納豆ごはん

朝食別居

結婚して10年になるが、朝食だけはずっと別居状態が続いている。お互いがぜーんぜん違うものを食べているのだ。

あ、ご心配なく、別に仲が悪いわけじゃありません。……たぶん。

少なくとも夫の見解としてはそう思っています。違うのかな……。

まあでも究極的には別の人間なので、価値観がわりと合う方だとは言っても食べ物の嗜好に関しては完全に一致しているというわけでもなく、自分はこの世のありとあらゆる食べ物を一度は口にしてみたい(昆虫食を除いて)と思うほうなのだが、妻はわりと保守的だったり。

で、朝ごはんに関してはどちらかに合わせて片方が苦痛に耐えるよりは、別々の道を歩みましょ、とわりと早期に合意に達したのである。

そして私の朝ごはんは毎朝必ず納豆ごはん。妻はトーストとヨーグルトというのが定番になった。カフェオレだけはふたりとも飲む。

もっとも、納豆に関してはさいわい彼女も好きなので、決して私が食べている隣で花をつまんだり、席を遠ざけたりということはない。

で、この納豆ごはんをいかにおいしく食べるかというところで工夫を重ねた結果、月日を経るにつれどんどんルーティンがややこしくなっている。最初はもちろん、生卵と納豆とご飯を混ぜた、最もオーソドックスでベーシックな納豆ごはん(ですよね?)だったのが、ネギを入れたり海苔の佃煮を混ぜたりそのときどきによって冷蔵庫のものをトッピングするようになった。

そこまではよくある話なのだが、あるとき妻が「卵は生より焼いたほうが薄毛にいいらしいで」と私の頭頂部を気遣って教えてくれて、それと同時に焼き納豆ごはんという食べ方もあるという情報もどこかで得て、卵を焼くようになった。油を敷いたフライパンに混ぜないままのパック納豆をドーナツ型に広げて、その中心部で卵を焼くという、いわば巣篭もり納豆である。

しかしこれが朝からちょっとヘビなーので、しだいに焼くのは卵だけになった。そこへ持ってきて仕事関係で焼き海苔を大量に入手したこともあり、じゃあそれも使おうかとなって、今では以下のようになっている。

原一平太的 朝から面倒くさい納豆ごはん
1)一膳分の冷凍ごはんをチンする
2)フライパンで目玉焼きを焼く。
  強火でガラス蓋をして白味にだけサッと火を通し、
  黄味はあくまで半熟(生同然)に。
3)ネギを小口切りに、焼き海苔を程よい大きさに刻む。
4)チンしたごはんを丼に移し、刻んだ海苔とあれば鰹節を振り、
  醤油をひと回し。ここでいわば簡易海苔弁ができあがる。
5)4の上に目玉焼きをオン! ネギもオン!
  目玉焼きは食べる前に箸で細かく崩す。
6)納豆をよく混ぜ、5の上にオン!

毎朝これを飽きもせず作っているわけだが、まあ手間がかかる。作り終えて「いただきまーす」という頃には妻のトーストはすっかり胃に収まっているという状況(まだ起きてきてないことも多いけど)。けれどもなぜか、どっかの工程をすっ飛ばす気になれなくて、つねにこのごはんを食べている。何なら漬け物を乗せたり、かえって手間が増えていたりする。

当然、こうなると急ぎの朝には作っているヒマがなくて、コンビニやファストフードで済ませる羽目になる。

そういう意味ではこの朝ごはんは自分らしい一日を始めるための大事なモーニングルーティンなのだと思う。

納豆ごはんは生卵に限る、という方もぜひ一度お試しあれ。意外といけます。

ちなみに前日のカレーのルウだけを残しておいて納豆カレーにするのが、個人的には至高の朝食です。


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