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ウィキッド✖️社会構成主義について語る

 劇団四季のウィキッドが大好きで、10年ぶりの東京公演に行ってきました。初めて観たのが2009年の11月だったので、かれこれもう15年前!
 この間、大きく変わった物の見方が「社会構成主義」を知ったことです。
 今日は120%自己満&誰得?ですが、ウィキッドの面白さを社会構成主義の視点で語りたいと思います。(ネタバレあり)


ウィキッドって?

 オズの魔法使いの、悪い魔女のアナザーストーリー。ドロシーに水をかけられて消えちゃうあの魔女にフォーカスしたお話で、日本では劇団四季のミュージカルで観られます。

 劇団四季公式作品紹介では、「緑色の肌と魔法の力を持って生まれ、自由と正義を求めた少女が、なぜ永遠に悪い魔女と呼ばれるようになったのか」との解説が。

社会構成主義って?

 一言で語るには難しいのですが、「私たちの生きる現実(社会)は、言葉(対話)によって構成されている」という考え方です。

 私自身は読書会を通して勉強中なのですが、「ものの捉え方はとても多面的」「言葉ひとつで、ものの見方は変わる」「言葉も関係性によって受け捉え方が変わる」という感じ。詳しくは過去記事やこちらのガーゲンの新作がおすすめです。

ウィキッド✖️社会構成主義の魅力

1️⃣ストーリー自体が社会構成主義的

 ガーゲンの「関係からはじまる」の中でも、善の反対は悪ではなく、それぞれの善対善であることが描かれてますが、ウィキッドはまさに「悪い魔女」の裏側ストーリー。
 オズの魔法使いとは、まったく違うストーリーが展開されます。

 劇中「物事を違う角度から見ているってことさ」「悪いやつでも善人でも 一皮むけば同じこと」というど真ん中なセリフもあり、まさに人の数だけものの見方があるし、まさに「変幻自在的存在」であることがわかります。

 そして、登場人物の関係性の変化と言葉についてもとても面白い!
 今回10年以上ぶり観たら最初「あれ?なんでフィエロとエルファバ恋に落ちた?」って一瞬なったんですが、
・エルファバにとっては、遠巻きに笑われたり嫌厭されたりしてた中で、偏見なくストレートに話してくれた人だった(そういう意味ではグリンダもそう)
・フィエロにとっても、ストレートに自分にくってかかる人は初めてだし、取り繕った笑顔を見破られる発言をしてくれた人だった
 お互いが伝える言葉で、意識して、関係性ができていく過程が改めて面白いなあと思いました。

2️⃣演者さんの解釈が加わる

 ミュージカルや舞台の面白さは、同じ役を複数の演者さんがやることかなあ〜と思うのですが、ウィキッドは演じる方によって解釈、そして表現方法が微妙に変わってくるのがとても面白い!

 よくブログ等では、◯◯さんは、陽のエルファバor陰のエルファバだったという表現を見かけたりしますが、同じセリフのはずなのに全然違う印象を受けたりするんですよね。

 特に10年ぶりの今期は、SNSの感想をみてると、「今回初めてグリンダの気持ちがわかった…!」という意見をちらほら見るのですが、例えばグリンダ演じる真瀬さんと中山さんで、微妙に異なります。
 個人的には中山さんのコメディ色強めが好きでしたが、真瀬さんの悲壮感たっぷり目の演じ方が、グリンダ寄りに感化させるものがあるのはわかる気がしました。

3️⃣見た人で感じ方がまったく異なる

 さらに同じ演者さんで同じミュージカルを観ていても、受け取るメッセージや感じ方が人によってまったく異なるのも、社会構成主義らしいなあ〜と思います。例えば…

  • グリンダ:本当に愛した人からは愛されずにかわいそう!←→人気が一番♪っていう願い叶えられてるし良くない?むしろ要所要所でイラつく〜

  • エルファバ:悲惨な人生の中でようやく結ばれた人ともひっそり生きないといけなくてかわいそう!←→なんやかんや愛する人と結ばれてるから良くない?

  • ネッサ:勘違いして捨てられてかわいそう!←→執着心・依存心怖すぎる…

  • ボック:思いをしまい込んで縛り付けられてかわいそう!←→ネッサに対してめちゃめちゃひどい人じゃない?

  • オズ陛下:見知らぬ土地で1人きりでこの人も大変だったよね…←→いやただの胡散臭い詐欺師じゃん…

 などなど。今期は特にSNS、ブログ、YouTubeなどで多くの方が感想を発信してらっしゃって、その多様な意見を読めるのも、より味わい深いポイントです。
 「あ、このシーン、そういう解釈もできるんだ!」とか「私はそうは感じないけど、そう受け取る人もいるんだなあ〜」とかとか。

 ちなみに、ウィキッド観劇レポが毎回濃厚でこっそり推してるyoutubeはこちら。CDに入ってない劇中歌とかもめちゃありがたい…!

やっぱりウィキッドが大好き

 こうも何重にも「いろんなものの見方がある」を感じさせてくれるウィキッドが、本当にすごい!観るたびに発見があります。
 もちろん、ストーリーに加え、歌、衣装、舞台装置など、世界観全体も大好きです。

 今回の東京公演は3ヶ月とあまりにも短すぎる…😭次は1月に私のせいでウィキッドのCDを聴き込みまくってしまった娘と一緒に行くのがラストです。
 子どもの視点で見て何を感じ取るのか?も楽しみにしています。


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