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そもそもの何故:コミュニティーでアメリカミズアブ


裏庭でのアメリカミズアブ飼育、ペットフードとしての販売の経験を通し、都市生活のなかにアメリカミズアブの力を借りたグリーンインフラストラクチャーが整備された世界とはどんなものか、と思っていたところ、近所にあったアーバンファームでご近所で回収した生ゴミをコンポストしてに土づくりをするプログラムがローンチされました。
市の回収に任せれば無料のところをあえて料金を払って温室効果ガス削減と地域の循環食システムについての学びを目的に掲げる生ゴミコンポストプロジェクトに協力する多くの地域住民の存在を目の当たりにし、メリアブ関連の可能性に関する考察を伝え話し合う中で場所を貸してもらえることとなり、いろいろと観察しながら試行錯誤しているところです。

アーバンファームで時間を過ごすうちにアメリカミズアブの活用はこの昆虫が本来有機物分解者あるいは土壌生物群集の一部であるという視点に立ち戻り、生態系の根本を支える重要なエコシステムサービスである”土づくり”を担う能力に価値を見出すべきではないかと思うようになりました。
場所と時間をそれほど取らないメリアブ土づくりシステムを都市の隙間スペースに分散して設置し、出てくるウジ虫と土を地域生態系の栄養と物質の循環(サーキュラリティー)に貢献するようにデザイン、活用し、それが生命をつないでいる(はず)ということを可視化することで、より調和的な社会を作るための意識変革と行動変容を促すためのツールとして一定の価値があるのではないかと考えるようになりました。


これまでの埋め立てや焼却(あるいは商業的コンポスト)という方法で住環境コミュニティーから離れたところで処理されてきた生ゴミ、食品廃棄物、その他有機廃棄物をアメリカミズアブの力を借りてそれぞれのコミュニティーの資源として実際に手に取って利用することで本来あるべき自然の物質循環に直接つながっていることを実感し、これまでの経済活動が一方通行(リニアモデル)の原料採取から加工、利用、廃棄されることで本来生態系を維持するために不可欠な物質循環機能を断ち、その結果現在危機的と言われるまでに地球規模で環境に影響しているという理屈も見えてくるのではないでしょうか。

資源再生と価値創造システムとしてのアメリカミズアブ

メリアブウジの大豆や魚粉に替わる代替タンパク質としての経済的価値を高めることは現状のリニア一方通行経済モデルの環境負荷の低減し環境改善には貢献すると期待されています。それはこれまで食料生産を専門としてきた食品産業の企業の仕事であると考え、まずこの昆虫との関わりから我々一般庶民が得ることのできる様々な社会的環境的経済的価値の模索と創造のための活用機会を整え、それぞれの地域特性を踏まえた既存の地域開発プログラムにメリアブシステムを組み込みステークホルダーと連帯し協同して利益を生み出すするためのサービスが新たなソーシャルビジネスとして成立する可能性について考えるようになりました。

分散式小型アメリカミズアブシステムの可能性

現在ケルマーナガーデンズの賛同とオークランド市のゴミ削減基金から助成金を元にソイルファクトリーが回収する家庭とレストランからの生ゴミをメリアブシステムで減容、ホットコンポストとミミズコンポスト通して高品質土壌改良材を作りつつ、鶏の餌を供給するというプロトタイプシステムを構築するプロジェクトを進行中です。

このプロジェクトは地元で発生する生ゴミの資源としての価値を見出し、システムの運転運用を通して地域コミュニティ内の人的環境的繋がりを強め、レジリエンスとwell-beingの改善向上を支援することを目的にしています。同時にメリアブ卵、幼齢幼虫の量的質的な安定供給など普及ために必要な要素を検討しつつ地元産業の循環度(サーキュラリティ)の改善による収益向上ための新たなツールとして普及、定着の可能性を検証、模索していきます。

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