【制作過程公開】『NASU本 前田高志のデザイン』制作者たちの裏側 第25回(1) 浜田綾

オンラインサロン「前田デザイン室」で日夜制作が進められてきた『NASU本 前田高志のデザイン』、通称「NASU本(ナスボン)」。このnoteは、その制作に携わったクリエイターたちの活動の記録を、前田デザイン室公式noteのマガジンに集約していく形で公開する連載企画です!

これまでのマガジンはこちらから読むことができます。

第25回は、14期クリエイターの浜田綾がお届けします。

(意図的にいい写真を選んでいます。)

私は『NASU本 前田高志のデザイン』でライターと編集長を務めました。とはいえ、私が編集長になったのは、プロジェクトが動いてからもっと後の話になります。

今回振り返ってみたら、ものすごく長文になってしまいました。よろしければNASU本が生まれたストーリーにお付き合いください。


「前田案内」にライティングで参加したい。

このプロジェクトが動き出したのは去年(2018年)の11月。前田さんがこんな投稿をしました。この時は「NASU本」の名前はまだ生まれていません。プロジェクト名は「前田案内」でした。

今となってみては文字のページがものすごく多いNASU本ですが、当初は任天堂の会社案内の前田さんバージョンとのことだったので、そこまで文字ページがあるかどうかもわからなかったんです。それでも参加したかった。

理由は2つ。

1つは、前田さんの集大成となる本に絶対携わりたかったから。私は前田さんのデザインの大ファンで、前田さんのデザインを見るのが好きなんです。ちなみに私のプロフィール写真、似顔絵イラスト、名刺、ブログのトップ画面のディレクション、全て前田さんにお願いしているほど信頼しています。

(前田さんに依頼したものの一部。イラスト、写真、名刺)

前田さんのデザインは単純にパッと見て「いいな」と毎回思うし、デザインのプロセスや思考の過程をブログやツイートで書いていることが多く、それを読むのも好きです。例えが適切かどうかわからないけど、デザインが生まれるまでの過程は毎回手品あるいはショーを見ているような気持ちになる。

すごいものを見たら「どうすればそんなことができるんだ?」と気になりませんか?私はとっても気になります。感動の裏側を知ることで、あわよくば自分もそいう要素を少しでも身につけられたらいいなと思ってしまう。だからこそ、前田さんの思考を直で聞けるだなんて、秘伝ダレの原液に触れるチャンスのようなものじゃないですか。是非ともやりたいと反射的に立候補しました。


2つめは、単純に書くことが好きだから。私は前田デザイン室の雑誌『マエボン』では編集長を務めさせていただきました。初めての挑戦で苦しいながらも最高に楽しく成長できて、私にとって思い入れの強いプロジェクトです。

(寄せ書きをいただき号泣)

ここでの本づくりで少しだけ心残りがあったのは、「書きたいなぁ」って幾度も思ったこと。巻頭メッセージは私が書きましたし、そもそも編集長なので書く以外にやることはいくらでもあるから時間もなかった。でも私はライターですから、編集もしたいけど書きたい。欲張りなのは承知の上ですが、やっていけないことなんてないし、あるとしたら自分で限界を作ってしまうこと。そんな経緯があって、このプロジェクトはライターとして立候補することから始まりました。


多忙の前田さん、スケジュールをどう調整するか?

投稿本文にご本人も書いてあるように、このプロジェクトは前田さんの本だから前田さんが動かない限り進みません。

当時前田さんは地方公演や書店トークイベントの真っ只中、当然クライアントワークもあったでしょうから多忙を極めていました。しかもこの頃漫画家にも転身する宣言が。忙しすぎる前田さんの時間をどう捻出し、どうプロジェクトを軌道に載せるかが最初のミッションでした。

もう一度投稿をみていただくとわかるのですが、この時点で書いているのは「1月に完成、2月に入稿」の予定でした。(実際は3月末完成、4月入稿)。なんでそうだったのか記憶がなかったのですが議事録を遡ってみたところ「前田さんの運気」だったことが発覚。

(議事録の一部)

