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100の企業で働いた男、MBAデザイナーnakayanさんが教える電話術

2019年2月2日付日本経済新聞夕刊には、時代背景を描写した次のような記事が掲載されていました。

「電話は苦手」な若手支援 検定や研修、職場で拡充 
SNS世代、企業がイチから指導

( https://www.nikkei.com/article/DGKKZO40828420S9A200C1MM0000/ )

以下一部転載。
「メールやSNS(交流サイト)の普及で電話離れが進むなか、若手社員に仕事上の電話応対を指導する動きが広がってきた。検定を活用したり、電話技能を人事考課に反映させたり。ケータイ世代が持ちがちな苦手意識の払拭が狙いだ。...」

私はこれまでにフィールド・スタディの一環として、100社以上の企業で実際に働かせて頂いた経験がありますが、その中にはコールセンターでの勤務も何社かありました。コールセンターでは主に通信機器に関する故障対応や設定案内を中心にしたテクニカルな対応に加え、調整なども含めたカスタマーサポートを行っていました。カスタマーサポートの場合、技術に関する知識を持っていることは必要条件でしかなく、お客様が直面している見えない現場状況から必要となる情報を的確にヒアリングしつつ、お客様に実際に行動して頂くための操作案内をするという、電話を通したコミュニケーション力や調査力、伝達力というものを併せ持ってこそ十分条件となります。

そんな経験を経た私の感想としては、電話は対応が苦手な人でも基本的には「慣れ相手の立場を考えた配慮」があれば問題ありません。私も元々は電話対応が苦手でしたが、電話応対はスキルを身につけることが簡単であり、苦手意識を克服し自信をつけるキッカケにするには最適であるとも言えます。しかしながら、小手先のテクニックや小賢しい策略を使って相手を自分の思い通りにコントロールしようとすると応対に失敗し、逆に苦手意識が高まることになるので要注意です。お客様の立場になって少し考えてみれば分かることですが、あなた自身が電話をしている相手から、何か相手の意のままにコントロールされるようなことがあったならばそれを快く感じるでしょうか?

相手の立場を考えた配慮とは、具体的には「電話をしている相手の立場になって、内容を伝えたり、受け取ったりする。」という事です。「電話は相手に自分の姿が見えていない」、と安心してはいけません。人の行動や感情というものは、「声」として電話をしている相手に必ず伝わります。例えば、感謝の言葉を伝える時は、例え相手に自分の姿が見えていなくとも感謝の行動となる頭を下げて感謝の言葉を伝えることなどもその一つです。更に、具体例をいくつか挙げるならば

通話時間への配慮や通話料金への配慮を忘れないこと。
クッション言葉を多く使うこと。(※相手は話の主題に意識が向きクッション言葉が変に多くても気になりません。 )
日常会話よりもワントーン上げて会話をする。

などがあります。

電話対応をする相手によっては、突然難しい内容の話をしてくる人や、聞き取り難い発音で話をしてくる相手もいると思いますが、それらを無理して一度で聞き取る必要もありません。聞き取れなかったら、「申し訳ございませんがもう一度伺っても宜しいでしょうか。」と、聞き直せばいいだけの話です。

聞き取り難い発音に関しては、様々な要因がありますが、例えば方言や障害を持っている方、或いは、通信デバイスの故障や使用状況によって起こるケースもあります。方言については私の場合は、東北地方の仙台より上に住む方たちの方言が苦手で、特に青森辺りに住む方は何を話しているのか全く分からないことが多くありました。加えて、四国の一部の地域に住む方たちも全く何を話しているのか聞き取れないことがありました。そんな時は、最大限の聞き取る努力や誠意ある応対を心がけながらも、無理なら無理で電話を長引かせないことも重要です。例えば、積極的にオススメするものではありませんが、「突然通話状況が悪くなり、全く聞こえなくなっている状況を演じて、電話を切ってしまう。(※電話を切る前に、済みませんが通話状況が悪いようですので一旦電話をお切りしますという理由を伝える案内は必要です)」。再度架電されてきたら、「先程は失礼致しました。少し通話状況が悪くなっていたようですね。」などと、一旦交わすような裏技もあります。

電話が苦手な人は、先ず「相手の発言の復唱」を心がけた方が良いです。相手が言っている同じ内容をそのまま繰り返すだけです。相手は、自分が言っていることがきちんと伝わっていると分かると安心感を持って本題を伝えてきてくれます。電話をしてくる相手の中には、頭の中にあるモヤモヤを整理せずに電話してくる人も多くいますので、復唱することで相手にご自身の頭の中を整理して頂くという意味からも復唱は効果大であると言えます。


※こちらは2019年2月3日(日)のnakayanさんの連続ツイートを読みやすいように補足・修正を加え再編集したものです。


中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI 日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー 
1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp

記事:MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ 2019年2月6日付


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