190523デザイン思考_1280_670

もしも、あなたが「タピオカ店経営者」ならばどうするか?

【MBAデザイナーnakayanさんのケース・スタディ】
■読み進める前に…
以下はMBAデザイナーnakayanさんによる「課題の抽出と戦略案」が続きます。経営に正解はありません。読み進める前に、あなたが経営者であったならどうするか、一度考えてみてください。


みんなの経済新聞内の春日部経済新聞には、2019年7月10日付にて「タピオカブーム」について次のような記事が掲載されていました。

(以下一部転載)
今年に入って春日部市内には、春日部駅西口側をはじめ、タピオカミルクティー専門店が開店・開店準備をしており、タピオカミルクティーがSNSなどで話題となっている中、台湾の台南出身の辛 逸龍(しんいつりゅう)さんが開いた。…

記事によると、春日部市内にもタピオカ店の出店が増えているとのことです。これは春日部市に限ったことではなく、これまでは都心を中心として起きていたタピオカブームが、全国の地方都市に拡散し始めている現象の一つとして見ることができます。

一部では、タピオカブームは秋に終わるという経済予報も、まことしやかに発令されているそうです。

そこで、もしも私が「タピオカ店経営者」ならばどうするか?を以下にまとめていきたいと思います。


先ず、どのようなビジネスをするにおいても重要となるのが「事業ドメイン」です。事業ドメインとは、誰に、何を(タピオカを)、どのように提供するのか?そこから顧客に対してどのような付加価値を提供するか?を明確にすることです。
現時点で市内のタピオカ店が提供可能な付加価値は、「新しさ」や「流行」、「話題性」のみです。
誰にや、どのようにをイノベーションする事で、提供可能な付加価値は大きく異なってきます。

更に、ざっくりながら4P分析を行なってみます。4P分析とは、どんな製品(Product)を、いくら(Price)で、どこで(Place)、どのように(Promotion)して売るかといったマーケティングにおける4つの視点を組み合わせ企業戦略を明確にしたり、経営戦略を策定するための分析手法です。


4P分析

■どんな製品(Product)を
基本はタピオカになりますが、仮に店舗にてタピオカを販売するならば、タピオカの一歩先のブームを取り込める体制の商品構成にするために、横展開してプロ仕様のパンケーキも別メニューで用意するなどしないと、他店舗との差別化要因にはなりません。
仮に、タピオカというだけで売れるのは秋までとするならば、その先は、「独自性」に「タピオカ+付加価値」がないとお店は潰れてしまいます。

タピオカ+付加価値の具体例としては、
「タピオカ + カラー ⇒ 赤いタピオカ など」
「タピオカ + 健康 ⇒ LG 21腸内フローラ活性化タピオカ など」
「タピオカ + TOKYO2020 ⇒ 忖度タピオカ など」
などなど


■いくら(Price)で
人気のタピオカ飲料そのままの商品で勝負するならば大体400円前後になるでしょう。高価格にすれば、利益率が高くなりますが商品に求められる付加価値へのハードルは高くなります。逆に低価格にして、他店との競争優位性を確保することも可能ですが、その分利益率が低くなってしまいます。


■どこで(Place)
記事内にある茶居というお店は、春日部女子高校の登下校ルートにありますが、残念ながら春女は登下校時の買い食いは禁止と耳にしたこともあります。春女生をターゲットとして狙っていたならば、この場所での出店は事前マーケ不足と言えます。


■どのように(Promotion)
消費者の一人としてタピオカを購入することを考えた場合、タピオカをおじさんが売っていると、寸でのところで買う気がしなくなってしまいます。具体的には、タピオカの持つExtrinsic Valueをおじさんが下げてしまいます。

仮に、ターゲットをF1〜F3層にするならば、イケメン売り子、更にM1〜M3層を取り込むならば、カワイイお姉さんの方が感性価値は高まります。



4P分析を俯瞰して見た上で、私ならばタピオカ店の経営においては、Product と Promotionでの差別化が有効と判断します。

そこで、Product であるタピオカについてざっくりと調べてみますと、タピオカは、片栗玉みたいなものということが分かりました。
正確には、キャッサバ粉によるキャッサバ玉ですが、成分的にはデンプンです。これは白玉粉で作ると白玉です。成分が、デンプンならば色の独自性は簡単に取り入れることが出来そうです。
更に、Product による差別化を高めるならば、天然の高分子であるデンプンを化学的な結合によってイノベーションを起こしたいところです。

Promotion での差別化を考えるならば損益分岐点を超えるためには、店舗にしない方が良いと言えます。設備的には自宅の調理場と販売用のテント、クーラーボックスがあれば十分ですので、店舗を持たずに路上で販売した方が、イニシャルコストを減らせるだけではなく、Place も状況に応じて可変可能となり出店リスクを大幅に減らすことが可能になります。


更に、タピオカについて次のようなマイナビニュースの記事もありました。

デンプンの塊で高カロリー!? タピオカは本当に太るの?

「タピオカは心の栄養」とのこと。つまりは、Intrinsic Valueを高めるイノベーションよりも、Extrinsic Valueを高めるイノベーションが重要になると言えます。


最後に、女子SPA!には次のような記事もありました。

タピオカが腸に詰まった少女が緊急入院。タピオカ=便秘説が世界で論争に

データマイニングの手法の一つである「バスケット解析」の例として使用されることが多い、おむつとビールの購買行動にある相関のように、市内にタピオカ店が増えると、消化器内科が儲かる!?という新たな相関関係が生じることになるかもしれません(笑)


※こちらは2019年7月12日(金)のnakayanさんのtwitterでの連続ツイートを読みやすいように補足・修正を加え再編集したものです。


中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI 日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー 
1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp


頂いたサポートは、書籍化に向けての応援メッセージとして受け取らせていただき、準備資金等に使用させていただきます。