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ある生きがいについて

 もう30年以上も前のこと、私の時代は結婚退職が普通の時代でした。私の友人たちの多くも結婚退職、育児退職は当たり前のことでした。私は教員でしたが、その当時は子女を教育する機関で働いていましたので、多くの先輩たちに結婚退職や育児退職を強く勧められました。ありがたいことではありますが、私にその気はありませんでした。
 
 積み上げてきたキャリアというか、参考書というか、イギリスで大量に買い込んできたテキストというか諸々のもの、それを捨て専業主婦をする気がありませんでした。その女子高校は、結婚後退職することになりましたが、次の教える場所を決めてからのことでした。

 以来 私は、本当に一生けん命に「教える仕事」に励みました。どんなにつらい状況であっても、常に打開策を考えて挑戦し続けました。途中1年間大学院にいったりしたこともありましたが、それとて、教育を充実させて、自分の授業を改善するために学びに行ったのでした。

 多分365日中教えることを考えない日は7日もないと思います。それは、仕事というよりも、「生きている」「息をしている」という感じです。私は決して高名な教育者ではありません。研究を積んでも、学者にはなれない、ただの教育者です。ただ、「毎日新しくワクワクすることやりたい」「学生達にもそう思ってほしい。」という気持ちだけです。

 家族でさえなぜ毎日飽きもせずに一日中教えることを考えたり、学んだりしているのか、分からないと思います。「自分の時間と仕事の時間が、はっきりしないで、ずっと仕事をし続けているような私の生活」を息子も見習いたくはないと思っているでしょう。

 教えること、教える教材を考えること、学生達と相対すること、共に成長することは、私の趣味であり、人生で一番大切にしていることです。こんな生きがいに出会えて、今でも学び続けていること、学ぶことが沢山あることは、本当に幸せなことです。自己満足であるからこそ一生懸命になれるのですから。

 その日はいつか終わりが来ることでしょう。その時までに次に取り組むこと、学ぶことをしっかり考えておくことにしましょう。

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