消えた思い出、残った景色は。
キミと過ごした街へ行った。
駅前のマックでよく待ち合わせしたよなぁ、とか、大戸屋で夜ごはん食べてたなぁ、とか、ただひたすらに懐かしい。
ふたりで通って店員さんと仲良くなったあのピッツェリア、なくなってたよ。お店が潰れたわけじゃなくて業態が変わったみたいで、よくミックスナッツをサービスしてくれたあのフレンドリーなお姉さんはたこ焼き屋さんになってた。
あんなに素敵なお店だったのにね。
私たちももう一緒にいないしね。
なにもかも変わるもんなんだねぇ。
キミと連絡が取れなくて大泣きしながら歩いた駅構内の通路も、喧嘩をしながら通り抜けた商店街も、今ではなんの意味も持たない道で。
相変わらず空が狭いこの街は、駅前の喫煙所が無くならないこの街は、どんな店よりもパチンコ屋の看板が目立つこの街は、バスロータリーで老人と若者が喧嘩してるこの街は、なにひとつ惹かれるものなんてない。
キミとの生活が私の世界のすべてだったあの頃。
どこもかしこも特別なもので溢れていた。確かにそこにあった。そんな街はもうどこにもない。
私たちがこの街にいたことなんて、誰も知らない。
今ここにいる、私しか知らない。
ひとりじゃ何もできないと言われてた私が、いまキミとの思い出を踏み締めながらしっかりとひとりで立ってるよ。ここに立ってるよ。
キミもどこかで強く生きていると願いながら。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。 よろしければサポートをお願いいたします。励みになります。