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「女性総合職の働き方」についてディスカッション(2023/12/13)

濱口桂一郎『ジョブ型雇用とは何かー正社員体制の矛盾と転機』p.201ー227より

今回は、女性総合職の働き方について調べました。
男性とは違った、キャリア形成における難しさが見えてきました。

Aさん:
■女性総合職の離職率は高い
10年間で58.1%、20年間で85.5%が離職
一般職への転換:転換制度のある企業で過去3年に利用者あり約44%
■政策の矛盾
雇用の「量」→改善傾向:女性就業者数の増加・M字カーブの解消
雇用の「質」→課題あり:
カーブ解消の実態→30歳代以降は非正規雇用が主体
女性管理職→課長相当で11%
・就業率向上策:仕事と家庭の両立支援の充実など、女性の負担を軽減
登用拡大策:職務、労働時間、勤務地が無限定+長時間労働を厭わない=男性と同様に働くことが前提
上記の同時進行→矛盾を生む
・日本は性別役割意識が強い
企業組織は典型的な男社会であることも多い
女性総合職は少数派→男社会の壁に直面 セクハラ・パワハラなども
■キャリアの行き詰まり感
ロールモデルの欠如
育休や時短勤務による同僚との摩擦、キャリアへの負の影響
男性社員との扱いの差(育成指導、仕事内容、キャリアパス)
※統計的差別の考え:女性の多くは中途で離職していくため、男性を育成登用するほうが合理的
■事例
某信用金庫
総合職:934人
女性総合職:125人(13%)既婚:59人(6.3%)役付き:29人(3.1%)
係長まで昇格した女性総合職は2023年時点で1人
・マネーアドバイザー:女性限定の総合職の1種
営業として働くことが困難になった女性のキャリア形成における救済的な側面あり
⚪︎微妙だと思った制度
・ストック休暇制度:未使用の有給休暇をストックできる
傷病による療養や通院、子どもや家族の看護が必要となった際に使用できるように
しかし…ストック可能期間が50日しかない
・看護休暇:子どもの看護のために有給とは別に休暇を取得できる
しかし…小学校就学前の子ども対象、子ども1人につき年5日が限度

参考資料
中沖、高野(2020)「女性総合職が早期離職する所要因の解明とその対応策」
https://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php/KO40002001-00002020-0013.pdf?file_id=161903
乙部由子(2022)「女性管理職のキャリア形成」『椙山女学園大学教育学部紀要』15(1), 155-161, https://lib.sugiyama-u.repo.nii.ac.jp/records/3474

Bさん:
事例)
①働く女性:村木厚子さん(元厚生労働省事務次官)
子育てと両立させながらキャリアを築いた
・当時の公務員は制度上男女平等、結婚出産で辞めさせられることはなし
・しかし、キャリア採用される女性は20−30人に1人
・第一子の出産→仕事との両立が困難に
・とにかく効率化した:
・同じ職場の夫も協力
→女性の、子育てと仕事の両立は「金銭」「家族の協力」が不可欠
→誰でもできることなのか、男性の「両立」と同じと言えるか、そうでないなら、政府・雇用先は何ができるか

②企業の動き:東京海上日動
・24年度から:男性が多く国内外転勤するコース/女性が多い勤務地限定コースの区分廃止
 給与体系を一つにし、転勤できる人は「手当」で対応 ×コース別
・背景に:夜の会食や転勤が可能な男性が昇進しやすい
 ゴールディン氏「強欲な仕事(残業や休日出勤、夜間業務や急な呼び出しに対応できる人が多額の報酬を得ている)」と指摘
※繋がらない権利?

その他)
・本田由紀「戦後日本型循環モデル」より、
 そもそも制度自体が女性総合職を難しくしている?

https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20120630/houkoku/01_honda.html 本田由紀「若者は社会を変えるかー新しい生き方・働き方を考えるー」、労働政策研究・研修機構、2012年6月30日(2023年12月13日閲覧)

※参考文献
https://woman-type.jp/wt/feature/401/
「厚労省でお茶汲みからキャリアをスタートした村木厚子事務次官が語る、女性たちの“ゆるく働く”思想に潜むリスク」、女の転職Type、2014年11月(2023年12月13日閲覧)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/kasumigaseki/article/article_190430.html
 「官僚人生 私たちはこう走った」、NHK NEWSWEB(2023年12月13日閲覧)
・日本経済新聞「『会社優先』男女格差生む」2023年12月10日朝刊(2023年12月13日閲覧)

Cさん:
垂直的職業分離
・地位の高いポジションに行くほど、女性の割合が低くなる。
・(類語)水平的職業分離
 例えば、幼稚園教諭・パイロットなど
 男女占有率に偏りのある職業
 自分は向いていないのではないか、と自己効力低下
・管理職についても同様
 ロールモデルの不在⇒女性が自身のキャリアをイメージできない
 (例)「大阪サクヤヒメ表彰」https://www.osaka.cci.or.jp/osakasakuyahime/

男女若者の将来のライフコースについて
・「自分の将来」
・「配偶者がいた場合の将来」
・キャリア決定は、個人の選択だけでなく周囲からの期待にも大きく影響を受ける

「若者のキャリア形成とジェンダー-社会正義からの再考-」安達智子,2022,キャリア教育研究,巻40,p39-44 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssce/40/2/40_39/_pdf/-char/ja


・補助的役割に就く女性の方が多い
・女性がCEOを務める割合は、5人に一人
・大企業ほど、女性がCEOを務める割合は減る



・地域別、管理職に就く女性の割合
・「ドイツや日本のような一部の経済大国では、国をそれぞれの地域と比較すると、管理職における女性の割合が比較的低いです。 一方、カリブ海諸国と太平洋諸国などの島嶼国では、管理職における女性の割合が高い傾向にあります。
  社会と企業文化、国家政策、女性のスキルと才能に対する企業の需要が影響しています。」
”Women in Business and Management: The business case for change” ILO
https://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/---dgreports/---dcomm/---publ/documents/publication/wcms_700953.pdf

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