ビッグBiz解剖(上)M&A無敗 日本電産の掟 過去63件大型損失なし 毒まんじゅう食うな


 #NIKKEI

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平成の30年間で時価総額の伸び率が最も大きかった日本企業はどこか。自動車やロボットなどのモーターを手がける日本電産だ。…
過去63件の企業買収をテコに成長した。…

毒まんじゅうは食うな」「お化けが出るぞ」――。M&A(合併・買収)を手がける部署では永守会長ゆずりの隠語が飛び交う。通常、企業はM&Aに際し投資銀行などのアドバイスに耳を傾けるが、日本電産では潜在的なリスクを見極める上で他力に頼り切ることはしない。…

投資銀行などは通常、買収企業の価値算定に「ディスカウントキャッシュフロー(DCF)法」を用いる。企業が将来的に生み出す収益をベースに割引率などを加味する手法はファイナンスの基本。ただ前提となる割引率によって価格が変わるなど難点もあり、日本電産では「EV/EBITDA倍率」を重視する

企業価値をEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)で割った数値で、買収資金を何年で回収できるかの目安になる。一般的に8~10倍が適正とされるが、日本電産は案件によっては7倍以下。不動産取引や納税申告書、オーナー一族の相続権なども精査し高値づかみを防ぐ。…

用心に用心を重ねた上で買収契約書のサインに至るが、日本電産にとってはまだ1合目だという。買収の成否を握るのが残りの9割。買収後の統合作業(PMI)だ

問題を深掘りすることで見えてくるという「井戸掘り経営」や複雑な問題を分割する「千切り経営」――。…

…永守会長は「経営者は『よきにはからえ』だから失敗するんだ。ハンズオン(直接参画)こそが大事だ」と話す。…

「マイクロマネジメントの権化」
と自身を評するように、永守会長の指揮は細かい。03年に旧三協精機製作所を傘下に入れた際には、永守氏が伝票を1円単位でチェックした。100億円超の赤字があった同社は1年半で最高益を更新した。

…買収先に経営管理をある程度任せつつも、本社を中心とする事業部が関与を欠かさない「任せて任せず」のスタイルを確立した。

「日本企業による海外M&Aの88%は失敗している。10%は成功でも失敗でもどちらでもない、成功しているのは2%だ」
(永守会長)。…

…大型買収を巨岩とすると、100億円程度までの中小型は「詰め物」と呼ぶ。…石垣を築くように、大きな岩の間を中小の石で埋める戦略…


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