齢を考えたら…

墨香:そんな風には考えないでください、低魔の世界ですが、低魔にも尊厳はあります。低魔なので年齢といったことは考えないでくれませんか。低魔なんです、この世界では…

女性司会:分かりました、分かりました。じゃあXXの活発さ(灵活度)といった問題について考えることにしましょう。

墨香:この世界では…修真することを唯一の意義に設定しています、年齢を重要なものにしないのはそう言うことです。

男性司会:ほかにも曖昧にしたくない人はいると思います…

女性司会:それではあの金凌は、後に金家の当主になるのでしょうか、それとも金家はこのあとあっさり無くなってしまうのでしょうか?

墨香:金家はおそらくしばらくは虫の息でしょう。

女性司会:将来、立ち直る可能性はありますか?主な人物はみな金光揺に倒されてしまったように思います、残った金凌はまだ若く、武力もありません。

墨香:こういったことははっきりとは言えません。三十年で河は東に流れ、三十年で河は西に流れるというように、はっきりとは言えません。

女性司会:ええ…そうですね。では次の質問です。ある読者からの質問です。先生は後書きでもともと聂懐桑に相棒となるキャラクターを用意しようとしていたと書いていましたが、そのキャラクターは作中に登場していますか?それとも、もう登場することはないのですか…まだ書いていないキャラクターなら、それはどんなキャラクターなんですか?

墨香:私がカットしてしまいました。どんなキャラクターか…修正版を書くときに、もしエネルギーがあれば登場させるかもしれません。書かなかったのは、まだ彼の性格をよく設定できていなかったので、作中には入れませんでした。

女性司会:彼が裏で色々なことをするのに協力するボスのようなキャラクターですか?

墨香:ボスではありません。部下のようなキャラクターです。

女性司会:先生の大幅な修正の成果を期待しています。このまだ登場していない、まだ巡り会えていない人物はいったいどんな存在なんでしょうね。

墨香:彼を追加するエネルギーがあればいいなと思います。新しいキャラクターを追加するのはとてもとても大変ですから。

男性司会:番外編についてですが、読者から質問があります。先生はどの番外編を書くおつもりですか?温寧、藍思追、薛洋、暁星塵、それに藍忘機が魏無羨のいない十三年を過ごした心の旅路、金光揺と藍曦臣の過去、忘羨夫夫の恥知らずな閨での生活や、食べて寝て思追を叩く(「吃饭、睡觉、打豆豆(食べて寝て豆豆を叩く):することがなく暇なこと」のパロディ)ような後日談が読みたいそうです。

墨香:どうして思追を叩くんですか、あんなにいい子なのに…

男性司会:やっぱり思追は…

墨香:そうですね、今のところ考えている番外編は、忘羨夫夫の恥知らずな話と、主CPの番外編だけです。他の番外編については今のところ考えていません。

女性司会:え?考えていないんですか?先生はいくつか番外編があると言っていませんでしたか?

墨香:ウェブ版については、今のところアイデアはありません。なぜなら私は…今はただまずラブラブな日常を書いた番外編を発表し、その後で修正版を書き始めるのに精一杯だからです。その他の番外編についてはまた後で話しましょう、きっと五、六ヶ月は修正版を書くのにエネルギーを使うでしょう。全ては修正版が完成した後にまたお話しします。修正が終わった後に、皆さんがまだ買いたいと思うか考えてみてください。

女性司会:皆さん、先生への情熱と『魔道祖師』への情熱は、五、六ヶ月後に修正版が出るまで保留しておいてください。でも、『渣反』への情熱は今から燃やし始めて構いません。『我们工作室S』の微博の、スレッドの一番上にピン留めされているお知らせに注目してください。

男性司会:これは3月28日までの予約販売です、皆さんが...

女性司会:わあTity、すごく真剣だね、メモまで持って。私たちの新しい司会者をちょっと見てください。はい…これで『魔道祖師』に関する話題はだいたいおしまいです。次は、皆さんに人気のゲストの才能ショータイムです。


後編に続きます。


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