EIGHT BALL FESTIVAL 2024いってきた

中四国の春フェスは珍しい。夏フェスは香川のモンバス、山口のワイバンがあるけど岡山にフェスのイメージがなかったから、昨年初めて開催された時は出演者含め気になってはいた。

今年の開催を知り、出演者のラインナップを見たときはめちゃくちゃ沸いた。すごい私得な豪華なメンツなんだが………。ワンマンは見たことあるキタニタツヤ、THE ORAL CIGARETTES、ReN、ヒプマイライブでゲストアクトで見たMOROHA、そしてこれまで一度もライブで見たことのないけど気になっていたSUPER BEAVER。十分すぎるほどに出演者が良すぎた。友人と誘い合わせて夫と3人で行くことを即決めた。

このフェスの最大のポイントは出演者の被りがないこと。好きなアーティストを一組たりとも諦めることなく見ることができるイベントなんてそうそうない。チケットを取ったときから当日が待ち遠しかった。

ここでは記録に残す用として当日の様子を書き留めておく。


他県勢、交通アクセスに悩む

車で向かうことは決まっていたが駐車ができるかどうか悩ましかった。会場には1500台収容できる駐車場があり、そこに停めればいいと軽い気持ちで考えていた。ただ、イベント慣れしていなかったこともあり、当初は「キタニが始まる13:25に間に合えばいいし余裕持って12:00着でいけるやろ」と思っていた。

ただ、そこで停められなかったら詰む。その懸念が僅かにあったから「エイトボール 駐車場」で検索して昨年の様子を調べてみた。昨年は7:00から駐車場が開放、そして早ければ9:00頃には満車になっていたという情報を得る。

他県勢に駐車場争いはムリだ!!!!!!!!!!

自宅から会場までノンストップで行ったとしても約3時間、5:00に出発すれば何とか…?というハードスケジュールを一瞬考えたが、そんなストイックにする必要ないのでは?という冷静さを取り戻す。なので、当初利用する予定はなかったシャトルバスを使うことに。朝7:00頃に自宅を出発、友人を拾い岡山へと車で向かった。

ただ、会場から最寄りのJRの駅から出ているというバスに乗るための駐車場探しも当日難航した。駅に着いたのは11:00前頃。バスの始発が8:00だったからそりゃそうだよな…という停められるだろうという淡い期待も砕け散った。

運営にはシャトルバス利用者用の駐車場を手配してほしいと切実に思った。それか、最寄りではなく一つか二つ離れた駅の駐車場に停めて、そこから電車で向かうか。どちらにしよ、昼着を目指す組は駐車場問題を避けて通れないことを知っておいた方がいいと思う。あと、シャトルバスは満員乗車にならないと出発しないからそこで時間を取られる可能性も。私たちはたまたま行きも帰りも補助席に座るくらいほぼ満員状態のバスに乗り込んだから待ち時間はなかった。時間に余裕を持って行動が大事。


会場着!コンパクトな設計がラク

会場着は11:00を過ぎた頃だったのもあり、リストバンド交換は待たされることなくスムーズだった。屋外にグッズ販売、フード販売がありそこはリストバンドがなくても自由に入れるエリアとなっていた。グッズ販売が10:00からだったが私たちが向かうとほとんどのアーティストのグッズ列は無くなってたにも関わらずSUPER BEAVERの列だけ異常に人が並んでいた。

そして周りを見てみるとSUPER BEAVERのグッズTを着ている人しか見えないのである。誇張しているように思えるだろうが、逆に他のアーティストTを着ている人を見つける方が難しいくらいビーバー推しで溢れていた。

ここで「最悪、入場規制かかるのでは…?」という不安がよぎるくらいにはびびっていた。結果、見れたのは見れたが後方エリアまで人であふれていた。SNSによるとビーバーの次にサブステージに控えていたHakubiのフロアに待機していたのは10人くらいだったという情報を後で知った。これで出演時間の被りがあったら何とも寂しいことになっていたが、ステージ間の距離が近く終演後すぐ移動ができる仕様になっていたのでビーバーの後にHakubiを見た人もいただろう。

12:00になる前にフェス飯をいただき昼ごはん。用意されていたイートスペースはそこそこ混んでいたが回転も早く席を取ることができた。昼食後、エントランスへ入り、協賛ブースと大きなモニターがあるエリアへ向かう。ここではスポーツ観戦の観客席のように片面の壁際の席が開放され、その対極にモニターを設置していた。そのモニターではリアルタイムで演奏しているアーティストのパフォーマンスを見ることができるようになっており、ここにいれば会場に向かわずともアーティストを見れる便利なシステムになっていた。子ども連れの家族はゆったりとここで聞くことができるし、見るつもりのなかったアーティストも気軽に鑑賞できるので興味を持ちやすい。ただ、リハの映像は流れないのと、アーティストによってはMC中の音声は聞こえなくなっていたので、本命のアーティストは会場に入って聞く方がいい。

