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その3−1 願書が仮説、面接と考査が検証


ご家庭の思いをお伝えする難しさ

 まず最も大切なこととして、先生方にご理解いただきたいことを思い返して下さい。前章までの取り組みとして、学園全体のお考えを時系列かつ体系的に理解した上で、

  • お子様の将来までも見据え、学園全体のお考えと同じ方向を目指しており

  • 日々の遊び日記からお子様の成長や変化を観察し、ご入園後お子様方の笑顔を確証している

ということです。

 一方受け手である、先生方のお立場を考えてみてください。規則性がなく、予測が難しいお子様たちの遊びと向き合い、そこからお子様の変化や成長を敏感に感じ取り、その結果を保育士目線で臨場感をもって保護者のお伝えする、こういったことに日々ご尽力されています。いわば定型的な説明や堅苦しい会話とは違った世界で活躍されているのです。 

 また、幼稚園受験において、ご家庭と幼稚園の「相思相愛な関係」をお伝えするオフィシャルな手段は、「願書」、「面接」、「考査」の3つしかありません。また、「相思相愛な関係」をお伝えするには、前章でお伝えした通り、願書の文字数や面接時間の制約問題があるのです。
 つまり、「願書」、「面接」、「考査」それぞれの特徴を活かし、少しずつ角度を変えながら、目的を持って表現する必要があるのです。その上で、それぞれの特徴を見ていきましょう。

  • 願書
     先生方へのファーストコンタクトです。ご両親、お子様の表情や雰囲気は分からず、幼稚園が提示した志望理由やお子様の気質など共通した質問に、全てのご家庭が限られた文字数で回答します。

  • 面接
     先生方は事前に願書の記載内容を(概ね)把握されています。先生方とご家族、お子様との初めての対面で、お顔を突き合わせて先生方が気にされている点を限られた時間で対話します。

  • 考査
     主役はお子様です。お子様の生活のほとんどは遊びであり、考査の場は環境が整備されてはいますが、普段の遊びの場の延長です。先生方は子供の遊びを観察し成長へと繋げるプロフェッショナルです。

「願書」でご家族の思いを想像していただく

  幼稚園へのファーストコンタクトである「願書」ですが、書ける内容は、志望理由や教育方針、お子様の性質など限られています。また、先生方は、同じ様な内容の断片的な作文を、それも膨大な量を読む必要があり、半ば辟易しているのではないでしょうか。ですから、「願書」では、指定の記載範囲内で、極力読み易くかつご家族の日常が想像できる文章にすることが必要です。
 そのために「願書」では、簡潔なストーリー(要旨)逸話を交えて記載してください。先生方に今後の対面の場である面接や考査のコミュニケーションを想像して頂くことに繋げるのです。

 下図をご覧ください。前章までに整理したご家庭の思いと願書、面接、考査の関係図です。
 簡潔なストーリーとは、ご入園前の教育方針などから将来像への展開に加えて、この様に考えるに至ったご両親の生い立ちやご兄弟の成長相思相愛と判断した根拠を補完し、それぞれの関係性を整理、簡略化した、いわばお子様の自叙伝です。具体な手法は次章でご説明しますが、これを願書に落とし込むことで、どの時期を切り出しても根拠があり一貫しているストーリーになります。また遊び日記などから切り出した逸話を交えることで、ご家族の日常も想像していただけるのです

 幼稚園によっては、例えば暁星幼稚園のように、志望理由などの記載を一切求めない場合もありますが、ファーストコンタクトの流儀として、簡潔なストーリーは必要です。事前の準備は忘れないでください。

「面接」でご家族の思いを実感していただく

 「願書」で幼稚園とご家族のお考えの共通性やお子様の良さを想像頂いても、それはとりとめの無い空想でしかなく、評価ではありません。初めての対面の機会の機会である「面接」で、先生方の空想を確信に変えていただくのです。
 
 では、何をお伝えすれば良いのでしょうか。
 
 答えはご想像通り、これまでにご夫婦で議論されてきたご家庭独自のお考えそのもの、上図の中段部分です。先生方は既に「願書」でストーリーを把握されており、お知りになりたいことはより具体な内容です。ご家族にとっても、これはご家族独自の思いそのものであり、先生方とお顔を突き合わせた場でお伝えしたいことでしょう。こちらも具体な対話内容の準備の仕方は次章でご説明します。
 また今後長いお付き合いが続く先生方との貴重な対話の機会です。時間は限られますが、気になることがあれば、対話の文脈の中からお聞きになってください。相思相愛と確信出来ているのです、ご両親が気になさることは、先生方にとってもご入園前に聞きたかった事に他なりません。

「考査」でお子様の笑顔を見ていただく

 最後に「考査」関して、これは幼稚園により実技や課題の達成度を求めることもありますが、お子様のみが主体となる場合、出来た出来ないはその日の体調やご機嫌によって変わってきます。
 それよりも「願書」でお伝えした様な、お子様が好きな遊びを楽しんでいるところを見て頂きましょう。先生方はご両親が気が付かなかったお子様の良さを見出してくださり、お子様も新たな楽しみを発見するかもしれません。これについても次章以降で詳しくご説明いたします。

 ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
次章では、より実践的な方法論をとして、願書でご家庭の思いをお伝えする方法をご説明致します。

 「親子で楽しむ お受験準備」全体にご興味を持っていただけましたら、
目次
をご参照ください。

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