見出し画像

随筆: サンタクロースは本当にいるのかな?


1.      サンタクロースの存在をめぐって

小学校の3年生の頃だった。
12月のある昼休みの休憩時間のことだった。
「知っているかい。サンタクロースなんて本当はいないんだよ」
と友人の一人が言った。
「いるよ。だって去年もプレゼントをもらったよ」
と別の友人が言い返した。
「それはだな、お父ちゃんかお母ちゃんが、寝ている時に置いたんだよ。
サンタクロースなんて、本当にいるわけないだろう」と得意げに言った。
「それじゃ、どうしてわかったんだ」と食い下がった。
「僕のおにいちゃんが教えてくれたんだ」と弁解した。
「だったら、本当に見た訳ではないんだ」と反論した。
私はいったいどっちが正しいのだろうと思った。

2 確かめてみよう

それなら、サンタクロースは本当にいるかどうか自分で確かめたくなった。
クリスマス日の早朝、うとうとしていると、障子が開く音がした。
「今年もプレゼントを持ってきてくれたのだろうか?」
目を開けて確かめたくなった。
しかし、なんだか見てはいけないと思った。

しばらくして目を開けた。枕もとを見ると、プレゼントの包み紙が見えた。
「ひょっとして、お母ちゃんが置いてくれたのだろうか?」といぶかった。

朝食の前、「今年もプレゼントがあったよ。」と私が言うと、
「それはよかったね。明け方、大きな袋をもった人を見かけたよ」と母は言った。
「やはりサンタクロースは本当にいるのだろうか」と私は思った。

その後、本当にいないのではと疑うと、それ以降サンタクロースからプレゼントがもらえなくなるのではと怖くなり、サンタクロースは本当にいると思うことにした。

3 20数年経って

それから20数年が経った。
娘が生まれ、やがて幼稚園に通園し始めた。

年長の頃だった。
クリスマス・イブの日、私は娘にサンタクロースの話をした。

なかなか寝付かない娘に向かって、
妻が「今晩は、良い子にして早く寝ないと、サンタさんは来てくれないよ」と言った。
続けて「そう言えば、2階のベランダに大きな袋を持った人がいたよ。サンタさんかもしれないよ」と私は付け加えた。
妻が「いつまでも寝ないで起きていると、他の家に行ってしまうよ」と追い打ちをかけた。
娘は慌てたように、すぐに電灯を消して、布団の中に入った。

よく朝、娘の枕元にはプレゼントの袋があった。
「良かったね。サンタさんが来てくれたよ。昨日よい子をして寝たからだ 
よ」と私は娘を褒めてやった。

4 サンタクロースさんへのお願い

サンタクロースさん、これからも子ども達にプレゼントを送り続けてください。
そして、できたら施設に入ったり、自宅にいる一人ぼっちの老人にも、
プレゼントを届けてください。

5 参考資料


1897年、ニューヨークで8歳の女の子の「サンタクロースはいるのですか」
の問いかけに、ニューヨーク・サンという新聞社が答えました。
 https://www.shinshindo.jp/news/entry/post_72.html
 クリスマスにまつわる心温まるお話 〜世界一有名な社説〜


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?