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素粒子経済学から世界経済を見る

2019年1月13日(日)放送のTBSサンデーモーニング「風をよむ」のコーナーでは「揺らぐヨーロッパ」 

( https://note.mu/tbsnews_sunday/n/ndb8333da72d7?magazine_key=m26cde3a1301e )

と題し次のようなディスカッションがされていました。

以下一部転載。
「アメリカの調査会社「ユーラシア・グループ」が発表した2019年「世界の10大リスク」。その年の政治経済に悪影響を及ぼす事象を予測したものですが、1位にあげられたのは「Bad Seeds=悪い種子」。リーダー不在、いわゆる「Gゼロ」の時代が到来。長期的で潜在的なリスクが高まり、国際的な枠組みが崩れる中、ポピュリズムやナショナリズムの危険性についても指摘。4位でも「欧州のポピュリズム」が挙げられるなど、ヨーロッパ発のリスクに注目しています。…」

放送を視聴した上での私の見解を、僭越ながら以下に述べさせて頂きます。

アダム・スミスは「国富論」(1776)にて、個別の欲望に起因したベクトルの異なるフロンティア開拓を放っておいたとしても、市場経済全体としては自然とバランスされ経済全体の発展に寄与するとして、「見えざる手」と表現しています。この「見えざる手」の作用は、一般的には個別の行動によるベクトルの向きは異なりながらも、そのベクトルが持つ大きさと経済全体に及ぼすベクトルの大きさの間には総和の関係性、つまりはある種一定の相対性や対称性が保たれるもののように思われますが、実際はその間にも素粒子物理学における「CP対称性の破れ」があるのかもしれません。

例えば、現状のような経済に悪影響を及ぼす事象である2019年「世界の10大リスク」として予測される、欧州のポピュリズムやナショナリズムの背後にある混沌を生み出す不安要素というものは、市場経済全体の発展に寄与するベクトルには大きさを持っておらず、寧ろ世界を破滅や崩壊へ導くような異なる次元のベクトルに対して大きさを持っているように感じます。しかしながら、仮に「CP対称性の破れ」によって「見えざる手」が作用しているならば、これらは決して異なる次元のベクトルではなく、同次元内においていずれかの対称性を破ることに繋がる役割を果たしているのかもしれません。

物質は、ある意味でCP対称性が破られることで存在しているとも言える訳で、物質を生み出すためにはCP対称性の破れが必要条件であるとも考えられます。つまりは、世の中に混沌を生み出す不安定要素は、市場経済全体の発展という次元ではCP対称性の破れと同様の作用を齎す要因となっており、それは市場経済全体の発展には不可欠な要因になっているのかもしれないということです。

これまでも、市場経済全体の発展が継続されていた際には、世界の見えない何処かでこの混沌を生み出す不安定要素は市場経済全体の発展に比例する形で一定数生じていたのかもしれません。これまではただ単に世界がその混沌に目を向けることがなく気づくことがなかっただけだったが、ここ数年のICTの革新的な進化発展により、世界が知るところとなったに過ぎないのかもしれません。換言しますと、これまでは市場経済全体を発展させるベクトル要因を、目に見えるベクトル要因のみからチェーリーピッキングしていたに過ぎず、本来必要となる構成要素を見誤っていたに過ぎないだけとも言える訳です。 そのような視点から考察しますと、どこかに隠れてしまったと囁かれる「見えざる手」はまだ存在している可能性もあるのかもしれません。


※こちらは2019年1月13日(日)のnakayanさんの連続ツイートを読みやすいように補足・修正を加え再編集したものです。


中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI 日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー 
1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp

記事:MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ 2019年1月29日付

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