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DMM.comが70億円買収のBANKを1年で「手放した」理由を考える

日本経済新聞朝刊では、2019年03月19日(火)から、「打倒メルカリ」と題し、メルカリ新経済圏構築により予想以上の打撃を被った競合他社や、予想に反し影響が少ない競合、或いは、反撃の狼煙を挙げる競合などの現状についての興味深い内容の記事が連載されていました。

打倒メルカリ(1)背水の中古売買、反撃へ:

( https://www.nikkei.com/article/DGKKZO42632410Y9A310C1TJ1000/ )

以下一部転載。
「スマートフォン(スマホ)で簡単に売買できるメルカリに触発されて、これまで裏方のイメージだったリユース(中古品)業界に30~40代の改革者たちがあらわれ始めた。大量生産のムダを吸収する経済の「静脈」を進化させろ――。リユースの旗手たちを追った。2018年10月2日、リユース業界に衝撃が走った。子供服のリサイクルショップを運営するAKIRA(東京・江東)が経営破綻したのだ。全国に約70店を出していた中堅のリユース会社だ。…」
「いよいよ来るときがきたな」。AKIRA倒産を岡山県の本社で耳にした村川智博(42)はつぶやいた。村川は衣料品のリサイクルチェーン「ベクトル」の社長。国内で約70店舗を運営している。「メルカリ登場後、店舗ごとの業績は急激に悪化している」と自覚している。

特に、仕入れる商品の不足が厳しい。「10年前だと月に300万円分の商品を買い取っていた店が、今では150万円しか買い取れない」。理由は簡単で、「店では家賃も人件費もかかる。メルカリよりも高い買い取り金額を提示できない」。
メルカリの台頭後、細っていく仕入れをどうするのか。村川が目をつけたのが、光本勇介(38)だった。

17年6月28日に光本が始めた買い取りアプリ「CASH」騒動を覚えている人も多いだろう。スタートから1日足らずでサービス休止に追い込まれた「革命的」なアプリだった。

スマホで撮った服やバッグの写真を送信すると、すぐに現金が入金される。


昨年11月、私はマネーフォワードお金のExpoで光本さんのお話を会場にて伺う機会がありました。光本さんはアイデア豊富な面白い人で、ZOZOの前澤さんの印象に近いものがありました。需要と供給あっての話ですが、BANKをDMM.comの亀山さんに70億円で売って5億円で買い戻すというやり方には、私はいささかの疑問を持っていました。それは、M&A市場の信頼が揺らぎ、後から売る人たち(早期Exsit目的の起業家たち)が売り辛い状況を作ってしまうことになるからです。

加えて、売る側の立場ならば「流石だな!賢いな!凄いな!」という羨ましさに似た驚きがあるのと同時に、70億円で買って5億円で売った亀山さん側の立場で考えると、約1年で65億円をムダにしてしまった訳で、快く感じる事はないのではないかと考えていました。利を見ては義を思い、己の欲せざる所は人に施す勿れであり、いくら自らの利になろうとも、自分がされたら嫌なことを相手にすべきではありません。また、利によりて行えば怨み多しであり、一時の勃興あれどもやがては身を滅ぼすことになります。

亀山さんの立場で考えますと、仮に、65億円を自分よりも有効に使ってくれるならば、無理矢理にでも納得する事も出来るかもしれませんが、その判断の如何は、「私が稼いだ65億円をあなたはどう使うのですか?」という所によって異なってくるのではないでしょうか。仮に光本さんが65億円の一部を「お年玉1億円!!」(前澤さんの場合はご自身の事業で稼いだお金ですが)みたいな感じでばら撒かれたならば、納得することはなく怒りや恨みしか残らなくなってしまうのではないでしょうか。 光本さんのお話を伺う限りでは、光本さんにはその要素がとてもあるようにも見受けられました。

そんなことを考えていますと、そもそも「なぜDMM.comの亀山さんは、BANKを70億円で買ったのだろう?」ということへの疑問が次第に強くなり、ざっとながら疑問について調べてみました。私は当初、Facebookが2012年に創業2年売上高ゼロのInstagramを810億円で買収した構図が重なっていましたが、亀山さんの情報を調べる内に、亀山さんという方は、ビジネスマンというよりも商売人であるということが次第に見えてきました。買収の目的の中にはお金にお金を稼いで貰いたいという意図もあったのでしょうが、商売人は商売人であればあるほど、ただでは損はしません。損をしても問題ない形で、損をするリスクを背負うものです。もしかしましたら、亀山さん側はさほど痛手になっていない可能性もあります。亀山さんの65億円を使う人物を、光本さんにするのか、お役人さんたちにするのかを選択しただけかもしれません。念の為の補足ですが、マネーロンダリング目的ではないと思います。マネーロンダリングする必要はないほど手元資金は豊富だと思いますし、手元資金を増やしても使いきれないと思います。

私は今回のふとした疑問を調べる中で、私自身の先入観や思い込みが強くなり過ぎていたことに気付かされました!!企業経営におけるあるべき姿は、上場会社である事のようにいつの間にか思い込んでしまっていましたが、上場せずに売上好調の企業ほど強いものはないということに気付かされました。

「私の考えが間違っていました!!」

分かりやすく説明するならば、デッドで資金調達をした場合の金利負担を実質的に3〜5%だと仮定すると、エクイティで資金調達した場合の金利は実質的に7〜10%かかることになります。仮に、企業経営をする中でどちらの金利負担も無く売上好調だったとしたならば、利益剰余金はどんどん増えていくことになります。


※こちらは2019年3月21日(木)のnakayanさんの連続ツイートを読みやすいように補足・修正を加え再編集したものです。


中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI 日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー
1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp

記事:MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ 2019年3月23日付

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