2015忘年会(興奮の余興編)

先週末、会社の忘年会が催された。
いきなり結果から言おう。
ウケた。かなりウケた。

私のチームの余興、ダンソンアレンジコントのことだ。
ここで笑い来い、という最初のポイントで、会場からの笑い声を舞台袖(宴会場の廊下)で聞いた時、これはイケると確信した。

ダンソンで狩猟する側の二人は、練習の時より声が出ていたし、動きも良かった。そのおかげで、ニーブラされる側の演者も皆ノリノリで狩られることができた。
ニーブラされた後の音楽も、いいタイミングでかけてもらえた。

つまり、チーム全員が上手くやれたのだ。

最後に私がニーブラされながら、「あぁ、成功した。良かった。」と安堵した。

観客の笑い声とガヤ、拍手が本当に気持ち良かった。
芸人さんは、この快感を得るために、舞台に立ち続けるのか、とほんの少し分かった気がした。1回くらいウケたくらいで、プロと比べるのはおこがましいが。

さて、他のチームの余興についても、書いておきたい。
おこがましいついでに、「お前はお笑いナタリーの記者か!」とツッコまれるくらい、上から目線で、いっそイキって書いてみたいと思う。
たかだか地方の会社の忘年会のネタ批評なので、そのくらいのイキりは許していただきたい。

余興を披露したのは、全5チーム。
ネタ順で紹介すると、
①Dチーム
②我らがRチーム
③Sチーム
④Mくん率いるMチーム
⑤3号チーム

最初のDチームのネタは、手旗信号とマジック。
5人のメンバーが手旗信号で軽くチーム紹介した後、このチームの主役Tさんがマジックを何個か披露。
手旗信号は、いかにも昭和!な芸だが、逆に新鮮で面白かった。しかも、Dチームは事前に練習している様子が全く見られず、ネタの内容も全く情報モレしてこなかった。メンバー的にはほぼ全員尿モレしてそうな、平均年齢高め層。
それでもしっかり手旗のフリを覚えてきたのは偉い。

特に、余興に参加するとは思わなかった、当支店のお局様Yさんが本気で手旗をふる姿に、感動すら覚えた。思わず、私の親ほどの年齢の彼女に、下の名前呼び捨てでガヤを入れてしまうほど。こういう人、大好きだ。

また、マジックを披露したTさんは、日頃からいじられ役。ハゲでメガネのおっさんで、要領も悪く、仕事は出来ないが、いいキャラで愛されている。そのTさんが舞台に出てきただけでも笑えた。ましてや、披露するのは、過去に50回以上見たことがあるようなベタベタのくそマジック。
ひっぱると花の色が変わるやつとか、封筒に水入れてこぼれないやつ、である。昭和か!
いや、昭和でもいい。Tさんが不器用に披露するマジックに会場は沸いたのだ。完全にキャラ勝ちである。

この予想外に盛り上がったトップバッターDチームのおかげで、会場は十分あったまった。
今年のM-1のメイプル超合金くらいの働きはしてくれた。
彼らの頑張りにより、2番手の私たちがやり易かったのは間違いない。昭和芸に感謝である。

さて、3番目に登場したのは、Sチーム。
私も仲のよいSちゃんという後輩が率いるチームだが、ノリがイマイチな他のメンバーを動員できず、SちゃんとKくん二人で挑んだ。
デブ、ハゲ、のビジュアル的アドバンテージを持ったSちゃんが披露するは、「とにかく明るいS村」だ。

このネタをやることは、以前からモレまくりで、私もそこまで期待していなかった。いや、デブでハゲの裸が面白くないわけないが、クオリティーは予想できる範囲内だと、タカをくくっていたのだ。

しかし、現実にはその予想を遥かに上回る、出来であった。Sちゃんの普段の緩慢な動きからは想像できない、キレのある動き。そして、顔!一重で望洋としたSちゃんがカッと目を見開いて、真剣な表情で、全裸に見えるポーズを決める。爆笑した。
大体、全裸に見えてない。お尻にスーパーマンと書いたパンツがずっと見えている。それなのに、ずっと「安心してください、穿いてますよ。」と言っている。安心してるよ。スーパーマンがお前の股間、ずっと守ってるからな!

