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イノベーションの罠

斉藤幸平さんの本の中にも出てきますが、今、社会全体、特にビジネスにおいてchatGPTやAIを活用したイノベーション(DX)が必須となっています。
DXに乗り遅れたら致命的だとして、日経を中心に情報発信され、DXに積極的に対応しない経営者は失格であり、リーダーシップを発揮して全従業員に教育を受けさせなければいけない。というのが標準認識とされています。
そしてそれを踏まえて外資系のコンサル会社が全面的、長期的に企業への指導を受託しています。
一つ一つの企業としてはやむを得ないことかとも思いますが、違和感を強く感じるのが、これが進行した時に、今よりもハッピーで豊かな社会になることが全く想像できないということです。
企業の業務の中で、システム化されていない煩雑であまり意味のない業務が多くあって、RPA等の活用で楽になる。というのは実感でき、DX全てが無意味ではありませんが、イノベーションのプロセスに精通したものが高く評価され、多くの報酬を得る(コンサルも企業内人材も)ことが納得出来ませんし、ビジネスプロセスが自動化された後、本来の財の使用価値や労働者の働きがいは低下するという想像しか出来ません。
現実的な話として、今までの企業内のシステム変更の際に、年配者が対応出来ないというデジタル格差(昨今のビジネスツールの多様化、進化は以前と比べて目まぐるしく、苦慮している方も多いかと思われます。)のレベルを超え、今後は若手でも脱落する人が増えることも想定されます。
構造的にも人時の減少が、今まで企業内の皆で作ってきた財(私の場合は商品)から生じる消費者の方の使用価値は向上せずに、企業の利潤がイノベーションプロセス指導に関わるコンサルやメディア等に流出してしまうことになるのではと懸念します。
企業としては対応せざるを得ない状況ですが、まずは自身の担当業務がどうなるか。(一例としてデータ分析や提案書作成、スピーチ作成等の業務はなくなりそう。)を想像すると共に、社会全体がどう変化していくかについて考えていく必要はありそうです。

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