運気…。


でも前田さんがやると言ったらやるしかない。それが畳み人というものです。なんとか2月に出せないものかと思案しました。マエボンと同様クラウドファンディングで資金調達をして予約販売をすることは決まっていました。マエボンでの反省点を生かし、初速に勢いをつけたかったので、クラファン開始と同時にイベントをやることに。完成した本を持ってイベントができれば最高です。しかしながら話し合いをした11月末時点で1月にデータを完成するスケジュールはすでに厳しいとのこと。前田さんが動かない限り何を掲載するのかわからないしページ数すら予想できない、すると見積もりが確定しないから経費回収ラインも予測がつかずクラファンもできない…。でも2月に何かできたらいいですよね。せっかくの運気も大事にしたい…、という堂々巡りに。


そこで方針転換。
2月に本の完成は難しいので、まずは制作発表会をしようということになりました。

(再び議事録の一部)

これ、オンラインサロンらしいやりかたでおすすめです。前田デザイン室の場合、サロンでやることは仕事にしません。お金というモチベーションで人を動かせない、強制力がないんですよね。するとどうしても仕事が先になってしまうし、それは仕方がないことです。そんな中で時間を確保し、スケジュールの都合をつけるには??これはもう強制的に日を決めてしまうことしかないんです。NASU本の場合、11月22日のミーティングで、2月に制作発表会をすると決めたことがきっかけになりました。運営の三浦さんからお願いしてもらって、CAMPFIREの会場も押さえました。

さぁもう後には引けません。イベントやるなら集客のタイミングもあるから、イベントの内容を設計しなきゃってなる。

ちなみにこういうやり方は、前田さんから学びました。2年前私はテストのために個人で電子書籍を出版しました。っていっても躊躇するじゃないですか、一応出版だから。その時前田さんは、ドーンといい表紙を先に作って贈ってくれたんです。そしたらもう後には引けないし、やるしかないじゃないですか。強制力を持たせる大きな何かを先に持ってきて、あとはそこに向かって突き進む。前田さんから吸収した仕事術です。


本の中身がない状態でのイベント、どうする?

年が開けて1月初旬。狙い通り、イベントをやるなら〜とプロジェクトが動き出しました。

多少変更はあったものの、売り方の方針が決まりました。

・基本はクラウドファンディングでの予約販売
・書店はマエボンでお世話になったところに限る(原則)
・残りはWEB書店を開設し販売する

イベントの設計、集客、クラウドファンディングのページを急ピッチで進めました。


イベントの課題はズバリ「イベント設計する時間の確保」
この時期大阪では書店イベントが続いていました。また東京でも1月ははあちゅうサロンとの合同定例会、先の3月は箕輪さんゲストと大きなイベントが立て込んでいて、言い訳だけどここに割けるリソースが単純に不足していました。


それから「このイベントのメリット」をしっかり考えることも大事。
制作発表会のイベント自体は無料です。前田デザイン室以外の方もお招きします。無料とはいえ、時間を割いて来てもらうメリットはなんだろう?タダであってもメリットのないイベントに来ていただくのは申し訳ないですから。

制作メンバーで考えました。

・公開インタビューを行い本の制作現場に参加してもらう
・お土産作戦(NASU本ステッカー)
・ご飯作戦(リッツパーティ)


課題はまだありました。
プロトタイプの制作が全然追いついていなかったんです。
このイベントは明らかな目的があります。「本をこれから作りますよ」と宣言する制作発表会であることと、クラファンへの初速につなげること。つまりこのイベントに来て「NASU本」が欲しくなるのがゴール。でも本のプロトタイプが進まない、中身がない中でどうやってゴールに向かえばいいのか悩みました。

(制作発表会で前田さんの手にあるNASU本、この段階では中身真っ白。)


そうだ、動画を作ってもらえないだろうか!!


