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北海道の事件より思ったこと

元警察官で、数回の転職を得て、現在はバス運転手をしている傍ら、講演講師として活動をしている者が、思ったことを書くつぶやきです。
私個人の見解であることをご理解の上、読んでいただけると幸いです。

2月25日の朝、札幌市北区のコンビニストアで、店員3名が刃物を持った男に襲われた事件です。
内容については、報道されているとおりなので、ここでは割愛させていただきます。
亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、ケガをされた方にはお見舞い申し上げます。

今回の事件では、警察官が体を張って、警棒だけで被疑者を検挙したシーンが放送されているのを見ている方が多いかと思います。
けん銃を使っても良かったのでは!?と言う話が、SNSを中心に出ているので、私の意見を書いてみたいと思います。

日本の警察官がけん銃を使用するためには、「警察官等拳銃使用及び取扱い規範」と言うのが、法的根拠のひとつになるかと思います。
警察官等拳銃使用及び取扱い規範 | 法令文庫 (legaldoc.jp)

警察学校をはじめ、現場に配属されても、最低年1回は、射撃訓練をします。
他にけん銃使用の映像射撃訓練を実施したり、術科監察(自治体によって言い方が違うかもしれません)等、あらゆる機会を通じて、けん銃使用の訓練を受けています。
特に映像射撃訓練では、この場合は撃って良いのかいけないのか、けん銃を取り出していいのかどうか、等の訓練をしています。
なので私は、日本の警察官は、けん銃使用に関しては慎重になっている一方で、いつ使うべきかと言う判断は、日頃からの訓練で養われていると思います。
警察官がけん銃を使用した事案があった際、マスコミが「警察官が悪い(私の偏見かもしれません)」みたいな報道がされている様に思いますが、これだけの訓練をしているのですから、けん銃を使用した時は、「本当の最終手段だった」だなと、私は思います。

さて今回の事件についてけん銃を使用すべきかだったかどうかについてですが、私は使わなくて良かったと思います。但し事案がこれ以上悪化する場合、けん銃の使用はやむ得なかったと考えます。

現場に着いた警察官が、目の前に刃物を持った被疑者、しかも人を刺した直後の犯人が目の前にいたら、取り押さえることを最優先すると思います。
けん銃使用も考えていると思いますが、けん銃を使った場合、周囲への影響(跳弾等)も当然考えていたと思います。
総合的にみると、目の前の被疑者を取り押さえ、刃物を離し、逮捕することが最優先だと思います
あれだけ切迫した中で、けん銃を使わず、警棒と警察官の体だけで制圧し、逮捕した警察官は、むしろ称賛に価すると思います。
警察官=柔剣道・逮捕術のイメージが強い方がいるかと思いますが、今回の逮捕は柔剣道・逮捕術を活用し、必要最低限の力で制圧した好事例だと思います。
現場があの映像以上に荒れ、警察官をはじめ第三者に危害のおそれがでる時は、けん銃の使用は当然だと思います。

日本の警察官はけん銃の使用は慎重になっている思っている方が多いかと思いますが、数多くの訓練を重ねた上でのことなので、慎重ではなく、法令等を理解し、状況を適切に判断しているということであると思います。

また今回の事件では、コンビニの従業員の方が死傷しています。
今回の事件でコンビニ強盗をはじめ、この種の事件に対応する訓練の必要、カラーボールや護身用具の使い方の確認等が必要になっているかと思います。
今回の事件からの護身術等については、当協会の上席コンサルタントの森雅人氏が解説していますので、興味のある方はぜひご覧になってください

予測できない人の行動=安全管理にもつながると思います。
今回の事件を機に、予測できない人の行動等についてどう対処したらよいか、考えてみてはいかがでしょうか?
私の安全大会向けの講演では、けん銃訓練の話もしていますので、詳しいことを知りたければ、ぜひ講演を聞いてみて下さい。

講演依頼については、「一般社団法人 日本刑事技術協会」へお願いします。
一般社団法人日本刑事技術協会 | Japan Detective Technology Association (j-keiji.org)

河野博紀 プロフィール
河野 博紀 | 一般社団法人日本刑事技術協会 (j-keiji.org)

#日本刑事技術協会 #講演 #元警察官 #けん銃


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