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「私の学歴論」最終学歴の時代が終焉した最新学習歴の時代にすべきこと。

先日、facebookのタイムラインを見ていると、次のような投稿がシェアされており私の目に止まりました。

あなたの職場に最終学歴「中卒」の社員はいますか?真面目に3年働いても、大卒新入社員が上司になる現実『中卒労働者から始める高校生活』
http://www.manga-news.jp/news/body/1384?fbclid=IwAR3Ch-oRP3A5JQ8YaNceEMt2WClpxkGINNv_wwQHbW0s1gCuM6Lw-8rH9EY )

以下転載。
高校進学率がほぼ100%(約97%)の日本において、最終学歴「中卒」者に門戸を開いている企業はどれくらいあるだろうか。実力があれば、技術があれば、情熱や根性があれば大卒も中卒も無関係かもしれない。では、実際にあなたの職場に最終学歴「中卒」の社員はいるだろうか。いるとすれば正規雇用者の何%くらいだろうか。
主人公の片桐真実(まこと)は、妹を養育するため中学卒業後、工場に就職した。母親を事故で亡くし、父親は刑務所。3年間真面目に働き、「指揮係」に昇進すると社長から告げられていた。学歴ではなく、自分の力でつかみかけたポジションだったが、大学を卒業したばかりの新入社員(社長の友達の息子)が指揮係を担うことになる。
ショックを受ける真実の耳に届いた言葉は、「まこ、中卒だしな」。・・・

facebookでは、上記の記事に一通り目を通した上で、シェアされた方と軽いディスカッションをさせて頂きましたが、残念ながら私にはシェアされた方が何のためにシェアをされたのかという意図を理解するまでには至らなかったようで、私の発言したコメント内容は「私の学歴論」としてその方には伝わったようです。

それはそれで良いとして、ならば改めて、記事を読んだ上での「私の学歴論」として、その際の私のコメントを以下にまとめさせて頂きたいと思います。そのままの転載ではなく、更に伝わりやすいように編集や補足を加えさせて頂きます。

私はこれまでに100社以上の企業で実際に働かせて頂いた経験がありますが、これまで見てきた一般的な職場に漫画の中にあるような学歴格差が残っているのは確かな事実だと思います。学歴格差が残っているという事実に対して、問題を解決するためには学歴格差のない対応を企業に求めれば問題は解決するという単純なものではなく、その問題の根本はどこにあるのかという視点と、企業側はボランティアではないので、先ずは企業側のニーズありきという視点が必要ではないかと私は考えます。


その上で先ず、企業側の立場で考えるならば、大卒者たちは大学を卒業する為には一般的に1,000万円単位の費用が必要な訳であり、その費用を自身で負担した上で、費用分の知識を得ているから卒業していると判断出来ます。企業側が1,000万円単位の学費を負担する必要はありませんので、その分を優遇するのは当然とも言えます。
大卒者側の立場で考えるならば、自らで事前に大学に費やしたコストを短期で回収出来なければ、大学に通った意味がありませんので、費用負担もなく知識も少ない、中卒者と同じ待遇では納得は出来ないことでしょう。

私は「最終学歴が中卒ならば、文句や愚痴など口にする権利などなく、大卒者の下で働いていれば良い」と言っている訳では決してありません。中卒者の中には、家庭の問題などで、学びたくても学べないという環境にあった為に、最終学歴が中卒になってしまったという人も多くいるのかもしれません。では、その中卒の原因となった家庭の問題はどれくらいの期間続く問題なのでしょうか。一生続く問題なのでしょうか?何十年も続く問題なのでしょうか?仮に、中学を卒業するのが15歳だとすると、3年くらい辛抱すれば、問題となっている家庭など自らで切り捨てることも可能になるかもしれません。また別のケースとしては、幼い兄弟などの面倒を見る必要が生じるかもしれません。その時点で弟が1歳であったならば、18年くらい辛抱すれば問題となる家庭からの束縛は受けなくなることも可能と言えるでしょう。15歳から弟が自立するまでの18年間働きますと、33歳です。18年も働きますと職場ではベテランの域に達していることでしょう。仕事に関しては、5年もすれば余裕も出てくるはずですので、18年目では余裕があり過ぎて新たな刺激が欲しくて仕方なくなっているかもしれません。それは、いつでも勉強出来る状況になっているということでもあります。今の時代は最終学歴の時代ではなく、「最新学習歴」の時代です。「最新学習歴」とは、いつでも更新可能な学歴のことです。

