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『バトルランナー』The Running Man

1982年出版作品。

当時アメリカの出版業界の事情。
風潮というか慣習というか。
「一人の作家は1年に1冊の出版」
多作な作家は別名義で何冊も出版ー
それにならってスティーブン・キングもペンネーム。

長らく公表していなかったのだが
作家の熱烈なファンは 文体やストーリーの中から嗅ぎ取ってしまう。
「スティーブン・キングの薫りがする」

主人公ベンがハンターから逃走経路ー
ニューヨークに始まり
ボストン
マンチェスター
ポートランド(メイン州に入ってきたぞ)
デリーを通過(!!)

デリーはメイン州の実在しない町だ。
スティーブン・キングの作品の世界だけに存在する町。

初めて読んだ当時、
文体。
ストーリーの流れ。
登場人物の描写。
などなどー
スティーブン・キングの気配がして仕方がなかった。

でも別ペンネームだしなあ。
「よほどスティーブン・キングが大好きな人が書いたんだな」

ポートランドに入ったあたりで
「メイン州だよ!スティーブン・キングのメイン州だあ!」
主人公のベンが
無事「スティーブン・キングの世界観」に
巻き込まれることを期待して ワクワク。

デリーが登場するに至っては
「来た!デリーに来た!出た出たあ!」
ペニーワイズの登場を願ってしまう始末。
(さすがに出ません)
ー出版の順番に読んでいたわけでもなく
 こんな妄想を作品に期待してしまったワケで。

映画「バトルランナー」(87’)
当時人気だった番組『ザ・グラディエーターズ』のパロディとなっている。
グラディエーターズの輸入盤や日本版が放送されていたことがあるようだ。

「バトルランナー」
そしてスティーブン・キングの「The Running Man」は
近年定番となるリアリティ番組やサバイバル番組ー
日本でも、人気の「逃走中」「逃亡中」に繋がっている。
感慨深い。

2025年!
もうすぐだと気が付いたら、驚きと共に戦慄する。
作中の世界情勢が、現実とそれほど違って感じられない。
ちょっと笑えない展開だなあ。

初読の当時
作中は当然ながら
解説等でも
スティーブン・キングの「お約束の舞台」について
記載があった覚えがない。
覚えていないだけかも知れない。
「辿り着いたファンに向けてのサービス」
そう思って幸せになっている。

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