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【映画】未来につづく、幸せに暮らすためのライフスタイルを探す旅の映画「Tomorrow パーマネントライフを探して」のススメ

タランティーノ映画イングロリアス・バスターズに出演したこともあるフランスのセレブ女優メラニー・ロランが、妊娠中に飛び込んで来たニュースから全ては始まります。

2012年6月、米国スタンフォード大学とカリフォルニア大学の21人の科学者たちが学際的論文を発表。世界に衝撃を与えた。"もし私たちの生活習慣を変えなければ、2040年から2100年という近い将来に地球エコシステムが壊滅するだろう。その要因は生物多様性の危機の加速、異常気象の発生件数の増大、エネルギー依存など多岐にわたる。

そんな事は分かってる!だからオーガニックに関心あるって方が多いかもしれません。この映画の存在意義の一つは、全くパーマカルチャーライフを知らなかった人でさえ、興味を持ち一歩踏み出してしまうような背中を押すパワーがあるということです。更にもう一つは、食の問題やグリーンエネルギーの取組みに留まらず、複雑に絡み合う経済の問題や民主主義のあり方、そして教育にまで至っています。オーガニックに関心が強い方でも、きっと今まで触れてなかったけれど、実はとても大切なことを本作から発見こと間違い無しの示唆に富んだ映画なのです!!!

メラニー・ロランが仲間たちと、未来のために解決策を求めて世界を巡る旅に是非同行しましょう!

(1)まずは新しい食のあり方から 《AGRICULTURE》

⚫︎アメリカのデトロイトの場合

大半の住民が自動車産業に従事する単一工業都市だったデトロイトは、1960年以降、工場閉鎖に伴い従業員は失業。人口は200万から70万に減少しました。新鮮な食品が手に入らなくなり、残った貧しい住民たちは、自給自足を始めました。デトロイトは近郊農業における世界の実験室となります。この密集地帯には約1600のアーバンファームがあり、2400ヘクタールもの未開墾地があります。デトロイトの例はアメリカ国内と世界の数十の都市にも影響を与えているのです。

⚫︎イギリスのトッドデーモンの場合

マンチェスター近郊にある人口1万 4000人のトッドデーモンは、世界的なインクレディブル・エディブル(みんなの菜園)運動の生まれた土地です。町の真ん中で花壇や公共の土地に作物を植え、共有することで、収穫物だけでなく人々の対話も生まれたそうです。何百種類もの果物の木、豊富な種類の大量の野菜を植え、園芸農業の訓練センターを設立し、農民たちの移住を受け入れました。このやり方は数十ヵ国と数百の町にも広がっています。現在では82%が地元の食材を購入。2018年までに100%を自給自足するという目標は達成に近づいているのです。

●フランスのル・ベック・エルアン農場の場合

フランスのパーマカルチャーで最も成功した農場が紹介されています。自然のままをモデルとし、人間が介在するのは、生産性の向上と資源のエコシステム構築のためだけです。何も加えず、石油も、除草剤も、機械も動力も使用しない。収穫は量も質も充実しており、更には腐植土をつくり、植物多様性を守り、CO2の削減にも寄与している。フランス国立農業研究センターと生態環境科学・産業大学の共同研究チームの検証によると、畝1kmあたりに対する年間作業時間は、畑1600時間、全体で2400時間となり、5万4000ユーロを生み出しているそうです。で最も成功した農場が紹介されています。自然のままをモデルとし、人間が介在するのは、生産性の向上と資源のエコシステム構築のためだけです。何も加えず、石油も、除草剤も、機械も動力も使用しない。収穫は量も質も充実しており、更には腐植土をつくり、植物多様性を守り、CO2の削減にも寄与している。フランス国立農業研究センターと生態環境科学・産業大学の共同研究チームの検証によると、畝1kmあたりに対する年間作業時間は、畑で1600時間、全体で2400時間となり、5万4000ユーロを生み出しているそうです。

この多様性に満ちたル・ベック・エルアン農場を観れば、誰もがきっと魅了されます。動力を使わなくても、例えば葡萄の下に影を好むバジルを植え、バジルの強烈なにおいが虫を寄せ付けなくするなど、素人でも非常に分かりやすく非常に魅力的です。

