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伝説の展覧会

昔から"アウトサイダーアート"というものにとても興味がありました。

アウトサイダーアートって何?ってことですがざっくり言うと独学のART作品ってことですかね。

なので厳密に言うと僕もアウトサイダーアートになります。ただ、基準なんてものがある訳もなく自分がそう思えばそれはアウトサイダーアートだし、他人がそう思えばそれはアウトサイダーアートです。

よく、混同されがちなのはアール・ブリュットとアウトサイダーアート。アール・ブリュットってのはフランス発祥の言葉で日本でいうところの障害者アートに似ています。直訳すると「生の芸術」

今回僕が話にするのはアウトサイダーアートの方。こちらはイギリス発祥の言葉です。アール・ブリュットの多くは障害者の作品ということになりますがアウトサイダーアートはより広義な意味となり、独学で美術を習得した者、民族芸術、ホールレスの作品などなどなどなど

以前他の記事でも書いたんですが、「作りたい」が先にくる作品や表現にとても惹きつけられることがあります。「趣味」という言葉ではどうにも捉えきれないような作品や表現がアウトサイダーアート足りうるんだと思っています。

特に美術を学んだわけでもないし、自分が作った作品を職業にしたいわけでもなく "ただただ作りたいから作った" って作品を見せつけられるのがとっても痛快。絵画や美術表現を見ているときとはまた別の衝撃があります。


まだアトリエ三月が2年目の頃に忘れられない展示がありました。


その頃はギャラリーの認知も低く、のんびりとした営業が続いている時期でした。ふらっと入ってきたOL風の女性が一通り展示を見た後にギャラリーのレンタルは可能か?と言うことを聞いてきました。

その頃は今のように審査などもなく、全然、大丈夫ですよーなにされているんですか?と聞いたところ

「私は10年ほど前から『る』を収集し続けているのですが、『る』をどうしても卒業したくて、その『る』を展示することは可能でしょうか・・・?何言ってるかわかりませんよね・・・・」

と、今振り返ってもヤバいですよね笑 

でも本当に実際こんな感じでした。

一見とても大人しそうでまともな感じの女性がこんなことを言うもんだから「これは絶対なんかわからんが面白い」と直感し、二つ返事でOKを出しました。しかし当日まで一体何が起きるのか想像もできません。


搬入当日ものすごい物量の荷物を持って彼女が1人で現れました。

僕も一緒に搬入の手伝いをしていたのですが「うわ・・・ヤバい・・」と興奮が抑えきれませんでした。



そしてその当時の展示風景が以下です




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どうかしてる!!


彼女はずっと仕事の傍、ある日突然「る」が気になって街で目にする「る」を集め始め、ノートに「る」お書き続け、新聞や雑誌の「る」を切り抜きコラージュにし、「る」のTシャツなんて当たり前。ついには「る」しか書かれていない小説を作り、10年が経ち、もういい加減「る」から卒業したい!個展をするしかない!

となったそうです。

そして本当に・・この個展を最後に「る」の収集を終え、作ることの一切を終えてしまった・・・・・やばすぎる・・・・


未だに僕の中で彼女の個展が伝説となっています。


作りたい、何よりも自分自身が見て見たいから作るという純粋な思いがとてつもない熱量となり沢山の人を魅了(呆然と)させました。

本当、幻みたいな5日間。現代美術や抽象絵画なんかも好きなんですが、たまーにこうした何のいやらしさもない純粋な表現に出会いたくなることがあります。

大阪で絵画制作や美術活動をしつつ、ARTspace&BARアトリエ三月を運営しています。サポート頂いた分は活動費やスペース運営費として使用させて頂きます。全ての人がより良く生きていける為に 美術や表現活動を発信し続けます。