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内閣官房と法人設立申請の電子化を考えてみよう

2019年1月18日(金)にサイボウズ株式会社にて開催された
『内閣官房と法人設立申請の電子化を考えてみよう』
https://topics.cybozu.co.jp/seminar/2018/12/httpsformkintoneappcompublicformshowf0f62b4026504516f46813e4d1fb786e1ea3a1a12329e4e4f2fc122da6365d3a.html 
のセミナーに参加させて頂きました。

©2019 nakayan. Photos source by nakayan. 

Source by : https://topics.cybozu.co.jp/

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法人設立申請の電子化に不可欠となるマイナンバーカードについてアンケートを行ったところ、会場内(約40名)でのマイナンバーカード保有率が、45.1%でした。国内全体での普及率は10%前後との事です。 お金をかけた割には普及率が低過ぎると批判されていますが、生産年齢人口での普及率は結構高いのかもしれません。40歳前後以降のデジタル世代は保有への抵抗が低く、シニア世代が壁になっている可能性が高いと言えそうです。

現在、内閣官房が省庁を超えて進めている、法人設立申請の電子化の目的は、起業家数を増加させることではなく、あくまでも法人設立のプロセスを簡略化することであるとのことです。プロセスの簡略化と起業家数の増加は相関がなく、アントレプレナーシップの育成と起業家数の増加は相関すると、内閣官房の担当者の方は見ているようです。 具体的には、法人設立申請の電子化により、何かと負担や気苦労が増える創業時において創業者の負担や苦労を少しでも減らすことが目的との事です。 つまりは、機能的価値を含めたIntrinsic Valueの改善が目的と言う事になります。

しかしながら、私は別の見方をしています。法人設立申請の電子化によって、感性的価値を含めたExtrinsic Valueを高めることに繋がり、起業家数を増加させることも可能になると考えています。現状における法人設立の手続きは、「めんどくさい」「手間がかかる」「時間がかかる」などといった、ある意味で先入観や思い込みに近いイメージが先行しています。 起業する事が天国に繋がるチャンスになる人もいれば、地獄への入り口になってしまう人もいますので、一概には言えませんが、仮に起業をチャンスとして捉えるならば、「チャンスは前髪で掴めるくらい」で動くことが出来なければ逃げて行ってしまいます。 前述したようなマイナスのイメージを先入観や思い込みとして持っている人の場合は、仮にチャンスが目の前に現れたとしても、チャンスを掴みに行く行動を躊躇ってしまうことが多くなります。引っ込み思案が多い日本人は特にその傾向が強いと言えます。

換言しますと、チャレンジ出来る機会が目の前にあったとしても、なんだかんだと言い訳をしてチャレンジしないことが多いのが日本人であるとも言えます。その言い訳するための材料を増やしてしまっているのが現状の姿という事でもあります。あくまでも私の推測ですが、日本人の「やれるのにやらない事による経済的な機会損失の額」は、世界の中でもトップ3くらいには入るのではないでしょうか。もしかしましたら、世界No.1かもしれません。

法人設立申請の電子化により、会社を創ることへのイメージが「簡単に」「手軽に」「短時間」で出来るというものに変わるだけでも、チャンスを目の前にした時の人の行動は大きく変わってきます。この潜在的なイメージが変わる事で人の行動が変わるという結果が、Extrinsic Valueが高くなったと言える訳です。 更には、Extrinsic Valueが高まる事により、シリアルアントレプレナーは確実に増加します。

日本人は失敗を嫌う傾向が強い上に勘違いをしている人が多いですが、1度起業した程度で成功している人は、全体の1%にも満たないと言え、大抵は失敗しています。 1回起業した程度で上手くいくのは、相当の能力がある人か、運が良い人だけです。一度の失敗で終わってしまうことが多い日本とは異なり、米国の投資家たちの認識では、失敗を経験したことのあるシリアルアントレプレナーの方が、その後の成功確率は高まるという見解が普及しています。日本国内に成功確率が高いシリアルアントレプレナーが増えるという事は、日本経済を押し上げる要因にもなり得ます。つまりは、アベノミクス第三の矢である成長戦略に、見える形での結果をもたらすことも可能になるということです。

まとめますと、法人設立における電子化について、国が省庁を超え自ら変わろうとしている意思表示や行動姿勢としては一定の評価をしますが、それを具体的にアベノミクス成長戦略の結果に繋げるためには、シリアルアントレプレナーを増やす事が、KFS(Key factor for success)であり電子化と同時に、起業における失敗への対応の簡略化と、再チャレンジのし易さを補完する必要があると私は考えるところです。

※こちらは2019年1月18日(金)のnakayanさんの連続ツイートを読みやすいように補足・修正を加え再編集したものです。


中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI 日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー 
1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp

記事:MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ 2019年1月19日付



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