(2)石油がなくても?《ENERGY》

石油が枯渇することは明白で、石油がなくても暮らしていけるよう様々な取組が成功しつつあることも非常に興味深いのです。

●デンマークのコペンハーゲンの場合

2012年、二酸化炭素の中和化構想を実現させるため、100基の風力発電機建設、家庭ゴミのバイオガスへの変換プラスチック素材のリサイクル、地熱エネルギーの開発20ヘクタール(サッカー場40個分)のソーラーパネルを設置しました。大手企業は石炭からバイオマス工場へ方向転換農家の藁や廃材を利用して、130万世帯の電力を生み出す2025年までに二酸化炭素の排出をゼロにする目標を掲げており、市民の50%が自転車で移動し、緑のある空間から300メートル以内で生活する都市型の生活計画を構築したのです。

●アイスランドのレイキャビクの場合

エネルギー政策先進国として世界から注目を浴びています。1970年代の石油危機が脱化石燃料に舵を切らせたのです。レイキャビク市は水力発電、地熱エネルギーなど、再生可能エネルギーで利益を得ています。火力・原子力発電は一切ないのです。

●フランスのレユニオン島の場合

レユニオン島は島内で使用されるエネルギーの35%が再生可能エネルギーによってまかなわれ、2025年~2030年に100%を目指しています。住居、食料、エネルギーの島への供給問題を解決するため、アクオ・エナジー社はアグリソーラーを開発しました。温室の屋根を使って太陽光を発電、電気を供給するのです。ソーラーパネルの屋根と引き換えに、温室を無料で農民に提供しています。また、刑務所の温室にも適用をし、収容者はソーラー技術も学ぶことが出来るのです。

●アメリカのサンフランシスコの場合

ゴミ・ゼロの象徴的都市。2020年までにすべてのゴミをリサイクル活用させる、「ゼロ・ウェイスト」プロジェクトを推進しています。活動は数年内に市の全域に達する予定で、いまやゴミの80%が再利用され、堆肥や再生品として活用されています。さらに、税金の優待制度も設定されています。「ムダ遣いゼロ」運動にも挑戦を始めており、スーパーのレジ袋の禁止ポリ袋による包装の禁止公共の場所でのプラスチック・カップの禁止を導入。市の条例とするべく、活動を推進しています。


(3)消費を増やしながら、同時に減らすことはできない《ECONOMY》

食糧や環境問題を考えてエネルギー問題へ到達することは往々にしてあります。でも、それだけでは解決出来ない事実に突き当たり、経済の問題にも向き合っていかなければならないのです。

●フランスのリール/ポシェコ社の場合

封筒づくりを専門に行うポシェコ社は、「環境配慮型の生産体制のほうがより経済的である」という信念のもとに、20年間会社を運営してきた。その結果、フルタイムの雇用を生み、労働時間も短縮、緑の拡大のリーダーとなった。工場は、環境保護を理想的に行っています。リサイクルが徹底され、ゴミは資源として再利用されています。緑で覆われた屋根は生物多様性に貢献し、しかも工場に断熱効果をもらたしてくれます。ソーラー・パネルで自家発電。雨水を貯蔵して再利用し、水もムダにすることなく自給し、蜂を飼い、果樹園も備えています。年間1万500トンの紙を消費する一方で、年間11万本の樹を植えています。

●イギリスのトットネスの事例

石油への依存と気候変動という難題を、どうしたら同時に回避できるのでしょう?この疑問に答えるべく、2006年ロブ・ホブキンスがトットネスで始めたのがトランジション運動です。目標は、2050年までに石油への依存を減らすことです。まず、街中の庭や畑を共有することから始め、土地所有者に対して、土地を持っていない人たちに貸し出すよう奨励しました。運動は町独自の地域通貨であるトトネス・ポンドの創設という経済分野にまで広がったのです。活動はエネルギーや交通といった分野にも広がり、世界で1200人におよびリーダーが育っています。

●イギリスのブリストルの地域通貨の事例

発展を遂げた地域通貨の成功事例です。ブリストル・ポンドはしないに600軒ある店やレストランで使えまる。コミュニティを支えるために地域通貨が役に立ち、地元企業の振興にも寄与しています。食品も建材も地元で手に入れられるものは多く、輸送時間の短縮で二酸化炭素の排出も減らせる地産地消のグリーン・エコノミーなのです!

