ねむる→33ねん→かみさま←?
【注意】
これは、先生から聞いた話です。
本当かどうかは自分にはまだ分かりません。
先生の治療所は、山の中。
治療所の周りは自然に囲まれている。
そこで、見慣れない言葉が書いてある立て札を見つけた。
「樹木葬(じゅもくそう)」
「葬」という言葉にちょっと嫌な予感がしたけど、先生に聞いてみた。
「樹木葬って立て札をそこで見たんですが、あれ、どういう意味ですか」
「お墓に入らないで、自然の中で眠ることよ」
「???」
意味は何となく分かる。
「眠る」とは、命が終わって休むこと。「死」。
でも、お墓に入らないとはどういうことなのだろう。
「死んだらお墓に入らないといけないんじゃないですか」
「お墓ってね、土地とか墓石とか維持費とか、結構お金がかかるものなのよ」
「え、ちなみにいくらぐらい…?」
「ばらつきあるけど、200万300万はするかもね」
「」
絶句した。自分には死ぬ権利が無いことになる。
先生は更に続ける。
「遺体を焼いて、骨壺に入れるでしょ?あれ、本当はあまり良くないの」
「へ」
「自然に帰るのが一番良いの。成仏も早いのよ」
「成仏に早いとか遅いとかあるんですか!?」
「あるわよ?」
…いつも思う。
先生は気功の先生なのに何でそんな怖い話をすんのか。
気功の先生でもあり、霊能者でもあんのか。
それともただ自分が怖がりなだけか。
「だって死んだらお寺でお経あげてもらうし…その時点でもう成仏じゃないんですか?天国行くんでしょ?お経ってそういうもんじゃないの?」
「人はね、亡くなって33年経ったら神様になるのよ」
「33年?何でそんな半端?神様?」
「33年らしいの。何故かね」
ってことは
うちのおじいちゃん
まだ成仏してないのか!?
どうしよう。またえらいことを聞いてしまった。
祖父は普通にお墓に入ったので、骨は骨壺に納められているはず。
厳密に言えば自然には帰って「いない」。
そして、亡くなってからまだ33年経過していない。
先生の話が本当なら、まだ…。
てか、死んだら神様になる?仏様じゃなくて?
「」
「さ、座って」
何事もなかったように、先生は自分の治療を始める。
聞きたいことがまた増えてしまう。
先生は、この世界で何が見えているのだろう。
昨日の晩御飯を話すような感覚で、さらりと世界のネタバレをしてくる。
嘘をついているようには見えない。
この世界には、まだまだ秘密がある。