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民主政治と独裁政治(銀河英雄伝説の問いかけ)

銀河英雄伝説は、田中芳樹氏による小説で、アニメ化もされています。

重厚な物語で、見どころは多数あります。
その中の1つは「腐敗した民主政治か、清潔な独裁政治か?」という問いかけです。

この問いには、哲学的な意味があります。
上記の二択なら、私でも清潔な独裁政治はありかな、と思ってしまいそう。

その一方で、現実の歴史を振り返ると、2つほどの傾向が見て取れます。

1)独裁者が腐敗しないでいられることは、短期的には可能。しかし、長期的に腐敗しないことは極めて難しい。

2)私腹を肥やさない独裁者が正義感で政治を行うことは、論理的には素晴らしい。しかし実際には、正義感で大虐殺を行った事例が複数ある。
たとえば、フランス革命後のロベスピエールによる恐怖政治や、ナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーによるユダヤ人や少数派への虐殺が挙げられます。

長期あるいは終身の独裁者には、腐敗や虐殺に対し(独裁者本人の自律心を除いて)ブレーキをかける政治的な仕組みがありません。
たとえ「清潔な」独裁政治であっても危険である、というのが、歴史の教訓だと考えます。

帝政に移行する前の共和制ローマでは、ディクタトール(独裁官)の任期は6ヶ月と定められていました。人間の本性を考えれば、とても合理的な仕組みです。

政治の制度には、大きく分けて3つあります。
独裁制(君主制)
寡頭政(貴族制)
民主制

人間が不完全な存在である以上、3つの政治制度のどれを選択しても、不完全な結果(腐敗など)は避けられません。
大切なのは、不完全な結果にブレーキをかける仕組みを設計し、機能させられるかどうかでしょう。

民主制でも暴走することがあります。
たとえば、アメリカ合衆国は世界を代表する民主国家です。
2001年9月11日に同時多発テロに見舞われたアメリカは、その後、世論が沸騰し、イラクに大量破壊兵器があるとの名目で戦争に突入しました。しかし戦争後、イラクに大量破壊兵器は存在しなかったことが明らかとなっています。

私は、腐敗や虐殺にブレーキをかける仕組みを持った民主制を支持します。


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