(4)私たちが持っている力《DEMOCRACY》

食糧、環境、そして経済の問題を巡って来ると、どうやら大企業の利益の為に政治と蜜月になり、民主主義を失ってしまっているのではないか、ということが浮き彫りになってきます。「疲弊した民主主義症候群」を覆すにはどうすれば良いのでしょう。

●アイスランドのレイキャビクの場合

2008年の金融危機によって、政府は退陣に追い込まれ、市民は銀行を救済しませんでした。2010年、政治家、銀行家、大企業を監視する組織が生まれ、無作為に選ばれた市民1000人が政策提言し、新憲法を作成する25名の市民を選出。市民による市民のための憲法を作成し、国民の67%が賛成したものの、保守党が拒んで実現出来なかったそうです。

●インドのカザンバッカムの場合

革命的な民主主義の村として有名となりました。2006年、村長になったエランゴ・ランガスワミーは村の集会「グラムサバ」を開きました。すべての家庭の人たちが平等に代表として選出され、市議会と同様の方式で問題について議論するのです。村民たちが決めたことに基づいて、村長が実行計画を立てて村民たちに提示、集会において承認という手続きを踏みます。承認が得られた後、村民たちが計画を実行に移すことを村長は要請します。5年間で、廃棄物の削減、下水道と衛生施設の建設、学校の修築と子どもの就学の奨励、ソーラーパネルを各所に設置するなど多数を達成しました。

また、カースト最下層民が住むスラム街の再開発にも着手し、別の階層民を隣通しに住まわせました。結果お互い層が違っても、何も変わらず接することが出来、お互い助け合って暮らすようになって治安も向上したというのです。


(5)人として必要なものは?《EDUCATION》

そして、民主主義の問題でも、子どもの教育の奨励が具体的な施策として挙がっていましたが、行きつく先は教育です。

●フィンランドのヘルシンキの場合

フィンランドは教育システムの改革に取り組んで40年も経っています。2000年には、PISA(国際学習到達速度調査)で最も優秀な成績を収めたことで、フィンランド教育が注目されるようになりました。根底の哲学は、子どもたちに将来に備えて学び方を教えることです。教え方はひとつではなく、いくつもあり、生徒によって違う。そのため、教員の養成を大切にしています。教員は5年間で修士号を取り、訓練用の学校で何度も教育実習を行います。また、小学校には全国的な共通テストはなく、高校の卒業時に行われる共通テストが存在するだけなのです。自ら考えて、アクションを起こしていく人を育てるためには、教育の考え方は非常に重要だと痛感します。

と、問題が如何に複雑に絡み合っていること。更に世界中で、様々な取組とそして成功している事例を見せられると、居ても立っても居られなくなってきます。先ずは、一歩踏み出したくなる、こんな楽しい映画が今までにあったでしょうか??是非、多くの方にご覧頂きたい作品です。


映画『TOMORROW パーマネントライフを探して』

12月23日(金・祝)より 渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

©MOVEMOVIE - FRANCE 2 CINÉMA - MELY PRODUCTIONS

第41回 セザール賞ベストドキュメンタリー賞受賞

監督:シリル・ディオン、メラニー・ロラン『イングロリアス・バスターズ』『オーケストラ!』

出演:シリル・ディオン、メラニー・ロラン、ロブ・ホプキンス、ヴァンダナ・シヴァ、ヤン・ゲールほか

2015年/フランス/120分/シネスコ/カラー/原題:DEMAIN /日本語字幕:丸山垂穂/

協力:ユニフランス・フィルムズ/配給:セテラ・インターナショナル/

公式サイト

www.cetera.co.jp/ tomorrow

ルミコハーモニー (アーティスト/NPO法人ザ・グローバル・ファミリーズ副理事長)


フィンランド人の夫と3児の幼児の家族で様々な活動を行っています。

ルミコハーモニー http://lumicoharmony.weebly.com/works.html

The Global Families http://www.theglobalfamilies.com/japanese.html

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