ミード

観察の基礎知識①「言ってること」「行うこと」「行っていると言うこと」

「おいしい観察。」における、人間観察とそれにまつわるコミュニケーションが、いい感じで盛り上がったり発展したりすることを願って、ちょっとずつ僕の知っている「観察」にまつわる言葉や考え方をこれから連載して書いてみたいと思います。「Paro Alto Research Center」通称PARCのビジネスエスノグラフィ&フィールドワーカーの資格をなんだか持っておりまして、そこで知ったことをちょろちょろ書くので、面白がっていただければと思います。

その①==

文化人類学者で、初めてエスノグラフィ(フィールド情報学とでも言いましょうか。これの説明の方が難しいので追って)を、ビジネスに応用したマーガレット・ミードという方が残した名言。

What people say,
What people do and
What they say they do
are entirely different

人々が「言うこと」と、
人々が「行うこと」と、
人々が「行っていると言うこと」は
まるで違う。

人間、自分の行動やその裏にある心理を、全然正しく言語化できないし、無意識のことばかりだし、なんなら意図して嘘や知ったかや話を盛ったりする。だから、真実は「本人に聞いても見えてこないことばっかり」で、だからこそ「観察すること」が必要だ、という趣旨の言葉です。

例えばフィールドワークで外国人観光客に対して、「なぜ来たのですか?」と聞けば、「日本情緒を満喫したかったの!」というかもしれない。でもよーく観察していると彼女が買ったのはバウムクーヘンかもしれない。じゃあ、彼女の言っている「日本情緒」ってなんのことを言っているんだろう?その差分から、外の国から見た時の「日本らしさ」って、我々が思っているものと違うかもしれない。っていう新しい問いが見出されるわけです。

インタビューは大事だし、面白い。けど、それと、「言葉になっていない部分の差分を見るようにする」と、人間理解は二次元から三次元に変わるくらい、角度が変わるなあと思います。そんなコラムでした。