マガジンのカバー画像

手箱

39
運営しているクリエイター

記事一覧

死んでも死なない。

死んでも死なない。

これは179回目。何があっても死なない人というのがいます。歴史が、あるいは運命が、どうしてもその人を必要とするそのときまで、なにがなんでも生かし続けようとする意志を持っているかのようです。そんなお話です。

:::

鈴木貫太郎。第42代総理大臣。大日本帝国最後の内閣だ(正確には、この後最後の帝国内閣としては、東久邇宮内閣があるが、形式的なものであり、実質的には鈴木内閣が、帝国に引導を渡したことは

もっとみる
首相の好物

首相の好物

これは118回目。日本という国家の頂点に立つ総理大臣のことです。興味深いのは、歴代首相の好物とされたものです。たいてい、ぜいたくなものではなく、ごくごく日常的な食べ物であることが多いようです。人柄がしのばれそうです。

:::

日本の首相の好物を見ていこう。私などの世代がすぐに思いつくのは、池田勇人首相とライスカレーだ。カレーライスなのか、ライスカレーなのかはともかく、当時はライスカレーと呼んで

もっとみる
民主主義とはなにか~わたしたちにできること。

民主主義とはなにか~わたしたちにできること。

これは113回目。わたしたちがあたかも水か空気のように、あって当たり前と思っている民主主義のことを考えてみました。

:::

かつて、英国首相ウィンストン・チャーチルが、ナチス・ドイツに宣戦布告するときに、こう言ったことがある。

「民主主義は、しょせんろくなものではない。しかし、今あるすべての政治体制の中で、一番マシだというのも事実だ。」

民主主義の決定プロセスというものは、結局「よりベター

もっとみる
アメリカにハトはいない~二大政党政治ってなんだ?

アメリカにハトはいない~二大政党政治ってなんだ?

これは10回目。なんでも世評や、イメージで判断するのはあぶない。事実でなんでも判断しようってお話。

:::

どうして日本には、こうも恒常的な2大政党政治が成立しないのだろうか。英米の2大政党政治というものを、もっと学ばなければならないのか。しかし、アメリカの民主・共和両党も、そうたいした代物ではない。今回は分かったようで、なかなかその違いが分からない、このアメリカの2大政党について書いてみる。

もっとみる
傭兵たちの挽歌

傭兵たちの挽歌

これは109回目。第二次世界大戦が終わって、多くの日本人将兵が故国に復員してきました。しかし、現地に残留し、新たな戦争に身を投じていった人たちも実はいます。中国でもそうでした。とくに、インドネシアの独立戦争で活躍した日本人将兵のことは有名です。ここでは、ベトナムのフランスからの独立戦争に日本人将兵が多くかかわっていたことを書いてみます。

:::

「ディエン・ビエン・フーの陥落」といっても、若い

もっとみる
キレる日本人

キレる日本人

これは、108回目。近年、突然キレる老人が多くなってきたということが、結構話題になってきています。長い人生経験を踏まえて、なおキレているようでは、寂しい限りですが、どうも老人だけではないようです。若年層にまでこのキレる日本人が多くなってきているといいます。これは由々しい事態です。どちらにしても、わたしは言葉の理解力(つまり、合理的思考)の低下が一番大きい理由だと思っています。

:::

言葉とい

もっとみる

日本は本当に日本なのか~稲荷・密教とキリスト教の同源説。

これは90回目。いわゆる「トンデモ説」ですが、このくらい突拍子もない発想や、仮説の展開というものが、学派と定説に固執するアカデミズムには必要なのではないでしょうか。

:::

まだクリスマスは遠いのだが、クリスマスとはご存じの通り、イエス・キリストの誕生を祝う祭である。このキリスト教、日本の歴史や文化からしてみれば、あきらかに「よそもの」という位置づけだが、本当にそうだろうか。日本の古い精神史や

もっとみる
書いて、書いて、書きまくれ! 文章を書きたい欲が湧き出る映画&マンガ作品たち

書いて、書いて、書きまくれ! 文章を書きたい欲が湧き出る映画&マンガ作品たち

そういえば昔、キッズラインの経沢さんと一緒にトークイベントに登壇したとき「モチベーションを上げるにはどうしていますか?」という参加者からの質問に、「モチベーションがないと頑張れないというのは贅沢病では?」とスパっと返されていたことをたまに思い出す。やるんだからやる。モチベーションがないと頑張れないなんてセレブじゃないんだから、と笑い話で終わっていたが、あの言葉を思い出してはどきっとする。私は仕事に

もっとみる
成人になると、大人になると・・・

成人になると、大人になると・・・

これは71回。成人年齢が現行の20歳から18歳に引き下げる改正民法が、2022年4月1日に施行されます。成人の定義が1876(明治9)年の太政官布告で「20歳」と定められて以来、約140年ぶりに変わることになります。成人って何でしょう。そもそも大人って何なんでしょうか。書いているうちに、なんだか怒りにまかせて、ついつい筆が走っているような気がしますが、平にご容赦。

:::

学生の頃、「社会人に

もっとみる
『みろく』の世~ネアンデルタール人も同じ月を見ていたのか?

『みろく』の世~ネアンデルタール人も同じ月を見ていたのか?

これは60回目。むかしむか~し、人類が見ていた夜空や、地球の風景というものは、基本的に今と同じだったのでしょうか。こういう無駄なことをしょっちゅう妄想に耽る自分がいます。みなさんはどうですか?

:::

夜、月を眺めていると、1000年の昔、平安の人々もこれと同じ夜空の風景を愛でていたのかと感慨深くなる。宇宙は、気の遠くなるような時間軸で、しかし確実に変貌している。もちろん、1000年くらいでは

もっとみる
あなたは保守ですか、リベラルですか

あなたは保守ですか、リベラルですか

これは53回目。保守とリベラル。わかったような、わからない区別。一見、前者は時代錯誤、後者は進歩的ととらえられられがちですが。わたしはリベラルが掲げる理念を決して否定はしませんが、どちらかというと疑い深いです。保守に近いかも。あなたはどちら?

:::

保守とリベラル。
この二つの言葉は、いかにも反対語のように扱われているが、実はもともとは全然次元が違うのである。

政治学の世界では、結構定義は

もっとみる
革命政権下のイランで出会った少女たちの話

革命政権下のイランで出会った少女たちの話

前席の隙間から、艶やかな黒髪が垣間見える。飛行機の揺れにその髪も倣い、視界の隅でちらちらと揺れる。
機内アナウンスが着陸準備を告げた。女性たちが一斉に頭にヒジャブを被り始めた。前席の美しい黒髪も、それより黒い布に覆われ見えなくなってしまった。

今からちょうど40年前、世界に衝撃を与えた「イスラム革命」がイランで勃発した。それまで脱イスラム化を進めてきたイランだったが、革命はその方針を180度転換

もっとみる