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【シベリア鉄道】飛ばずに大阪〜パリ #1

はじめに

2022年のウクライナへの軍事侵攻以降、気軽に行くことができなくなってしまったロシア。筆者は、この出来事からさかのぼること5年前、大阪から上海まで船で渡り、鉄道で上海から北京・シベリアを経由し、パリへと旅をした。飛行機を使わない、"飛ばずに"渡欧。
 
疫病や政情不安のため、ロシアはもとより、海外にさえ旅することが難しくなった現在。あらためて過去を振り返ってみることにする。

大阪港→上海

大阪港から船に揺られ、3日がたった。景色は日本とうってかわって、もやがかかっていた。水面は上流から運搬されてきた土砂のせいで茶色くにごっている。長江の支流である黄浦江を遡上し、外灘からほど近い上海国際客船ターミナルで乗客たちはおろされた。同じ船に乗り合わせ、2泊3日をともにした乗客たちとも別れを告げる。

今回の旅において、上海は単なる通過地点にすぎない。Googleマップにあらかじめ仕込んでいたオフライン地図を立ち上げる。観光はひとまず後回しにし、北京行き高速鉄道の切符を確保したかったので、上海駅へと向かった。


上海駅の出札口でなんとか切符を確保する。列に並んでいる際、かなり多くの人に抜かされたりしたので1時間くらい並んでいた。疲れた。

そもそもこの出札にたどり着くまでにもかなり待たされている。というのも、まず駅に入場するときは手荷物検査と身分確認が必要なのだが、その列にも多くの人が殺到していた。また、身分確認の際は、僕が外国人であったため、やはりそれなりの時間を費やした。

今日の宿は地下鉄・南京東路駅近くのドミトリーを確保した。ひとまずザックを置いて外灘をめぐってみる。「地球の歩き方」であらかじめピックアップしておいた場所に向かった。

思えば遠いところまで来てしまったと改めて感じる。これからパリに行こうとしているが、本当にたどり着けるのだろうかと今更不安になった。

海外旅行なんて、半年前に大学の友人に連れられて行ったマレーシアが初めてだった。1人で海外に行くのなんてこれが初めてだ。2回目の海外旅行なのにこんな大それたことをしようとしてるなんて、踏むべきフェーズを2段も3段も飛ばしてしまったかのようである。

いいようのない不安感にさいなまれながら、スモッグでかすんだ上海の街を眺めていた。


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