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働き方進化論(1) 職場の起源、20年前と今

働き方進化論(1) 職場の起源、20年前と今
MBAデザイナー 中山兮智是

長時間労働改善や正規社員と非正規社員の格差是正、在宅勤務、或いは、女性の社会進出促進など多様な働き方を目指す「働き方改革」が脚光を浴びる中、政府主導による働き方改革関連法が本年4月1日に施行されました。私は仕事を始めた当初である約20年以上前から、日本の職場環境には大きな改革が必要だと感じ、これまでに独自で思案を重ねるのと同時に可能な範囲で様々な資料を集めていました。

現在では聞き慣れたフリーターという言葉が流行し始めたのも約20年前のことでした。当時は、正社員として組織の駒になる選択をせずに、自分の夢や好きなことのために時間を費やしアルバイトをしながら生活をしている若者たちを、どこか蔑んだ言葉でした。アルバイトとはいえ働いているにもかかわらず、労働に対する世間からの評価は低く馬鹿にされているような面もありました。更には、正社員の大半は、酒の席での腹を割った愚痴や文句は棚に上げ、サービス残業をすることが当然だと考える人間が多く、そのような姿勢を少しでも否定した異なる発言や行動すると、「お前は本気で働く気はあるのか?」「お前の仕事に対する考え方が甘い」「お前はまだまだ子供だな。大人になれ!」などと言われたものです。

「日本の組織の中には常識という名の非常識ばかりだ。」と主張されていたのは、ソフトブレーン創業者である宋文洲さん。宋さんが様々な場面で、批判と共感の両方を浴び、輝きを放っていた時期でもありました。今風にいうと、「WHY JAPANESE PEOPLE?」の厚切りジェイソンさんからお笑いの要素を少なくしたようなイメージの人でした。これまでに沢山の著書を書かれていますのでご興味ある方はご一読ください。特に、常識、当たり前、当然などの言葉を多用するような人にとっては視点が広がることでしょう。

「ネットサポート業務、始めました。おひとついかかがどす? 四月吉日。」 昨今では一般化してきたリモートワークの導入を、私自身が各企業に提案し始めたのは2008年、既に約11年前になります。当時は、100の企業で働かせて頂いた直後であり、足で稼いだ人脈の鮮度はまだ落ちていなかったはずですが、誰も相手にしてくれませんでした。時代が少し早すぎたのでしょう。


本連載では、これまでに何度も打ち潰されてきた私自身の微力な働き方改革の経験を踏まえた上で、実際に100社以上の企業の現場で働かせて頂いた特殊なフィールドスタディによる実体験を加味し、現状における「働き方改革」のあり方というものについて考えていきたいと思います。

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©2008 Tomoyuki Nakayama .  Source by "Tomoyuki Nakayama Works Portfolio"より一部抜粋。


中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI 日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp

記事:MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ 2019年5月16日付




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