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いじめ・児童虐待問題解決策「みんなのおじいちゃん家」

ここ数日間、日本経済新聞社会欄には目を覆いたくなるような異なる「いじめ自殺」に関する記事が連日のように掲載されています。いじめ自殺を大きな問題として扱う日経の対応には賛同致しますが、いたたまれない気持ちが強くなります。


2019年3月12日付
さいたま市高3自殺 いじめ要因

( https://www.nikkei.com/article/DGKKZO42342360S9A310C1CC0000/ )

以下一部転載。
「さいたま市教育委員会は12日までに、2014年に自殺した市立浦和高3年の男子生徒(当時18)について、同級生から顔が赤くなることなど容姿をからかわれるいじめを受けたことが、自殺の間接的な要因になったとする第三者委員会の調査報告を公表した。当初の高校の調査ではいじめは認められず、両親が再調査を求めていた。」


2019年3月12日付
茨城中3自殺「いじめ要因」

( https://www.nikkei.com/article/DGKKZO42380610S9A310C1CC1000/ )

以下一部転載。
「2015年11月に茨城県取手市立中3年の中島菜保子さん(当時15)が自殺した問題を巡り、死亡の原因を調査していた県の調査委員会による報告書が、同級生によるいじめと自殺の因果関係を認める方向となったことが12日、関係者への取材で分かった。来週にも公表される見通し。…」

2019年3月13日付
2女児自殺か 遺書複数、いじめ示唆

( https://www.nikkei.com/article/DGKKZO42396570T10C19A3CC0000/ )

以下一部転載。
「12日夜に小学6年の女子児童2人が飛び降り自殺をしたとみられる愛知県豊田市のマンション敷地内に、複数の遺書が残されていたことが13日、捜査関係者などへの取材で分かった。家族や友人らに宛てたとみられ、一部にいじめをうかがわせる記述もあった。個人名やいじめの具体的な内容は書かれておらず、県警は詳しい経緯を調べる。…」

いじめ問題に関しては、先日facebookにて、春日部市議会議員としていじめ問題や児童虐待問題を含めた子供たちの命の問題に真剣に取り組んでいらっしゃる議員の方の投稿に対して、私は次のようなコメントもさせていただきました。

僭越ながら、春日部市においては、「いじめを撲滅する活動」と同時に、「いじめは必ず起こるものであるという前提の対応」を進めて貰いたいです!
「いじめを撲滅する活動」を教育界の上からの圧力で強化すれば、これまで以上にいじめ問題は見えない所に隠れてしまいます。
私は「いじめ」を肯定する訳ではありませんが、「いじめ」は人間の持つ動物的本能に起因するものですので、完全になくす事は難しいと考えます。
「いじめは必ず起こるものであるという前提の対応」を、春日部市の教育委員会にはしてもらいたいと考えます。

具体的には、いじめが起きる教育をしている教師たちのガバナンス力の無さを問うのではなく、いじめを発見した際に、「どれくらいのスピード感を持って、問題解決に繋がる行動をしたのか」など、教師たちの問題解決力と行動力などを評価基準にすべきではないかと、私は考えます。

( https://www.facebook.com/100006942930541/posts/2242353806006029?sfns=mo )

こちらは、市民の一人として行政や教育委員会には正しい視点を持った実行をして貰いたいという希望を伝えさせていただきました。それと同時に、連日の日経記事を目にする中で行政とは異なるアプローチから、民間レベルでも行動できる問題解決策があるのではないかと次のように述べさせていただきました。

https://twitter.com/happybongo/status/1105771662434160641

これまでにニートや引きこもりの自立支援に第一線で携わられ、現在では学校図書館居場所カフェ「ぴっかりカフェ」や「ボーダーカフェ」を運営されているNPO法人パノラマ石井正宏さんの2017年11月13日付のnote 「集団の中の孤独〜座間市の死体遺棄事件で被害に遭った高校生について考えたこと〜」

  ( https://note.mu/npopanorama/n/na9514687d00a )

からも参考になります。私はたまたま2017年の6月に直接お話を伺う機会があったのですが、石井さんは子どもたちに今必要なのは「近所の知らないおばちゃんがなぜかいつも隣にいる場」や「役割をシャッフルできる場」です、と仰っていました。

子供たちが「逃げたくても逃げることが出来ない」理由として、そもそも逃げることが出来る場が存在しないという物理的な理由に加え、恐らく心理的な要因として、子供たちにとって同級生たちとの関わりを断ち学校に行かない選択をするということは、イコールで自分の将来が無くなってしまう事を意味しているのではないかと思われます。家庭内での虐待においても同様であり、親たちとの関わりを断つ事で、将来への希望が無くなってしまう、或いは、将来への虐待による不安よりも大きくなってしまうことにあるのではないでしょうか。

改めて、今求められている「子供たちが逃げる事が出来る場」とは、
「同級生たちとの関わりを断っても将来への道が途切れる事はない場」
「親たちからの支配や親権が及ばない心理的安全性を与えてくれる場」
「現状から逃げる事がマイナスにならずプラスの影響が齎される場」

であり、謂わば経済的特区のような場とも言えます。完全に「子供たちが逃げる事が出来る場」の設置と同様に、一時的に「子供たちが逃げる事が出来る場」として各地の身近な場に簡易出張所のような場も必要であると言えます。

これらを総合的に鑑みつつ、「子供たちが逃げる事が出来る場」に求められる要素を組み合わせ再構築し直しますと、コンセプトイメージとしては、「日本の子供たちみんなのおじいちゃん家(ち)」が最適と言えるのではないでしょうか。子供たちにとっておじいちゃん家は、親たちや世間からの圧力が及ばないある種の治外法権が認められた場でもあります。

核家族化が進み祖父母世代と交流の少ない子どもたちも増えています。身近なレベルでは、子供たちの一時的な簡易避難所としてシニア世代のボランティアなどによる「みんなのおじいちゃん家」の設置なども可能と言えるのではないでしょうか。この「みんなのおじいちゃん家」があるだけでも、子どもたちにとっては児童相談所などよりも心理的安全性が確立され易いと言え、いじめや児童虐待を含めた子供に関する問題が大きくなる前の早期発見や未然の予防に繋げることが出来るのではないかと私は考えます。



※こちらは2019年3月13日(水)のnakayanさんの連続ツイートを読みやすいように補足・修正を加え再編集したものです。


中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI 日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー
1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp

記事:MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ 2019年3月14日付


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