焼き肉

君んちの焼き肉

我が家(といっても夫婦2人だけど)には「君んちの焼き肉」なるメニューが存在する。妻が実家でときどき食べていたというかなりシンプルでチープでオリジナル、けれども病みつきになる、れっきとした「焼き肉」である。

だいたいにおいて焼き肉というと、ニンニクやショウガなどをたっぷり使った甘辛濃厚なタレと肉の質、脂の甘みで勝負するような、朝鮮半島にルーツを持つ系統を想像されるだろうが、この焼き肉はその対極に位置するといってもいい。ご存じかどうか知らないが、松浦弥太郎さんの麻婆豆腐のレシピに通ずるところがある、ソリッド、かつ独自のアプローチで迫る焼き肉なのである。

もったいぶってないで作り方を説明しますわね。材料は以下のとおり。

・牛コマ(切り落とし)一人150g見当(好きなだけ) 
・玉ねぎ・・・1ヶ(好きなだけ) 
・大根・・・2分の1本(好きなだけ) 
・じゃがいも・・・一人2ヶ見当(大きさによる まあ好きなだけ)
・醤油 
・油

大根はおろす。汁は捨てない。玉ねぎは細かめのみじん切り(妻に言わせると私の切り方は粗過ぎる)。

※2019.08.01追記 玉ねぎはお好みで水にさらして
辛味をおさえてください。うちは割とそのまま使っていたり、
サッと水にさらしたり、その日の気分で作り分けています。
ていうか適当です。

じゃがいもは皮をむいて5〜7ミリ厚にスライスする。新じゃがだったら皮むかなくてもいいです。

ジャガイモをフライパンで焼く。中火、多めの油で、焦がさぬようにカリカリホクホクになるように焼く。お皿に置いておく。

牛肉をフライパンで焼く。あまりひっくり返さず、何なら焦げ目が多少つくぐらい香ばしく焼く。いい肉を使わず、惜しみなく雑に焼く。

あとは各自、取り皿(お椀)に大根おろしと玉ねぎみじん切りを適宜入れて醤油をひと回しかけ、マイ「タレ」を作ったら、そこに焼けたジャガイモと肉を適宜放り込んでからめ、口に運ぶだけ。

もし、首尾よくまあまあいいお肉が手に入り、しゃぶしゃぶやすき焼きに使えるような薄くて広い切れ端で、表面積が十分にあれば、ジャガイモと「タレ」を巻いて食べるとなおよし。けれども我が家のデフォルトは長さも広さもまちまちの切り落とし肉なのでなかなかうまく巻けない(しかしそれでも一大決心で購入している)。そういう場合は潔く諦めたほうがよい。

ちょうど昨晩は近所の業務スーパーで大根が50円で買えたうえに、玉ねぎもジャガイモも潤沢に在庫があったので、一念発起して「君んちの焼き肉」にした。この場合君というのは妻なわけだが。

味について言うと、これがなぜかバカにしたものではない。なぜかうまい。肉+ジャガイモ+大根おろし+玉ねぎ+醤油。ただそれだけ。肉じゃがにするにも材料や調味料が足りないぐらいのシンプルさである。しかし毎回箸が止まらなくなる絶品メニューである。自信を持ってオススメしたい。

食べ進むうちに、取り皿(椀)の中に牛肉の脂と渾然一体となった、えも言われぬ旨さの汁がたまってくるはずだ。少々下品だが最後にそこに白ごはんをぶっ込み、一気呵成にかき込んでいただきたい。ピース。

ほんとうに独特な焼き肉なのだけれども、これはこれで、ときに王道の焼き肉を凌駕する愉悦を与えてくれるから驚き。料理のおいしさは素材のよさや工程の複雑さ、調理の丁寧さに必ずしも比例しないということにあらためて気づかせてくれる一品です。

でも2人で一回1万円ぐらいする焼き肉も大好き。年に一回ぐらい、記念日には食べたいなあ。

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食べること、料理することがめっぽう好きな中年のおじさんです。 定番人気メニューのルーツについてこれまで自分なりに調べたことや、 日常の食事シーンの中でのささやかな気づき、発見、疑問などを書きとめてゆきます。 誰かの目に留まれば幸いです。

コメント2件

名前がとってもいいですね。
コメントありがとうございます。どうでもいいことですけれど、きょう、久しぶりに牛肉が安く買えたので「君んちの焼き肉」をまた食べたいと思っています。
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