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採用トレンド「3e」の一つ「exposure:さらけ出し」について考える

人事制度に定評のあるサイバーエージェントにおいて、「優秀な人材を集めることこそが組織づくりにとって最も重要である」と考える藤田晋社長の下で、黎明期より人事に携わり、その基礎を作られたデキタンこと、サイバーエージェント人事統括・曽山哲人さんの2019年3月4日(月)のアメブロでは、次のような記事が掲載されていました。


「採用の潮流が大きく変わっている。採用トレンドの「3e」とは」

( https://ameblo.jp/dekitan/entry-12444304539.html )

以下一部転載。
「私もこれまでたくさんの学生とお話していますが、ここ数年の採用のトレンド変化をまとめると3つの「e」にまとめられます。
採用の「3e」トレンド
 ①exposure さらけ出し
 ②esteem 承認欲求
 ③emotion 感情報酬
採用では「3e」トレンド(トリプルeトレンドと読みます)が動いています。…」

記事を拝読し私は次のようなtweetをさせて頂きました。

人事に定評のあるサイバー。人事はマーケティングと同じですね。定まった手法などなく常にニーズに合わせた変化が必要です。
「exposureさらけ出し」に関しては、組織内のインテグリティを高々と掲げるだけで、実行の伴わない組織などに参考にしてもらいたいですね^ ^


「exposure さらけ出し」と反対に、私がこれまでに働かせて頂いた100社以上の企業や組織の中には、なぜか「隠そう隠そう」とする組織も中にはありました。「なぜ、隠そう隠そうとするのだろうか?」という、なぜへの答えがとても重要になります。答えの一例として、「さらけ出し」する事でそれまでに蓄積されていた多くの問題が露呈することになる。つまりは、「さらけ出し」出来ないような事を常にやっているために、問題が蓄積されてしまっているということです。それ故に、「さらけ出し」をすると企業や組織の対外的な評価が下がってしまうことになる、などが考えられます。

大抵の場合は、「さらけ出し」すると、「受ける必要のない余計な批判を受けることになる」でしたり、「余計な仕事が増える事になる」などの、体裁のいい言い訳を理由にして「さらけ出し」をしません。批判を受けることになるか否かについては、公表する内容云々よりも、誰が公表するのかという、公表する人の人間性如何によるところが大きいと言え、つまりは批判を受けるに相当する人が公表するから大きな批判を浴びるだけであり、逆に人間性の高い人が公表するならば、たとえ問題ある内容であったとしても寧ろ批判を軽減させることも可能になると言えます。具体例としては、トランプ大統領とオバマ元大統領が移民政策に手続き上の不備があったと公表したとします。オバマさんの場合は多少の批判を浴びることになるでしょうが大きな批判にはならず、他方でトランプさんはこれまでにない批判の嵐と向き合うことになるでしょう。

「さらけ出し」をしないということは、本来受けなくてはいけない批判に耳を傾ける事がない為に、問題が大きくなった時点で露呈することになるということでもあります。小さな批判というものは、放置しておきますと次第にかけ算で巨大な批判へと変化していきます。例えば、小さな批判を「3」とすると、対応にかかる労力は「3〜4」で済みます。しかし、これを放置し小さな批判が10個溜まったとすると、足し算の「3+3+3+3+3+3+3+3+3+3 = 30 」ではなく、掛け算ですので「3×3×3×3×3×3×3×3× 3×3 = 3^10 = 59,049 」となり、60,000以上の労力が必要になります。 「さらけ出し」を嫌う企業や組織というのは、この蓄積された批判がいつ露呈することになるかという不安に対して、常に怯えている人たちが多いようにも、私の目には映ります。

更には、「さらけ出し」を嫌う企業や組織においては、批判の対象となる問題の蓄積をしてきた人たちに責任の矛先が向くことはなく、「さらけ出し」を行った人に問題があるとされ、責任の矛先が向くことになると言えます。「さらけ出し」を嫌う企業や組織というものは、外部から見る姿は、一見すると誇りがあり輝かしく見えたとしても、それは偽りの姿でしかなく、実際に内部からその姿を見ると、その企業や組織に自分が属している事自体に恥ずかしさや疚しさを覚えるような、大きな隔たりがあります。

新卒に限らず転職も含めて、これから何らかの就活を行う人たちは、ご自身がこれから働こうと思っている企業や組織のリーダーやマネジメント層に、「インテグリティ」があるかどうかという見極めと同様に、組織内に「透明性のコンピテンシー」があるかどうかをキチンと見極める事が賢明であると私は考えます。 補足として、全てがパーフェクトで100点満点の企業や組織、或いは、リーダーやマネジメント層などいません。自分たちが、満点ではない事をオープンにし、可能な限り満点を目指すのだと公言できる企業や組織は信頼に足ると判断して良いと私は考えます。逆に、100点満点に見える企業や組織には要注意です!! 何処かに、偽りや「隠そう隠そう」という圧力がかかっているかもしれません。

最後に、「esteem 承認欲求」や「emotion 感情報酬」に関しては、飽食の時代と言われる現代においては、米国の臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグによる二要因理論(動機付け・衛生理論)における衛生要因となる、マズローの欲求5段階説における低次の欲求即ち、「生理的欲求」「安全の欲求」及び「所属と愛の欲求」は既に満たされた人々が大半を占め、高次の欲求である「承認欲求」や「自己実現欲求」が求められる時代になっています。マーケティングの第一人者として知られるフィリップ・コトラーも、既に消費者ニーズはマーケティング4.0時代に突入し、モノ消費の時代から、コト消費を通して承認欲求や自己実現欲求を満たすことが消費行動に繋がるとしています。コト消費における決断において、重要なファクターとなり得るのがExtrinsic Valueですが、これはハーズバーグのいう動機づけ要因の満足度を上げる「職務充実」ともイコールになるものと言えます。



※こちらは2019年3月4日(月)のnakayanさんの連続ツイートを読みやすいように補足・修正を加え再編集したものです。


中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI 日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー 
1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp

記事:MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ 2019年3月6日付

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