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#17 インシデントレポートを書く意味

 インシデントレポートって、できることなら書きたくないですよね。

上司に書くように言われるとドーンと落ち込んだ方も多いのではないでしょうか。

1.インシデントレポートの意味

 本来インシデントレポートは、起こったことを振り返り、今後起こらないように対策を立てるためのものです。ですから、ヒヤリハットでも提出するよう指導されていたりします。

2.インシデントレポートを書きたくない理由

 ⅰ.上司の反応

 インシデントレポートを提出したときの上司の対応も、一緒に振り返り考えてくれる人もいれば、頭ごなしに怒る人もいます。他のスタッフも、書きたがらず、後輩に押し付ける先輩もいます。
 「怒られるんだろうな」「嫌味言われるんだろうな」と思うと気が重くなりますよね。

 上司や年長者は、インシデントレポートが少ない、または、書かない方がいいことだという認識の方もいますが、それは時代遅れの考え方です。
 危機管理意識の高い施設では、より多くのインシデントレポートを提出した部署を表彰するところもあります。
 上司を始め、年長者の考え方や指導の仕方で、インシデントレポート記載に積極的だったり、消極的になったりします。
 本来の書く意味を理解し、指導するようになるといいなと思います。

 ⅱ.インシデントを起こした自分を認められない

 明らかな自分のミスだとわかっていても、それを認められない気持ちが、インシデントレポートの記載を躊躇させます。
 自分の不甲斐なさや、不注意などが原因でインシデントが起こることも多いですよね。「私じゃない」「いつもはできてるのに今回だけ特別なだけ」と原因を「その時たまたま」と考えて、書きたがらない人もいます。

 ⅲ.当事者ではないのに記載することへの拒否感

  これに関しては、いろいろなシチュエーションが考えられます。
   ・たまたま居合わせただけ
   ・前勤務者のミス
   ・他部署のミス
 などですが、実際はもっと細かくあると思います。

 この場合、インシデントレポートを書くことが「他のスタッフへの指摘」になるため、躊躇したり、状況が明確ではないため、書きにくいことが考えられます。

3.記載するときの考え方

 あなたは、インシデントレポートを記載するとき、どんなことを考えて記載していますか?
 やっつけ仕事でとりあえず必要事項を埋めている方もいれば、きちんと振り返り、何がいけなかったのか、どうすれば良かったのかを考えて、記載してる人もいると思います。

 ⅰ.自分のミスの場合

 何が原因で、どうすれば防げたのかを、しっかりと振り返りましょう。

 時々レポートを読んでいて、患者さんや、前の勤務者のせいにして、自分は悪くないと暗に記載している人がいます。
 インシデントレポートは、犯人探しのためのレポートではありません。このような記載をする人は、レポートの書く意味を誤って認識しているか、振り返りができていないということです。

 また、自分の非を認めたら負けと思っている方も時々いますが、明らかな落ち度があるのに、人のせいにしたり、省みるべきときに、それができないのは、むしろ幼稚な大人気ない行為ですし、あなたの信頼も失います。
 反省すべきときは反省をし、謝罪が必要なときには謝罪ができるのが、大人ですし、そうすることで周囲の信頼を得られます。

 ⅱ.当事者ではない場合

 書きづらいですよね。わかります。インシデントの内容にもよりますが、日常業務内でありうることなので、客観的に記載していきましょう。

 まず、発見したときの状況を整理して記載し、考えられる原因を探りましょう。あとは、自分だったらどんな対策を考えるか書きましょう。
 状況説明の段階で多少当事者に触れますが、事実としての記載のみならば責めていることにはなりません。

 上司や当事者の年長者が「なんで当事者じゃないのに書いたの」と責めてきたら、今後も同じような状況が起こる可能性があるので記載した、ということを伝えましょう。
 それで正当な理由もなく、文句を言うような上司は、自分には管理能力がないと言っているものですし、自分ができていなかったことを指摘されて、怒りだすような年長者は、おそらく他のスタッフからも信頼されていない人でしょう。
 そのような人とは、その場は適当に合わせておいて、言われたことは気にする必要もないので、スルーすればいいでしょう。

裏技:他部署をまたぐインシデントの場合
 他部署、もしくは施設全体の問題として扱ってもらえるよう、あえて発見者として記載するという方法もあります。

 インシデントレポートは、施設内の会議にかけられます。その会議には、各部署から代表者が出席しています。看護部やひとつの部署だけでは変更できないようなことも、「このようなインシデントも起きるので方法を変えた方がいい」と提案する機会になります。
 正式な会議なので、部署間で話すよりも効果的な結果が期待できます。
…もちろんダメなときはダメですが…。

まとめ

 インシデントレポートは本来、起こったことを振り返り、対策を考えるためのものですが、上司たちの反応や、自分の感情が原因で書くことを躊躇してしまうことが多くあります。
 しかし、本来の目的を理解し、起こったことを振り返り、対策を考えていきましょう。


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