協賛ブースでアーティストへのメッセージを書いたりしていたらキタニの出演まで40分となっていたため早めに待機をしておくことにした。


13:25~SOLID STAGE キタニタツヤ

12:45頃SOLID STAGEの会場に入るとすでに待機している人たちがいたが右前方に位置取ってスタンバイした。後から振り返ると、この時が一番前で見れた瞬間だった。フェスではワンマンライブでは見れないリハも見れるというメリットもあるから、それを見逃さないためにも早めに待機しておくのも良い。

開演時間の10分前くらいにバンドメンバーともにキタニ登場。ストローで何か飲みながら入ってくるという緩さからリハを感じる。リハ一曲目「ハイドアンドシーク」が始まると本番かと思うくらいに一気に会場が盛り上がる。リハだと思いつつももう実質本番だよな、というクオリティでやってのけてしまう。ワンコーラスだけで終わり、その後指示出しをしている様子を見ているとまだリハなのか、というこれだけでもう十分なのにこれからまだまだ聞くことができる嬉しさと期待で気持ちが膨らんだ。

リハが終わりしばらくしたのち、開演時間になり照明が落とされる。歓声が上がり、溢れる高揚感で会場が満ちる。私たちにとってのトップバッターのアーティスト。正面向かって左上に設置されたモニターにエイトボールフェス仕様のオープニング映像が流れる。キタニタツヤの名前が出された瞬間、歓声が再び。

本編一曲目は「スカー」。BLEACHファンの夫が隣で沸き立つのを感じる。その後の「悪魔の踊り方」「聖者の行進」と定番曲が続いていくのに合わせて観客をヒートアップさせるような意図を汲み取れる。かと思いきや「キュートアグレッション」「ラブソング」「大人になっても」とアルバム曲などの変化球もあったりと予想できないセトリにもいい意味で裏切られた。結果、キタニは本編だけで9曲、リハ込みだと11曲歌うというワンマンライブかのような勢いでラストを「青のすみか」で締めくくった。


15:35~STRIPED STAGE ReN

キタニの終演後はモニターがあるエリアでこの後のスケジュール確認も含めた作戦会議と休憩時間を取る。ReNくんの後はすぐにビーバー、時間をおいてオーラル、その後すぐにMOROHA、の移動が忙しないターンが予想されていた。

リハも見たかったのでReNくんのときも30分前には会場で待機。初めてのサブステージに足を踏み入れるとReNくんがまさにリハを始めようとしていた。間に合った!と喜ぶと同時に会場には100人にも満たない観客がフロアを1/10程度にしか埋めていない光景を見た時は「?!?!」と口と顔には出さなかったけど動揺を覚えた。こんなに少ないの??と演者当人でもないのに焦りを感じて嫌な汗をかいてた。ただ、この裏ではSiMの演奏時間になっており、ReNくんの開演時間が迫ると少しずつ人が集まってきて安心した。

リハではワンマンでも久しく聞いてなかった「HURRICANE」。その後洋楽のカバーでリハを終えて、開演時間を待つ。サブステージにはメインステージのようなモニターはなく、開演の合図となるキャッチの音楽が流れる。本編一曲目は「千輪花火」。前回行ったワンマンはアコースティックだったため、ルーパーを使う演奏を久しぶりに浴びる。音を重ねていく過程で曲がわかる瞬間の嬉しさ、歌い出しまでの曲が完成に近づいていく高揚感はやっぱりライブならではで音源ではなかなか摂取できない栄養だ。

代表曲「Life Saver」、近年有名曲となった「あーあ。」に続き、最新アルバムからの「Teenage Dreamers」ではシンガロングで思いっきり声を上げて体と心を揺らした。そして最後に歌われた「Lights」のタイトルがReNくんから発せられた時は嬉しさと驚きの声が少し漏れて思わず口を手で覆った。

暗闇を思い起こさせ、憂いを帯びた声色で歌い始めるこの曲は徐々に光に向かっていくように音の数も増えていき盛り上がっていく。ラスサビ前のメロディーでは原曲とは異なり、何層にも重なった音を一つ一つじっくり味わうかのように長くなっていた。重厚に、エモーショナルに、音圧で畳みかけるようにラスサビに入る手前で、全ての照明、音が消え静寂が生まれた。そしてその静寂を感じさせることもなく一瞬のうちにReNくんにスポットライトが当たりステージに光が現れ、サビの「We are the lights」が力強く解き放たれる。


は〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜???????(なにこの神演出)(照明天才か?)(ワンマンでも見たことない)(美しすぎる)(あなたがまさに私たちの光)(緩急で風邪ひく)(もうこれ見れただけで元取れた)好きなんだが????????

