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On the Townへの道 16

数日空けてのオーケストラピット・リハーサル初日。自分の出来ていない個所をさらって臨んだつもりが、全て裏目に出た。 考え過ぎ。力み過ぎ。頑張り過ぎ。 久しぶりに大きく落ち込み、夜に電話で妻と話をしたが、声も出ず、きっとこれ以上ないくらいの暗さを醸し出していたと思う。

その日は疲れ果ててすぐに眠りについたが、翌日は早朝に起き、特に出来ない場所をもう一度丁寧に分析し、流れを理解し、覚えるまで4時間程繰り返し聴き直す。 おかげでその日のリハーサルではなんとか大きな失敗をせずに最後まで行き着くことが出来た。 そしてその次の日のリハーサルではやっと自分の中で音楽的な感じが芽生えてきた、様に思う。

そして、リハーサル最終日の今日は公開ゲネプロ。大勢の観客の前での演奏だったが自分としては緊張もせずによく出来た。あと少しで完全に楽しめる様になるところまで来たと思う。漸くだ。

今回の自分の音楽や演奏のレベルアップについては非常に嬉しいことばかりであるが、私にとってはそれ以上の収穫があった。 力を抜いて音楽に取り組むこと。力を入れずにパワフルな演奏や情緒豊かな演奏をする感覚。 様々なことに通じるのかもしれない。 この感じは自分の中でしか説明のつかないことだが、とにかく踏ん張らない、力を込めない、自然体で音楽をする。 「極意」かもしれない。

…まだ判らない。 でもきっとそうなんだと思う。



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