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興奮の瞬間を切り取ってみる

大好きな音楽に触れた時の興奮ほど、ことばにならないことはないのだけど、

その興奮をどうにか伝えたくてしかたない。


ライブ会場の
開演前の客席は、緊張感や期待感やそわそわが混ざり合っていて

アルコールやタバコのにおいも混ざり合う

少し強めの冷房が効いている時のにおいと
すでに生温かい空気になっている時のにおいは違っていて

少し生温かい時の方が、ちょっと緊張する

会場に流れるSEは誰のセレクトなのかと耳を傾けたり
周りにいる人の声を聴くともなく聞いていたり

一人で目をつむって待っている人
携帯を触っている人
はやくも演者を呼び始める人

名前も知らない人たちが
ただ一つの音楽を聴くために集まる場所

そこは
喧騒に囲まれているような静寂に包まれるような

雑多なようで、秩序がある時間が流れていく



照明が消える

その瞬間

わぁとも
おぉとも
うぉぉとも
悲鳴のような怒号のような

人人人の声があがる

誰かの体温が
前に後ろに横にと流れてくる


客先の声はボリュームを上げ続ける

ステージからは

客席の悲鳴をかき消すかのように
ドラマとギターとベースの分厚い音が飛んでくる


マイクを掴んだヴォーカルが声をあげる


その瞬間

その瞬間だけが

世界の全てになる

ありがとうございます。ロックンロールと生クリームとマンガと物語に使いながら、自分の中のことばを探っていきまます。