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中野円佳『なぜ共働きも専業もしんどいのか―主婦がいないと回らない構造』

要約
・日本は専業主婦前提社会。ここで大半の男性が正社員として長時間労働をする一方、全面的に女性に家庭を任せる構造に。専業主婦の合理化。
・企業に雇われている人は長時間労働ありきなので、夫婦共にフルタイムで働くと無理が生じる
・妻の支えを前提として、家族手当の支払い等、会社が家族ごと責任を負う仕組み
・男性の長時間労働(時間的拘束と年功賃金プレミアの提供)と女性が家事育児を優先することの相互補完性
・子どもとの時間の二極化(短すぎるor長すぎる)
・伝統的家族への回帰へのリスク
①教育方針の違いと世代間ギャップによって育児世代のストレスが増える可能性と、それによる子どもへの影響
②祖父母世代の負担が大きくなりすぎる→育児や介護がいつまでも女性のものであり続けてしまう
・家事育児が女性だけの責任にならないように、正社員の長時間労働削減などの根本的解決を図る必要がある
・共働き世帯の増加と女性活躍推進に対応するためには、社会システム全体のアップデートが必要
・「専業であれ、兼業であれ、さまざまな負担を主婦に押し付けることで社会を回していた日本の循環構造」が共働きも専業もしんどい理由
・男性も上記の構造に組み込まれている
 片働き男性→妻が専業主婦だから転職しにくい
 共働き男性→職場が家に専業主婦の妻がいる男性を前提とした働き方だから早く帰れない

コメント
・「女性が活躍する社会」を目指す一方で、専業主婦前提の社会構造が変化しないままである。実際、世論調査では、8割以上の人が「女性が家事育児に多くの時間を費やしていることが女性活躍が進まない要因の一つである」と考えている。(資料1、2-(4))
・女性活躍推進の議論では女性の働き方にばかり着目してしまうが、男性の働き方や家庭進出についても着目する必要があると考える。日本人男性の家事時間は増加傾向にあるものの、女性と比べると大きな差があるのが現状である。(資料2、p39)この原因の一つに、長時間労働により家事時間が十分に確保できないことが考えられる。長時間労働などの問題を是正していくことで、男性の家庭参加を促し、家事育児が女性だけの責任にならないように改善されることが期待できる。
家事育児・介護を男女双方が負担し、働き方を見直していくことで、専業主婦に頼りきりであった社会システムを改善することができるのではないだろうか。

資料1
https://survey.gov-online.go.jp/r04/r04-danjo/2.html

資料2 『令和3年版男女共同参画白書 特集 コロナ下で顕在化した男女共同参画の課題と未来』
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r03/zentai/pdf/r03_tokusyu.pdf

作成者:4年 足立




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