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バス運転士の2024年問題と人手不足

元警察官で、数回の転職を得て、現在はバス運転手をしている傍ら、講演講師として活動をしている者が、思ったことを書くつぶやきです。
私個人の見解であることをご理解の上、読んでいただけると幸いです。

バス・タクシーやトラック運転手に関して、2024年4月から労働時間の規制に伴い、人手不足等の問題が言われています。
なぜ今ごろ騒がれているかと言うと、そもそも「働き方改革関連法」にあります。
2019年4月に法律は施行されていますが、バス・タクシー、トラック等の運転業務は2024年4月まで施行が猶予されていました。
本来であれば、施工が猶予された5年間で、国や業界等が長時間労働問題等について是正し、対策を取るべきだったのですが、慢性的な人手不足問題と新型コロナウイルス感染拡大による経営への打撃等により、有効かつ抜本的な対策を取ることができず、今日を迎えている状況であります。

バスに関して言うと、人手不足と長時間労働を改善するため、減便や廃止等が起きているのが現実です。
利用者からしたら、突然に廃止や減便って何!?と思う方が大半だと思います。

今のバス会社は、運転士の募集をかけて集まらない、入社したとしてもすぐに辞めてしまう等の問題があり、なかなか定着することがありません。
バスのダイヤを維持するため、今働いている運転手が長時間労働しているからこそ、今のバスダイヤが維持されているってことを理解して欲しいです。
それに長時間労働をしている割に賃金が安すぎるって言うのが、一番の問題かと、筆者は思います。
さらにカスハラ客等が以前より多くなり、カスハラ客の対応に疲れ、精神的に病んで休職・退職する人が多いって言うのもあるかと思います。

賃金に関して言えば、一般的な業種の年収が約499万円に対し、バス運転手の年収は約399万円と言うデータがあり、平均より約100万円低いと言うデータもあります。
航空や鉄道等と同じ、お客様の命を預かりながら仕事をしているのに、こんな低賃金、さらには長時間労働では、誰も定着しなくなりますよね。
筆者もバス運転手として働いていますが、良い条件の会社があれば、今すぐに転職を考えていますが、上手い話はないので、仕方なく我慢して働いているって感じです。

そもそも日本の公共交通関係に従事する人の賃金と言うのは、他の業種と比べると低い傾向にあるのも事実です。
鉄道も、一般的な業種と比べると低いと思います。
大手の会社はまだ良いかもしれませんが、地方の鉄道・バス会社になると、賃金の問題は深刻かと思います。

現状、人手不足に加え、4月から施行される働き方改革関連法が施行されるため、バス会社は今いる運転手で可能なダイヤを回すために、苦肉の策として減便や廃止等に出ていると言うのが現状です。

この問題を解決するためには、どうしたらよいかと言うと、一番は賃金を上げることです!
入社時に祝い金や引越し費用を出す、入社した人を紹介した時には、紹介者に紹介金を支給する等の策をしている会社が多くありますが、その前に今働いている運転手の賃金を上げるのが先ではないでしょうか!
そして長時間労働を少しでも改善するのが先ではないでしょうか!
退職者ドミノになっている現状を理解し、賃金アップをするのが先ではないでしょうか!!
岸田首相は「トラック運転手の賃金を10%あげる」と言っていましたが、バス運転手はどうするの!?業界を見捨てていますよね、としか思えないですね。

日本の公共交通関係の業界は、自民党ではなく、野党を支持しているので、この辺もバス運転手や鉄道関係者の賃金アップ・待遇改善の話にならないのかなとも思ってます。

利用者の方は、減便や廃止等を黙って見ているだけのかと言うと、そうではありません。
今あるバス路線を利用することが一番の策です。
バスの時刻が不便だから、マイカーを使い駅まで送迎してもらったり、通勤に使ったりしている方が多いと思います。
また雨の日はマイカーで通勤されている方も多いかと思います。
バスの立場からすると、駅前ロータリー等のバス停に、送迎待ちの一般車の路上駐車や、雨の日や休日だけ等マイカーを使うことによる渋滞の発生等が、バスの環境を悪化させているってことを理解してもらいたいです。
今あるバスにちゃんと乗ってもらう事で、バスの売り上げもアップし、運転手の賃金アップにつながるんです。
バス停等から駐車車両がなくなること、雨の日や休日等の渋滞がなくなることで、バスの環境がよくなり、廃止や減便の防止につながると思います。
バスを利用することが、CO2削減に貢献できることも知ってもらいたいと思います。

またバスを利用する際には、バス運転手に感謝することです。
簡単には降りる時・乗る時に「ありがとうございます」と一言いうだけで、運転手は非常にうれしいものです。運転手も人間ですから。
また車いす等の利用客がいる時は、暖かく見守っていただきたいと思います。
バス運転手は、一人で全て対応をしなければいけないので、時間がかかってしまいます。なので暖かく見守っていただきたいと思います。
車いす等の利用者も、バス運転手に感謝して欲しいです。

たまにしかバスを使わず、たまたま乗ったバスの運転手の言動が気に食わないってことがあるかと思います。
それって、運転手に対して常識ある態度・言葉遣いですか?
見下したりしていませんか?
カスハラ客は、自分が一番と思っている方が多いように見えます。
バスだけではなく、他の業種の方にも同じような態度で接していませんか?
一昔前は「お客様は神様」と言う言葉もありました。
今はそういう時代ではありません。
バスだけに問わず、1人の人として対等に接して行かなければならない時代になっています。
自分の意識を変えていく必要があると思います。
じゃないとこの先の時代、生き延びていくことはできないですよ。

バスの場合、運行中の車内で転倒したりした場合、責任はバス運転手個人に全てくるってことです。刑事罰・行政罰等。
なので自動放送やマイク案内等で動かない様に口酸っぱく言ってますが、お客様の命を守る為であり、自分を守る為でもあります。
下手な自信なのか、自分は大丈夫かと思っている方が多く見受けられますが、現実はほとんどの方が危険な状態です。
一歩間違えば、間違いなくお客様がケガをする状況です。
バスの車内では、運転手の言う事を素直に聞きましょう。
これもバス路線維持につながっていくんです。

そしてマスコミの方々。廃止や減便等の報道をしていますが、ほとんどが利用者や経営者等の視点でしか報道されてなく、バス運転手の立場で報道されているのを見たことがありません。残念ながら。
バス運転手は、長時間労働や低賃金を我慢しながら、使命感で仕事をしています。でも使命感だけではもう限界に来ています。
長時間労働改善や賃金アップのために、どうすればいいか、運転手視点で報道をし、利用者(視聴者)にちゃんと真実を伝えて欲しいです。

これ以上書くと長くなるので、時間があり、反響がある時には、現状等を改めて書きたいと思います。

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

#元警察官 #バス運転士#バス運転手#2024年問題#運転士不足#日本刑事技術協会#講演

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