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観察の基礎知識⑤「フォーカスポイント」

フィールドワークでの観察にルールとかセオリーって、基本はそんなにないです。学問っぽい領域までいけばいろいろとあると思うんですが、大前提大事なのは、その人個々人の着眼や違和感を大事にするってことだと思います。とはいえ、「自由でいいって、一番どうしたらいいのか困る」という人もいると思うので、ヒントがてら、どこを見たらいいのか、「フォーカスポイント」の例を書いてみます。

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☆例えば、ある駅でのフィールドワークだとして…

1.環境:あるエリアを決めて全体的に眺める。
例:改札の一帯、券売機の一帯…

2.活動:そこでの人の行為行動
例:改札での待ち合わせ、改札での駅員とのやりとり…

3.人:特定の人をシャドーイングする
例:駅員、通勤者、待ち合わせをする人…

4.テクノロジー:そのフィールドに導入されている技術
例:券売機、運行情報、地図…

5.文書:文字情報
例:定期券発行の申込書、フリーペーパー、レシート、英語表記…

etc.…

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こんな感じでしょうか。もちろんこれですべてってわけではないと思います。(厳密にいえば、視点次第でフォーカスポイントは無限に考えられるので、”すべて”とか”網羅しよう”っていう考え方はやめたほうがいい) 慣れないうちは、フォーカスポイントを決め打ちで絞ってフィールドワークしたほうが、観察している自分が何を見ているのかよくわからなくなってきてどっちらけになるってことは防げると思います。

「人間観察」よりも「フィールドワーク」のほうが広義の意味で、この「おいしい観察。」も、人間理解を進めるコミュニティでありたいともちろん思っているのですが、「人間観察」といって人間そのものだけを見ていても、その人の理解ということだと不十分だと思ってます。上記の例の1,4,5は、人間という個体そのものの観察ではないんですが、それが人々にどう働きかけてくるかを物質や環境からみることによって、人そのものを見ていても気づかないことに気づけたりする。場が人の行動を規定するってことに気づけたりすると思ってます。これってある種、非常にコミュニティ的と個人的には思っていて、人に直接「こーせいあーせい」というのではなく、その人がおのずと「そうしたいああしたい」と思うように促すっていうことが、これからっぽい働きかけ方だなと思っていて、個人的には「人を知りたければ、人だけを見るな」と思っていたりします。「人を知りたければ、インタビューの前にまず見ろ」という「溶け込み」にもつながるなと。

ながなが書きましたが百聞は一見に如かずなので、まず普段まちを歩いているときに、自分が何を普段見ているかを、まず自覚してみるといいかも。よろしくお願いいたしますー!