急に頭悪くなるくらい衝撃が強くて最高だった。次のビーバーへの移動の焦りなんて吹き飛ぶくらい最高のプレイをしてくれた。本当に最高でした。


16:15~SOLID STAGE SUPER BEAVER

ReNくんの余韻が抜けきらない中、急いでメインステージに戻り、ビーバーの待機。リハは見れなかっただろうと思っていたが音チェックのみで演奏はしなかったらしい。私たちが入ることができたのは左後方エリアで、すでにスタンディングエリアの2/3は埋まっていた。さっきのキタニタツヤの時とは全く異なり、観客の隙間からかろうじてステージが見えるくらいの距離にいた。だけど、初めてビーバーを見れる嬉しさや期待があるので見られるならどこでも良かった。

いよいよ開演。モニターにオープニングが流れ、ビーバーのアー写が映る。メンバーがステージに現れ、最後にフロントマンの渋谷龍太がロングの金髪を括ってまとめた姿で登場してきた。モニターでもその姿は映し出されていて、ステージ上では豆粒くらいにしか見えない位置にいた私は、想像の5倍くらい美人だなあ…と惚れ惚れしていた。

一曲目。手拍子を打たずにはいられないテンポから繰り出されたこの曲はイントロではタイトルを思い出せなかったけど、サビまで来たらいやでもわかる。ダイレクトなメッセージ、「愛してる」をシンガロングで共にかました「アイラブユー」からすでに最高潮の盛り上がりを見せてくれた。

一瞬で会場の一体感を作り、ライブだからこそのその時しか聞けない、会場全体のエネルギーで溢れた一曲となっていた。この日のためにいくらか予習はしてきたけど、そのパワーに圧倒されて、すごいものを見ている…という感動の想いも合わさって最初は声出しもそこそこに、今この瞬間を感じていた。

そして、二曲目が「突破口」。ハイキュー好きな私はイントロで確実にわかる曲がきて一気にテンションが上がる。「堪能するよ 現実 酸いも甘いも全部」の歌詞が現実と向き合う勇気をくれるようで、当時から好きだった。

ビーバーの持ち時間は体感10分くらいでぶーやんが次がラストの曲です、と言ったときには「は??」と普通に思った。あと20分はあるやろ。

ラスト「美しい日」はぶーやんの独唱に合わせて手拍子が重なるのが音源でも良かったし、会場だとなおさら音に自分も加わってる感じがして良かった。飾らないストレートな言葉を照れ隠しもなくここまで言えるアーティストだから、こんなにたくさんの人の心を掴んでいるんだと今日のこのステージを見て改めて確信することができた。いつかワンマンにも行ってみたい。

余談。結局「美しい日」の後、時間が少し余ったらしく急遽追加で一曲増やしてた。やっぱ時間が短く感じたの間違ってなかった。


17:40~SOLID STAGE THE ORAL CIGARETTES

ビーバーが終わった後少し休憩してから、オーラルのステージへ。次にMOROHAのステージが控えていたこともあり、あえて後方の出口付近で待機していた。オーラルはワンマン経験が3回ほど。最後に行ったのはコロナ前だったからだいぶ久しぶりだったしフェスで見るオーラルは初めてだった。

2020年に発売された5枚目のアルバムを聞いてからその後は音楽自体も追ってなく、最新のオーラルもあまり知らないからどんなセトリになるのかもわくわくしていた。

オーラルと言えば、ライブ前に行われる掛け声?的なライブ始めの挨拶がある。
「一本打って!」「(一拍)」「二本打って!」「(二拍)」「THE ORAL CIGARETTESの、三本打って!」「(三拍)」「(ライブ名、ツアータイトルなど)を始めたいと思います」

これから始めるとオーラルのライブに来たなあという実感も大きく、テンションを上げる準備運動をしている感じがする。ただ、これはワンマンでしかしないだろうなあ、と少し寂しく思っていた。

開演時間になり、メンバーがステージに現れ始める。一曲目が何から始まるか、そんな予想をしていながら待ち構えてた時ボーカルの拓也さんから「一本打って!」の声が発せられる。

え!あるの?!と一瞬戸惑いながらも嬉しさが勝り、両手で一拍を打つ。そして次の「二本打って!」が当然あるだろうと思っていた私はそれを脳内で流した後二拍打っていた。しかし、なんと拓也さんは一本で止めてしまっていて、会場にはフライングの手拍子が寂しげに響いた。

「まだ言ってないで?」と拓也さんはいたずらっ子の笑みを浮かべてフロアを見ていた。「え…なんでそんな意地悪するん…」と私はそこそこマジレスで思ってしまったが、後で考えると初めてのフェスで自分たちの認知度がどれくらいか試そうとしていた?説もあるのではと思った。ただ、後で別のフェスでオーラルを見たことのある友人に聞くと、フェスでもあの掛け声してたよ、と教えてもらった。何だったんだあれは…

