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MBAデザイナーnakayanさんの本棚 #01 稲盛和夫著「生き方」

MBAデザイナーnakayanさんの本棚の初回は、やはり稲盛和夫さん著 『生き方 ― 人間として一番大切なこと』 (サンマーク出版)から始めさせて頂きたいと思います。私の座右の書である稲盛さんの「生き方」に関しては、これまでブログやtwitter等で何度も引用させていただきましたが、気付きを多く与えて下さる本だけに引用しても引用しきれません。

本日は、私が以前ビブリオバトルにて、まだ読んだことがない方向けに作成したパワポ資料をベースに、その要点をまとめさせて頂きたいと思います。要約とは関係ありませんが、本来はビブリオバトルでパワポを使うことは違反だそうです(笑)。

仮に、私が「生き方」の帯を書かせて頂くならば次のようになります。

「世界的大企業・京セラとKDDIを創業し、更には誰もが不可能だと思ったJAL再生を成し遂げた著者が、その成功の礎となった「人生哲学」をあますところなく語りつくした名著。」(MBAデザイナーnakayanさん大絶賛!!「人生の指針を失っていた私の生き方が変わりました。20代半ばで出会えてよかったです。私にとっては、考え方を改めるべき啐啄同時の時期に出会えた貴重な一冊です。」)

「生き方」の初版が出版されたのは、時代の寵児と言われたIT長者たちが群雄割拠していた2004年7月。その後、2005年にはライブドアがニッポン放送を巡ってフジテレビと対立。2006年始め、ライブドア役員の多くが証券取引法違反の容疑で逮捕されました。私のみならず当時の20代たちが人生の方向性を失いかけていた時期に出版され、私はこの「生き方」に出会いました。稲盛さんは、そんな時代の乱れを心配され、「このように生きてきた私のような人もいるのですよ」と、ご自身の「生き方」を示されたのでしょう。


#おさえるべき3つのキーワード

1.人生の方程式 (考え方のベクトルが人生すべての方向を決める)。
2.単純な原理原則が揺るぎない指針となる。
3.人は才より徳が求められる。(特にリーダーや才能ある人物には必須)


1.人生の方程式(P.94~P.96) 

人生・仕事の結果=「考え方」×「熱意」×「能力」
※この式のなかでもっとも重要なのは、「考え方」というファクター。
※ポイントは掛け算である点。

◯ 頭脳明晰な人間(能力90点)が、能力を鼻にかけ、努力を怠たったならば・・・、

「熱意」30点×「能力」90点= 2700点

◯ 頭の回転は人並み(能力60点)が、俺には才能がないからと自覚して、努力でカバーしたならば・・・、

「熱意」90点×「能力」60点= 5400点 

※両者を比較すると、後者は前者の倍の点数(仕事)を成し遂げられる計算になる。

さらに、そこに「考え方」の点数が掛け合わされる。

考え方には、いい考え方もあれば悪い考え方もある。考え方の要素だけはマイナス点も存在する

仮に、後者の 「熱意」90点×「能力」60点=5400点 の人間ならば、考え方の ±α点 をかけ合わせると、

5400α点  or  −5400α点 

※才能に恵まれた人が情熱を傾けて、詐欺や窃盗などの犯罪という「仕事」に励んでも、そもそも考え方がマイナス方向に働いているので、けっしてよい結果は得られない。


2.単純な原理原則が揺るぎない指針となる。

「原理原則に基づいた哲学をしっかりと定めて、それに沿って生きることは、物事を成功へと導き、人生に大きな実りをもたらします。」(P.89)

では、原理原則に沿って生きるとは、具体的にはどういうことなのか?

「二つの道があって、どちらを選ぼうか迷ったときに、おのれの利益を離れ、たとえそれが困難に満ちたイバラの道であろうとも、「本来あるべき」道のほうを選ぶ・・・(中略)・・・そういう愚直で、不要領な生き方をあえて選択することでもある。ただ長い目で見れば、確固たる哲学に基づいて起こした行動は、けっして損にはならないものです。一時的には損に見えても、やがてかならず「利」となって戻ってくるし、大きく道を誤ることもありません。」(P.89)
「簡単に手に入るお金は簡単に逃げていくものだ。」(P.91)
「額に汗して自分で稼いだお金だけが、ほんとうの“利益”なのだ」(P.91)
「実行していくのは容易なことではありません。・・・(中略)・・・絶えず戒めていないと、つい忘れがちなもろいものでもあります。だからこそ、いつも反省する心を忘れず、自分の行いを自省自戒すること。また、そのことさえも生きる原理原則に組み入れていくことが大切なのです。」(P.94)