幸いなことに、ICT環境が進化・発展した現状においては、わざわざ高い学費を払い、時間をかけて実際に学校に通って、リアルの先生たちから授業を受けることだけが、学ぶ事ではない時代にもなっています。具体的には、無料で世界最高峰の大学の授業が受けられる「MOOC」でしたり、日本では「JMOOC ( https://www.jmooc.jp/ ) 」やその公認の「gacco ( http://gacco.org/ ) 」などを本気で活用すれば、大卒以上に学べる環境が整っています。更に高校に関しては、ネット環境と通信教育を活用した学校法人角川ドワンゴ学園によるN高等学校 ( https://nnn.ed.jp/ ) 」などの新しいカタチの高校も存在しています。つまりは、スマホ1台が手元にあり自分で学ぶ気さえあれば、いつでもどこでも学べる環境があるということです。加えて、そもそも勉強のためには、先生の授業を受けることが必要という訳ではなく、専門書が1冊でも手元にあれば、独学でいつでもそこから多くのことを得ることは可能と言えます。

全員が全員ではありませんが、学びたくても学べないという人たちの多くは、学ぶ苦労をしなくていい理由が先にきてしまっている面も見受けられます。つまりは、勉強という苦労をしなくていい理由を家庭環境の責任へと転嫁しているだけということです。或いは、楽をして学びたいという意識が強すぎたり、勉強がしたかったのではなくただ単に周りの同年代と一緒の時期に同じことをやりたかったが出来なかっただけという側面なども見て取れます。本当に勉強をしたいという熱い思いがある人ならば、環境などに影響されることなく、どんな手段や方法を使ってでも必ず勉強できる道を選びます。借金してでも勉強します。今勉強できないならば、勉強出来る時期がくるまで辛抱し勉強すればいい。私が、最終学歴の時代ではなく「最新学習歴」の時代といっているのもその為です。勉強したくても勉強できないというのは、言い訳にすらなりません。

余談ですが私の18歳当時のお話をしますと、私は早朝3時前には起床し新聞配達をしていました。周囲が真っ暗な時間帯から各契約家庭を周り、新聞が一通り配り終わる頃には周囲が明るくなっていました。そんな中で一番辛く感じたのは、時折、人が殆どいない早朝の時間帯にオールで明け方まで騒いでいた様子が伺える楽しそうな同年代を目にする時でした。とても切ない気持ちが強くなり、仕事をしている自分の方に恥ずかしさすら感じ、社会から自分だけが阻害されているように感じることもありました。或いは、翌日の配達時間に起きるためには、夜の9時には寝ないといけませんので友達たちと深夜まで遊ぶことも出来ません。一番盛り上がり始めた時間帯に帰らなくてはいけません。当時は、何の苦労もしていないように見えた同年代の人たちがとてもとても羨ましく思えました。

そんな経験しなくていい経験をしてきたからこそ、「学びたくても学べない」という言い訳をする人たちの中にある自身への甘さが良く分かります。

職場に学歴格差があるならば、平等な対応をするようにと格差を作っている周りの人間たちに変化や改善を求めるのではなく、自分自身が変わることや、或いは、自分自身が行動することで周りの人間たちに平等以上の対応をさせればいいだけの話です。つまりは、自分に不足している学歴をつければ良いだけの話です。

私は今の時代は最終学歴の時代ではなく、「最新学習歴」の時代であると先述しましたが、社会の変化が激しく、人生100年時代と言われ、大学卒業後のリカレント教育の必要性が叫ばれる現状においては、実際に20年くらい前の最終学歴などはないに等しいと言えます。具体的には、20年くらい前に受けた詰め込み型の偏差値教育などは、現状におけるビジネスでは通用しないということです。大学卒業後に、継続して勉強する習慣が身に付いていない人は、時間が経てば経つほど、学歴にあぐらをかき偉そうになる反面、現場では使い物にならなくなっている人が多く見受けられます。逆に高い学歴と自身の発言や行動が比較されてしまいますので、頭の悪さが際立ってしまうということです。そんな時代だからこそ、自らに勉強する気力があるならば、いつでも学び直しが可能な時代であるとも言えます。

最後に、勉強は勉強したその内容がすぐさま仕事に活かせるという訳ではありません。仮に、今勉強している事をきちんと血肉化した上で、実際の仕事の中で芽を出し始めるのは、大体5年後くらいならば良い方であると私は考えます。


中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI 日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp

記事:MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ 2019年4月8日付

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