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「俵」と「玉」

その業界しか通じない言葉ってありますよね?

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私は前々職は小さな出版社で編集の仕事をしていました。出版業界の専門用語で、世間一般的にはまず使わないだろうという言葉、たくさんありました。

例えば、「責了」

これは、「校正」をかけた内容を印刷する前に最終チェックをするのですが、そこでも修正が入る場合があります。ただ軽微な修正なので、そこは修正するが、修正後の確認はしません。お任せします。修正後はそのまま印刷にかけてもいいですよ、という意味です(もう20年近く前の話なので業界的にもすでに死語かもしれませんが)。

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米屋を本格的に始めてから13年くらい経過しますが、当初は様々な業界用語の意味が分からず、戸惑ったこともありました。

例えば、
・上がり
・歩留まり
・ふける
・分搗き
・ヤケ米
・シラタ
・カメ
など。

そしてタイトルにある「俵(ひょう)」と「玉(ぎょく)」です。

どちらも玄米の流通に関係のある言葉です。

まず「俵」について。
これは玄米の流通単位を表しています。

ご存知の通り、昔はお米を俵に詰めていたので、その名残です(時々今でも俵を使っていると勘違いしている人がいますが、さすがにいまは通常使うことはありません)。
1俵=60キロを指します。

ただ、いまはほとんどが30キロ袋(紙袋)で流通しています。そのため、生産者や卸業者に玄米を注文する際は気をつけないといけません。
「俵」と「袋」を確認せずに注文をすると、大変なことになるからです。

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「俵」を「袋」と間違えた場合は発注量の半分しか弊社に届きません。
「袋」を「俵」と間違えた場合は発注量の倍、届きます。

面白いのは、この「俵」を使っているのは米屋くらい、ということです。
生産者には時々通じない場合があります。それは玄米を袋詰めしている生産者の前には、60㎏でモノは動かないからでしょう。

最近は「袋」は「袋」でも「1トンパック」というものがあります(フレコンといいます)。

さすがに米屋からの発注の際、「袋」を「紙袋」ではなく「フレコン」と思う生産者はまだいませんが、生産者からしてみるとフレコンの方がすべて機械で出来るため、作業がものすごく楽です。そのため最近はフレコンでの流通が増えています。

遠くない未来、いずれはフレコン流通が当たり前になるかもしれません。そうなると弊社のような狭い店では対応できないので、何かしらの対応が必要です。

でも玄米を未だに「俵」で数えているのだから、米屋らしいですよね。

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次に「玉」について。

これもどちらかというと流通に携わる人の間で使う言葉です。これこそ生産者からは聞いたことがありません。

マーケットに出回っている玄米のことを総称して「玉」といいます。
例えばJAが集荷したお米は「JA玉」、民間の集荷業者経由で米屋に流れてくるお米は「民間玉」。玄米を探しているときは「今年は新潟の玉が無い」…といった使い方です。

辞書には「取引所で、取引の対象となる株式や商品」とありました。

ご存知の通り、世界初の先物取引市場は江戸時代の堂島市場でした。恐らく玄米を「玉」というのはここに由来しているのだと思います。

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このように業界用語を改めて見ていくと、その業界の歴史や背景がわかります。

小池精米店は今年で創立91年。私で三代目です。

私が使っている業界用語を、かつては父も祖父も米屋の仕事で使っていたのだと思うと、そういった無形なものを知らず知らずのうちに引き継いでいるのだと実感することができますね。

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「楽しくなければお米ではない!」
有限会社 小池精米店
三代目 小池理雄(ただお)

五ツ星お米マイスター
東京米スター
6次産業化プランナー(中央サポートセンター登録)
社会保険労務士

東京都米穀小売商業組合所属
東京都ごはん区メンバー

〒150-0001
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