はらまき

横浜在住。40代の会社員。ビールとコーヒー、ヤクルトスワローズが好き。たまに登山へ。真面目に生きてきて疲れてきたので、これからは適当に生きようと思います。周りの影響を受けやすく、考えがころころ変わる人間です。

伯父の海(140字小説*27)

「俺は天の川を船で渡ったことがあるんだ。」伯父は漁師で、九十歳で亡くなるその日の早朝まで船を出していた。伯父が煙になった日の夜、僕は飲みすぎた酒の酔いを醒まそうと海まで歩き、空を見上げた。するとそこには、見たこともない数の星空が広がり、ずっとずっと遠くの地平線で海と交わっていた。

#140字小説 #掌編小説 #超短編小説

亀有公園前派出所から電話がきた(140字小説*26)

朝、日課の片足立ちをしているところで電話が鳴った。「こちら葛飾区亀有公園前派出所ですが。田中カナタさんのお電話ですか?」「はい、田中カナタです。」「お財布が届いてまして。ご連絡差し上げました。」「もしかして、寺井洋一さん?」「はい?」いけないいけない。夢と現実を混同してしまった。

#140字小説 #掌編小説 #超短編小説 #創作小説 #こち亀

渋谷にて(140字小説*25)

渋谷駅前交差点で知らぬ男に声をかけられた。少しドキッとした。僕は人から声をかけられるタイプではない。「昨日、あなたがここで拾った100円玉、私のです。」「はい?」「私のです。100円玉。」僕は昨日、ここで100円玉を拾った。怖くなって、僕はその場から駆け出した。が、囲まれていた。

#140字小説 #掌編小説 #超短編小説 #創作小説 #スクランブル交差点 #渋谷

夏の朝の女の子(140字小説*24)

ある夏の朝、通勤のため駅へと歩いていると、向かいから小学生くらいの女の子が歩いてきた。女の子は角を曲がり、小径へと入る。ふと僕は思う。小径はすぐに行き止まりだ。角まできて小径に目をやると、女の子の姿はない。9時前だというのに、気温は38度を超えている。ブロック塀で蝉が鳴いている。

#創作小説 #140字小説 #超短編小説 #掌編小説 #夏

昨日、喫茶店で(140字小説*23)

JAZZ喫茶の床に、仰向けの蝉がいた。客の鞄か服にでも着いて入ってきたのだろうか。少し動く。まだ生きているようだ。僕はティッシュで蝉を包み、店の外の路地の木の根元に蝉を置く。蝉の死に場所としてふさわしいと思ったのだ。「JAZZを聴きながら死にたかったのに」そう呟き、蝉は息絶えた。

#140字小説 #掌編小説 #超短編小説 #日記 #創作小説 #JAZZ

ついてない日(140字小説*22)

ついてない日だった。電車の遅延で仕事に遅刻。ランチでは注文を間違えられ、自動販売機で買った缶コーヒーは冷えてなかった。仕事帰り、いつものBARは臨時休業。缶ビールを買う。まてよ。案の定、ビールはふきこぼれた。ただ、泡の中かから絶世の美女が。やはりついてない。俺は美人が苦手なのだ。

#140字小説 #掌編小説 #超短編小説 #仕事 #ついてない日