3チームが終わった時点で、会場は大盛り上がりだった。
皆が笑っていて、本当に楽しい。

そして、いよいよ4番手は、私の最大のライバルであるMチーム。Mくんがネタを考えて、仕切っているのは知っていたが、内容は全く聞いていなかった。

事前練習では、Mチーム最大の障害のHさんが、面白くもないくせに、いろんなチャチャを入れてきて、Mくんは自分の構想がどんどんねじ曲げられていくのを嘆いていた。Hさんは、前述のTさんとは真逆。仕事は出来るが、自己チューで横暴でめんどくさいおっさんだ。もちろん、皆に嫌われているが、仕事で関わるため、誰もが機嫌を損ねないよう気を遣っている。

ネタは、普段の仕事の様子を真面目に紹介すると見せかけて、ふざける、そして、Hさんに怒られる、というコント。
ふざける、いわゆるボケ担当がOくん。Oくんがラッスンゴレライやらギターを弾きながら脈略なく歌い出す、というボケに、別のメンバーが冷静にツッコむ。ただ、途中からツッコミだった彼も一緒に歌い出し、他の皆も歌う。そこに、お前ら何やってんだ!と普段から怖いHさんがキレる。その言い訳に、上司に言われて、と、余興の審査委員長でもある事業所長のせいにして、Hさんも所長にはさすがにキレられずに謝って終わる、というシナリオだったらしい。

らしい、というのは、後からMくんに聞いたからで、実際には、キレたHさんも、皆と一緒に歌い出して、しかもその歌に気持ち良くなって、1曲フルコーラス歌った。なんだかミュージカルみたいな終わりだった。
私も途中まで笑ってすごく楽しんでいたから、そのラストで、「いや、歌なげーよ。ワンコーラスがベストだよ。」と少し残念に思った。

Mくんのシナリオ通りにはいかなかったが、全体的にまとまっていたし、Hさんの暴走をあの程度で抑えられたのだから、よしとしなくては。
また、シナリオの中の細かいセリフの言い回しがセンスが良く、さすがMくんだな、と感心した。

会場のウケも良かったため、これはうちといい勝負だな、危ないな、と密かに案じていた。

さて、トリは、3号チーム。前情報で、ビンゴ大会をすると聞き、再考を促したという、問題のチームだ。
私はこのチームは眼中になかった。余興でビンゴ大会などという腑抜けたアイディアしか出ない奴らに、負けるわけがないのだ。

案の定、番号抽選会方式で、景品をバラマキ。その合間に、5人くらいのメンバーが、映画泥棒をパロったダンスを披露。まぁ、そのダンスは簡単だがきちんと揃えていたし、段ボールで作ったフィルムカメラを顔にかぶっていたから、意図は分かった。
それでも、準備不足は目に見えて明らかだったし、笑いもそれほど大きくなかった。
正直、私の敵ではない。あくまで勝ちにこだわる私。

こうして、全チームの余興が終了。
非常に盛り上がり、大いに笑った。大成功だ。

最後に所長から、講評と最優秀チーム賞の発表があった。
全チームの努力を讃えた上で、1つには絞れなかった、と2チームが選ばれた。

そのチームとは、我らがRチーム。そして、MくんのMチームであった。ああ、納得の結果。

ただ賞品が1チーム分しかないため、会場の拍手の大きさで優勝を決めることになった。それでも甲乙つけがたく、結局、リーダー同士でじゃんけん、となった。
見事、その勝負に勝ったRチームが賞品をゲット。
勝利のダンソンを、チーム全員で披露した。

延長戦の末にPKで勝利、みたいに勝ったけれど、それでもすごく嬉しかった。それに何より、皆が自分たちのネタを笑って、楽しんでくれたことが嬉しかったのだった。

他のチームも、それぞれ真剣に取り組んでくれたから、こんなに楽しい忘年会になった。
余興をやって、本当に良かった。

踊る阿呆に、見る阿呆。
同じ阿呆なら、踊らにゃ損損。

バカをやって、恥をかくからこそ、見える景色がある。
いくつになっても、私は踊っていたい。

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