気を取り直して無事に始めの挨拶が終わり、一曲目に待ち構えていたのは「mist…」だった。ここで初期の初期の曲を持ってくるか、と意外に思ったのとこの曲人気だよな、という納得の思いが入り混じる。妖艶で色気のある拓也さんの歌声の良さが発揮される曲だった。

ゆるい下ネタ混じりのMCを挟みながら、「Red Criminal」「BUG」と攻撃力高めな曲をぶつけてきた。MCとの温度差で感情が迷子になりそうなくらい、楽器隊が繰り出す激しい音に会場が包まれ、一気に空気を変える勢いだった。比較最近にリリースされたこの曲をライブで聞くのは初めてで、特に「BUG」はエレクトリックなサウンドをまとった新鮮な雰囲気を味わえた。最後は定番曲であり、代表曲でもある「狂乱 Hey Kids!!」で会場に最高潮の熱気を残してオーラルのステージは締めくくられた。


18:25~STRIPED STAGE MOROHA

メインステージから足早にMOROHAが待ち構えるサブステージへと向かう。リハは見逃したかと思いきや、会場に入ったらちょうどアフロさんとUKさんがステージ上にいてリハを始めるところだった。

「エリザベス」ではアフロさんの優しい声色とUKさんが奏でる柔らかな音色により今日のフェスの中で一番心おだやかな時間が流れる。リハ二曲目は「チャンプロード」。まさに本番直前の意気込みを表すかのようにリアルタイムな選曲に鳥肌が立つ。二人の演奏の凄みに対してこれでリハかよ…と苦笑混じりの驚きとこれからの本番で何が見られるんだろう、という大きな期待を抱えながらリハを見届けた。一旦二人がステージから去り、本番開始の音楽が流れ始めた。

一曲目は「革命」。目が覚めたら裸で寝てたらしい「あいつ」は一昨年のヒプマイのライブでは味噌カツがポッケにパンパンになっていたけど、岡山ではきびだんごがたくさん詰まれていたらしい。そんなくすりと笑える空気から徐々に会場全体の集中がアフロさんのリリックに向けられていく過程を感じられるのは代表曲とも言えるこの曲ならではと思う。

「俺のがヤバイ」では鬼気迫るものを感じ、一番殺気を感じた。音源でも気持ちがざわざわするくらい攻撃的に聞き取れるこの曲を初めて生で聞き、本来の破壊力を全身で受けとめるのに精一杯だった。その後「拝啓、MCアフロ様」では緩急をつけるかのように優しく、けど確実に仕留めにきている勢いでリリックとギターのフレーズ、一つ一つが力強く奏られた。

MOROHAの楽曲を全ては追いきれていない私は次に聞いた曲を未発表曲とはすぐにはわからなかったが、武道館公演を終えた後のことが触れられていたことに気づき、もしや新曲なのでは気づかされた曲が「やめるなら今だ」だった。

何度もやめようかと思わされた出来事があったこと、それでも続けることを選び取った覚悟を曲から痛々しいほど感じ、今この場にいる全員にその覚悟を伝えようとする全力で向き合う姿勢に目を背けるわけにはいかなかった。むしろ一瞬も目を離すなという圧をかけられたように身動きができず立ち尽くすように聞いていた。

呆然とする中、次が最後の曲となる。「お願いします どうか聴いて下さい」という悲痛な声色で吐かれるセリフから始まるその曲は先程の威勢からあまりにもかけ離れていることに思わず動揺するくらいだった。後から調べて知ったこの「四文銭」にあるフレーズは好きな曲である「六文銭」にも含まれている。

これまでのライブでアーティストが投げかけたことに対してただただ自分の中で受け止めて咀嚼するような自分と向き合う形でのレスポンスがあっただろうか。それほどまでにラストに放たれたこの曲はこの日のための曲だと錯覚するくらい当時のシチュエーションに打ってつけな一曲だった。4月にはついにワンマンライブに行くことが決まっていたので、当日がより楽しみになった。


2025年開催決定

全ての公演が終了した後、来年の開催が決定していた。まだ2回目の開催にも関わらず、早くも次回の開催が決まっているのはめでたい。私が参戦した今回は総じて言えばめちゃくちゃ満足度が高かった。出演者の被りがないこと、会場内が移動しやすいこと、休憩スペースでのモニター設置など、ちゃんと見たいアーティストも見つつ、休息も取ってゆったりできる空間だった。細い改善点はあるが、総合評価は「大変よくできました◎」。今回以上に私得なラインナップが来年あるかどうか期待も込めて続報を待とうと思う。