見出し画像

リピート・ソウル(3)

ソウルにそんなに何度も行って、一体何をしているのか?
これは、私がよく聞かれる質問だ。

ソウル市内のめぼしい観光名所は大体行った。
南大門市場、ソウルタワー、景福宮、昌徳宮、宗廟など。来訪の度に、ドラマロケ地だけでなく、一般な観光地も1・2か所くらいは行けるようにプランを立ててきた。
だからもう最近は、観光に行くというよりは、ただソウルの街を見に行くという感じが強い。東京や名古屋などに行って、わざわざ観光地を巡らないのと同じだ。

じゃあ、3日間何をするか。
毎回必ずすることと言えば、買い物だ。
ホテルに昼過ぎに着いて、スーツケースを置く。まだチェックインできる時間ではないので、そのまま明洞の街に出る。
ちなみに、私がソウルの定宿と半ば決めているのが、世宗(セジョン)ホテル。ここは、本当に便利。明洞の繁華街には歩いて行けるし、地下鉄の駅もすぐ近く。ホテル前には空港行のバス乗り場まである。
だから、到着してすぐ気軽に街へ出られるのだ。

この街には大体なんでも揃っているが、私は特に化粧品とお土産を買う。
韓国旅行定番の土産といえば、コスメ。特に、フェイスパックはもはや日本でも安く買えるけれど、手軽で女子へのバラマキ土産には最適。でも、大量に買うと重いので、明洞で初日にさっさと購入し、ホテルに置いておく。会社へのお土産にするお菓子類も同様。

お土産を買ったことにより、心が軽くなった後で、必ず向かうのが東大門市場のショッピングビル群。ここには、卸売市場もあり、一般向けのビルも、深夜・早朝まで営業している。明洞のお店で売っているような洋服も、元は東大門市場から仕入れていることも多い。だから、東大門で買えばちょっと安い。

ここで、私の物欲に火が点く。
洋服やら、バッグやら、ストールやタイツ。気に入ったもの、全部買う。でも、元々そんなに高くないから、後悔するような金額にはならない。
特に、お気に入りなのが、doota!(ドゥータ)というファッションビル。ここは他のビルに比べて、少し値段も高いし、そんなに値引きをしてくれないが、オシャレで質の良いお店が多い。
ミリオレ東大門店は、小さいお店が所狭しと並んでいて、見て回るのも楽しいが、客引きがうるさいフロアもある。メンズフロアの男性店員が、エスカレーター乗り場のすぐ近くにいて、「おにいさーん、ホンモノにそっくりなニセモノあるよー。カバンどう?サイフどう?」とか声をかけてくる。最初は、はっきりニセモノって言うなよーと笑ってかわせるが、買い物に疲れてくると、その片言の日本語がホントに鬱陶しい。あれは逆効果だから、やめた方がよい。

普段はあまり洋服を買わない夫も、ソウルでは火が点いているようだ。
ビルの入り口付近で、待ち合わせ時間を決めてから、別行動にする。落ち合った時には、お互い買い物袋をいくつも抱えている。
戦利品をホテルで見せ合うのも、また楽しい。

一度、彼がコートの色で迷っているので、私にも見て考えてほしいと言ってきたことがあった。一緒にそのお店に戻って、紺と黒のコートを検討していると、気さくな男性店員が話しかけてきた。
「そのコートを買ってくれたら、こっちのセーター、どれでも一つあげます。」
え?マジで?そのセーターがかかっている棚を見ると、けっこういい物があった。さっそく、コートを紺に決め(私の判断)、おまけのセーターを選ぶことにした。お兄さんの気が変わったら困る。こっそり値札を見ると、「50000ウォン」の表記。1万円ほどのコートに5千円のセーターが付いてきちゃった。
東大門市場では、時にこんなラッキーなことも起きる。

5回のソウルショッピングの成果で、私のワードローブの多くが韓国製だ。
気づくと、「今日着てる服、全部韓国だ。あ、靴も!」って日もあるくらい。ソウルなんて何しに行くの?っていう人には、「服の仕入れだよ。」って言ってもいいかもしれない。

気軽に行ける隣の国、韓国。
日韓関係の悪化で、最近では韓国を訪れる日本人観光客も減っているそうだ。
でも、去年の冬に行って思ったのは、人と人との交流はそう簡単に変わらないってこと。政治的にどうでも、経済的にどうでも、個人的に出会った人に直接イジワルできる人なんて、そんなにいないだろう。
明洞の屋台でホットサンドを売っているおばちゃんは、いつも変わらず優しい笑顔で私たちを迎えてくれる。

そういう些細な交流を重ねていくことで、韓国との関係が少しずつでも改善していくことを祈るばかりだ。

終わり。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?