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事業再構築類型を分かりやすくまとめてみた。

2024年4月23日、長い沈黙の末、ついに事業再構築補助金12公募が再開しました。だがしかし、類型がとても分かりにくかったのでまとめてみました。

「事業再構築補助金の概要」「公募要領」を基に筆者が加工

 
行政事業レビューによって、「基金を国庫返納されるのでは」という噂もあった中、第12回公募の概要を見た感想は…
 

何これ、あんまり変わってない。

 
概要資料を見ていくと第11回公募までの6類型から「3類型にしました」というアナウンスも出ていますが、細かく見ていくとほぼ同じといえます。

通常類型の中に市場拡大要件および市場縮小要件が入っているなど、類型の名前を変えただけでは?とさえも思えてしまいます。

事業再構築補助金の概要

そもそも事の発端となった「2023秋の行政事業レビュー」では、事業を批評する外部有識者と経産省の担当者では考え方の違いがあったように記憶しています(私が覚えている範囲で下記に示します)。

<有識者の主な意見>
・そもそも補助事業の効果が測れていなければ議論ができない
・コロナ禍の業態転換が目的であり、コロナは終息フェーズに入った
・採択決定は委託せず国でやるべき。事務局体制の刷新が必要

<経産省の弁解>
・中小企業はデータ入力すら壁があり、すぐには求めることができない
・コロナは終息したが、原油価格高騰等により依然厳しい状況は変わりない
・これまで経験したことのないコロナ禍で中小企業支援を優先した結果、急造の事務局体制であった

このように昔の事業仕分けごとくバサバサと切り込む有識者軍団に対し、経産省の担当者は困ったような表情を浮かべながらも中小企業に寄り添った対応であり、見直すべきところと継続すべきところを述べていたのが印象的でした。

もっと言えば、更に印象的だったのは行政改革担当の河野太郎氏が放ったコメントだった(こちらも私の記憶ベースで示します)。

「コロナ禍という緊急事態に、半ば政治主導で事業を決定し、経産省の担当者にはよく短時間で仕組みを作っていただいた。おかげで一定の成果は示すことが出来たと思う。」

当時、行政事業レビューのYouTubeを見ながら、外部有識者、経産省の官僚、政治家という三角関係が実に面白いと思ったことを今でも鮮明に覚えています。

話を元に戻すと、こうした行政事業レビューによる意見を受け、経産省としては、主に事務局の体制およびデータの取り方等を見直す一方で、中小企業の苦しい現状に寄り添い、補助金の制度内容自体はあまり変更することなく据え置いた形です。
 

特に、その姿勢が強く見えるのが「コロナ回復加速化枠」です。

これまでの公募ではコロナ終息フェーズであっても、「物価高騰対策・回復再生応援枠」として売上減少要件を設けることで業況の苦しい中小企業が多く活用していました。

また、「旧最低賃金枠」も同様になかなか業況が苦しくて、賃金が上げられない中小企業に寄り添う類型だったといえます。

それが今回公募では「コロナ回復加速化枠」として編成され、売上減少要件こそないものの、コロナ借換保証等や再生事業者向けに補助金を用意しました。

コロナ加速化枠(通常類型)では、いわゆるゼロゼロ融資等を借入したものの依然返済が厳しい事業者がリファイナンスするための「伴走支援型特別保証」などで借換えした中小企業が対象になります(民間金融機関では伴走支援型特別保証で借り換えているケースがとても多いです)。

なお、これに代えて再生事業者も通常類型の対象となります。
 
 
 

コロナ加速化枠(最低賃金類型)では、コロナ借換えしている事業者に加え、2022年度に最低賃金+50円以内で雇用している従業員が10%以上いる事業者が対象になります。

ここで一つの注意したいのが、「コロナ借換保証等で既往債務を借り換えていること(任意)」と表記されているところです。

任意ということは、「借り換えしてなくてもよい」ということになります。

つまり②の最低賃金要件さえクリアして入れば対象になるということです。

例えば2023年9月(2022年度)最も最低賃金が高い東京都の場合「1,072円」が基準となるため、1,122円(1,072円+50円)以下のパートさんが10%以上いれば対象となります。
つまり従業員数が10人の事業所の場合、1,122円以下のパートさんが1人でもいれば要件クリアということです。

正直、こういう事業所って多くないですか?

コロナ加速化枠(最低賃金類型)に限って言えば、売上減少要件も廃止になり、厳しくなるどころか緩和されたとも言えるのではないでしょうか。
 

事業再構築指針の手引きも確認しましたが、大きな変更はありません。
 

今回大きく変わった点とは、これまで採択審査は民間委託していましたが、今回公募より国がその役割を担ったり、一定事業者には口頭審査(原則、経営者1人のみが対応)が課せられるなど審査体制が厳しくなっています。

また、四半期に一度、事業化状況を求めるなどデータ収集も厳しくなりました。

このあたりは行政事業レビューの意見をしっかり反映した形です。

なお、これは私の予想ですが、一定事業者の口頭審査は成長枠の方だけになるのではないかと思っています。

わざわざ「一定事業者」としているということは何か理由があるはずで、これまでの業況が厳しい事業者への対応やコロナ回復加速化枠の上限金額から鑑みるに、おそらくこの枠は事業計画書だけで採択が決まるのではないでしょうか(または一定金額で線引きするケースも考えられます)。
 

公募締切りは7月26日までと約3か月間の募集期間があります。

ものづくり補助金の今年度公募は終了していますが、これまで定期的に募集されていたことから今年度もまだあると思っている事業者は意外に多いです。

ものづくり補助金がないと分かると、事業再構築補助金に流れてくることが予想されます。

事業再構築補助金を活用することで事業者、地域経済、国が良くなる新たなビジネスモデルが生まれることを楽しみに、申請支援していきたいですね。

 
 
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