思い出の瞬間解凍。

最近友人と会話をしている中で、なんでか昔流行ったドラマ「あすなろ白書」の話になったんです。

覚えていますか?
木村拓哉さん、石田ひかりさんなどなど豪華キャストが出演されていて、主題歌は藤井フミヤさんの「TRUE LOVE」。ドラマも主題歌も大流行しました。


その頃の私は多分中一くらい13歳、えっとだからまだ夜逃げ前の平和なころです。ある日親戚の結婚式があって、私もお呼ばれしました。あの当時ですし、しかも田舎の結婚式。典型的なゴージャスアンドエンタメてんこ盛り。親族によるカラオケ大会もあり、新郎新婦の友人の宴会芸あり、主役の新郎新婦はゴンドラで登場する、ってな具合でした。

その中に混じって、私も余興に参加することになっていました。当時吹奏楽部だったし、個人的にもフルートのレッスンを受けていました。だから何か1曲演奏してほしい、とのこと。そこで当時13歳の私がチョイスした曲がなぜか「TRUE LOVE」だったわけです。



普通にラブソングだから、このチョイスは決して間違ってはいないはずなんです。だけどね、この曲を知っている人ならわかると思いますが、盛り上がるバラードというよりは静かなるラブソングですよね。さらに私の場合バックで誰かが一緒に演奏してくれるとか、歌ってくれるわけでもなく、ソロ演奏。
伝わりますでしょうか、このシチュエーションが。今ならわかるけど、どう転んでも盛り上がらないに決まってる!だけど当時13歳の私はそんなこと予測できるはずもなく、演奏に挑みました。

田舎の盛大な結婚式だったから、100人以上は人がいたはずです。
忘れもしない、私の前に新郎の同僚が歌っていたのは、郷ひろみの「エキゾチックジャパン」もう大盛り上がりです。

この状況で私登場。会場は、まだいい感じでざわざわしています。この空気感で私大丈夫なのかな?と不安になりながらも吹き始めます。
今思えば、なんか一言挨拶くらいすればよかったのかもしれません。
「本日はおめでとうございます。新郎のいとこです。つたない演奏ではありますが、お祝いの気持ちを込めて演奏します。」とかね。だけど気が利かない13歳。そういうこともせずに、しれーっと吹きはじめます。

「TRUE LOVE」って出だしから静かです。というかあの曲イントロないしね!「振り返ると〜」の部分からです。もうね、会場がまだ若干うるさいからたぶん聞こえてない人もいたんですよ。ここでまず最初に焦りました。「私タイミング間違ってた?」と。
(うん、間違ってる。挨拶でもすればよかったね。)

だけど、初めてしまったら止めることはできない。show must go onです。吹き続けますが、なんの曲かもアナウンスせずにはじめたから、酔っ払いのおっちゃんが水をさすんですよ。「おっ、これはなんの曲なんだ?あの子は誰だ?」ってね。
ここで13歳の私、吹きながらにして明らかに失敗したことにようやく気づく。「あ、しまった曲名くらい言えばよかった。しかも自己紹介も忘れてしまった。」と。

一人でひっそり演奏する中学生が、いたたまれなくなったのでしょう。みんな水を打ったように静かになり演奏を聞いてくれて、なんの曲か当てようとしてくれます。
ある人が「わかったーTRUE LOVEや!」と声をあげてくれ、ほっとしました。

みんなになんの曲を演奏しているか認知してもらえた辺りで、曲はクライマックス、サビに入ります。
が、この曲サビも地味というか静か。しかも私一人での演奏。つ・ま・り盛り上がらん!
「君だけを傷つけて〜」の部分とかもう、弱々しいんですよ。一人で吹いていると。

ここでまた焦るわけです。
「私、曲のチョイスを間違えたんだろうか?」
(そうだね!盛り上がらないね!)

「わーしまった。なんでこんなに結婚式映えしない曲を選んでしまったんだろう、私のバカバカ!」演奏しながら冷や汗かいていました。
もうどこかへ行ってしまいたかった。貝になってしまいたかった。それくらいの勢いで恥だ〜と思いつつも一応最後まで演奏して、それなりに拍手をいただきなんとか終わりました。

長々と書きましたが、要するに私はすべったわけです。盛大に!
ああ、恥ずかしい。



こんな感じで「あすなろ白書」の単語が起動スイッチとなり、過去の思い出全部がぽろぽろこぼれてきました。

コンテンツってそれ自体を楽しんでいる時がもちろん楽しいのだけど、こうして後になって振り返った時に、その時の心境やそれにまつわる思い出を思い起こさせる力があるからすごい。さながら思い出を冷凍保存しているみたい。
20年以上の時を超え、36歳の私はあの日の記憶が瞬間解凍されて蘇ってしまい、恥の意識に一人で悶絶しましたわよ!
コンテンツパワーおそるべし!



ーーーーーーーーーーーーー
浜田 綾(コトバノ):ライター
ブログ :「はらぺこかぞく」https://harapekokazoku.com/
twitter :https://twitter.com/
FBページ:https://www.facebook.com/harapekokazoku/
#エッセイ
#コラム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?