3.人は才より徳が求められる。(特にリーダーや才能ある人物には必須)

「考え方とは、生きる姿勢、つまり哲学や思想、倫理観などのことであり、それらをすべて包含した「人格」のことでもあります。謙虚という徳もその一つに数えられるでしょう。その人格がゆがんでいたり、邪(よこしま)なものであれば、いくら能力や熱意に恵まれようが・・・いや恵まれていればいるほど・・・もたらされる結果の「負」の値は大きくなってしまうのです。」(P.130)
「(前略)・・・わが敬愛する西郷隆盛も、「徳高き者には高き位を、功績多き者には報奨を」と述べています。つまり功績にはお金で報いればいい、人格の高潔な者こそ高い地位に据えよといっているのです。百年以上も前の言ですが少しも古びていない、今日にも十分通用する普遍的な考え方といえます。」(P.131)
「(前略)・・・人の上に立つ者には才覚よりも人格が問われるのです。人並みはずれた才覚の持ち主であればあるほど、その才におぼれないよう、つまり、余人にはない力が誤った方向へ使われないようコントロールするものが必要になる。それが徳であり、人格なのです。・・・」(P.131)

※「才あって徳なし」ではいけない。「才子、才に倒れる」となりやすい。


#(おまけ)苦難や逆境に立ち向かった際には(稲盛さんのケース)

・・・ 稲盛さんが、かつてマスメディアから非難を浴びたことがあった。・・・

「私は擔雪(たんせつ)老師を訪ね、「このところこういう問題があって、心労が耐えないのです」というお話をしました。老師もこの問題については新聞などを読んで知っておられたようです。あたたかい慰めの言葉をかけてくださるのかと思ったら、老師は開口一番、次のようにいわれたのです。 「たいへんでしょうが、しかたありません。生きていれば、苦労は必ずあるものです」 そして、続けざまに次のようにお話しくださったのです。 「災難にあったら、落ち込むのではなくて喜ばなくてはいかんのです。災難によって、いままで魂についていた業が消えていくのです。それぐらいの災難で業が消えるのですか ら、稲盛さん、お祝いをしなくてはいけません」 このひと言によって、私は十分に救われた思いがしました。 世間からの批判も、「天が与えたもうた試練」と素直に受け取ることができたのです。・・・」(P.236)

以下は、文中にはない私の解釈になります。

仮に目の前に、「楽な道」と「困難な道」の2つがあったならば、自らを鍛える好機と捉え、あえて困難な道を選ぶというのは理想的ではありますが、なかなか出来ることではありません。無理をし過ぎたり、頑張り過ぎたりしても結局は長続きしませんので、継続可能な「小さな無理」程度の実行や行動の積み重ねがとても重要です。

そして、仮に自らが望まずに苦難や逆境に遭遇したならば稲盛さんが擔雪老師から教わったように「これまでの業を晴らすための好機」と捉える。更には、苦難や逆境を自分にとっての当たり前とは思わない方がいいものです。苦難や逆境が当たり前になってしまいますと、そこから抜け出せなくなり不幸せになっていきます。当たり前とは、あくまでも順境であり、好調期であり、幸せになることが当たり前です。人は誰しも、幸せになるために生まれてきています。不幸せになるために生まれてきた人は誰一人としていません。

仮に今、不幸せな状態だと感じるならば、それは不幸せを当たり前であると思ってしまっている証拠です。「では、何が現状の不幸せを作り出しているのでしょうか?」。不幸せな状態とは、様々な構成要素によって作られています。その構成要素の一つが「不幸せが当たり前」だと思っているご自身の心です。

その事実に対して「私は、間違っていた!幸せであるのが当たり前なのだ!!」とご自身で気づいた瞬間から、心が変わり始めます。心が変われば行動が変わり、行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わり、人格が変われば運命が変わります。そして、人は必ず幸せになっていきます。


#(まとめ) 稲盛和夫著「生き方」について 

稲盛式人生
人生・仕事の結果=「考え方」×「熱意」×「能力」
※特に考え方が重要。

稲盛式指針
・単純な原理原則(プリミティブな原理原則)が揺るぎない指針となる。

才より徳を重んじる
・人並みはずれた才覚の持ち主ほど、徳や人格で考え方をコントロールする必要がある。




中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI 日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー
1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp

記事:MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ 2018年6月3日付

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