本の中身が間に合わないなら、前田高志のデザインがいかにすごいか、いかに著名人の心を揺り動かしてきたか。それを伝える動画を制作してはどうかと考えました。動画と聞いて心に浮かぶのは前田デザイン室の動画クリエイター横山さん。ちょうど飲み会の席で横山さんに直接話す機会があったので直談判です。彼が忙しいのは承知だったので「ディレクションでもいい、でもとにかく制作に入って貰えたらうれしいな」と思ってお願いしたところ、二つ返事で「僕が作る」って言ってくれました。

横山さんも制作noteを書いてくれています。

動画のテーマは「インフルエンサーが語る前田高志」。
番組データの使用を許可してくださった宇野さん、PLANETSのみなさま。マエボンへの嬉しすぎるコメントをくださった佐渡島さん。イベントの動画の使用を許可してくださった箕輪さん、スタンダードブックストアの中川さん。皆さんのご理解とご協力があって制作を進めてもらえました。そしてなんと言っても横山さん。最高の動画をありがとうございます。

こちらがその動画。


この動画をかけてオープニング、制作インタビューを行いあとはリッツパーティ、からのクラファンスタート。そして来場者の方にはステッカーとクレジット掲載します特典。

よし、これでイベントは大丈夫だ!!光が見えました。


クラウドファンディングの準備

制作発表会と並行してクラファン同時に準備しました。クラウドファンディングは私個人としても、前田デザイン室としても4回目の挑戦。

まずは価格設計から。前田さんが印刷会社さんとのやりとりでおおよその価格が出たので、この金額を回収できる目標金額を定めます。そしてその金額に到達するリターン案を考えました。めがね税理士の谷口さんに相談しながら打ち合わせしました。

マエボンの教訓として大事にしたのは、なるべくかさばるリターンを避けること。マエボンのときはTシャツやトートバッグリターンがあって、宛名や配送方法を分けることが地味に手間だったんです。というか、私がかなりのうっかり者なので、間違えそうで怖かった。

リターンを考えているときは、ついつい嬉しくなってグッズをあれこれ提案したくなるものです。ただ我々の場合、配送も全部自分たちでやることが前提。配送のプロではありませんから、少しでも手数を減らして負担を減らし間違いなく届けることを大事にしました。確実性の担保は前田デザイン室の信頼にも繋がりますから。



クラファンページはワクワクするページを目指す。

クラファンページの制作は大好きです。夢を語る場所を紡ぐのはワクワクしますから。

作る時に大切にしているのは「お金が必要です」より「これが実現したらこんなにワクワクすることがあります」っていうアイデアをしっかり表現することです。クラファンはただの資金調達ではありません。実現したあとのワクワクにお金を出してもらうんです。だから商品の売りとなる部分を画像と文章で的確に説明することが必要です。

ライティングは石田さんと杉本まゆちゃんが、私が編集し、のちにNASU本の校正チームでも活躍してくれたkekeちゃん、赤松さんが細かな部分をチェックしてくれました。画像は、杉元さんとちゃんが担当してくれました。


プレスリリースもやってみよう

今回、本を売るためにできる手は全て打とうと決めていました。オンラインサロンでプレスリリースを活用した事例を箕輪編集室で見ていたので、前田デザイン室でも取り入れてみました。

プレスリリースのライティングは金藤くん。彼は前田デザイン室に入ってすぐだったはず。にもかかわらずプレスリリース、制作発表会でのスタッフ、制作メンバー、あとこのマガジンのとりまとめも。ものすごい活動力でNASU本プロジェクトを支えてくれました。



みんなの力で準備は整った。さぁついに制作発表会&クラファン開始、プレスリリースも!!と言いたいところですが、すでに5000文字を超えているので、次回へ続く。


NASU本は現在以下の書店でご購入いただけます。


また7月3日はNASU本刊行記念イベントが代官山蔦屋様にて開催決定。前田さんと博報堂クリエイティブディレクター細川さんとの同級生対談です。チケットのお申し込みはこちらから。



写真:木村駿生杉元恵子

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浜田 綾

【NASU本】制作の裏側

オンラインサロンの出版というまったく新しい挑戦をつづける前田デザイン室。『NASU本』はどのようにしてつくられたのか!? 前田デザイン室で制作をすすめてきた、『NASU本 前田高志のデザイン』の制作過程を、クリエイター個々人の目線から、語ります!
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