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#テレビドラマ感想文 春になったら 2話 優しい冬の海

え、もう終わり?
ぐらいに没入させてくれるドラマ

映画のような海のシーン

父娘だけしかいない砂浜
白い波と海の翠、
冬の弱い日差しが混じり合う
暖かく優しい映像

家族の原点をノリ父が語り、
カズマルへの思いを瞳が語る
わかりあっているけど、相手に核心は話させないシーン
ノリ父の「写真撮ろう!」で涙腺決壊

匠なシナリオ構築の技

伊豆のシーンをめがけて2話の脚本が構成されているのがよくわかる

冒頭、瞳とカズマルが偶然隣合う、一年前のシーンを短く入れ、
ノリ父とカズマルの顔合わせ
出会いプロポーズ経緯が丁寧に描かれる
どうなる?と疑問を持たせるのではなく、
視聴者に追体験させるような、精緻に積み上げられた、匠な脚本でとにかく観やすい

さらに小ネタ!
八王子の神童だったカズマルの本名は「一番人気の馬」で一馬
どんな両親が出てくるのか?今から楽しみ

主演の奈緒さん

池脇千鶴の若い頃に似ているが
大竹しのぶ、蒼井優系譜で、
ツッコミ体質な息の長い役者さんになりそうだ

初見は朝ドラ「半分、青い」のはずだが、脚本が全くあわず、
早々に脱落したのでほとんど記憶にない
下北ダイハードやらあな番やらで観てるはずだが、こちらもあまり記憶に残っていない
小柄で地味目だが、笑うとかわいい女優さんぐらいの感じ

注目したのはNHKの「雪国」
アート寄りで原作ままにドラマ化した作品で、陰のある芸者駒子役
ほぼ笑顔を見せず、淡々と語り、
三味線を弾き小唄まで歌ってみせ
時間をかけ、本格的に役作りした健気さが役の駒子とオーバーラップする

圧巻だったのは「ファーストペンギン」
漁業経営するシングルマザー役者だが、
涙を流しながら、マシンガンのようなキメ台詞を叩きつける
ゆるふわな女優じゃない
感情剥き出しで演じる姿は最近見かけない役者バカ!


ボケかツッコミかと言えば、
明らかにツッコミな役が似合う
コンプラ重視時代に暴言的なセリフは
普通なら炎上してしまうだろうが、
奈緒さんの演技には、炎上を越える
驚きと共感を産む迫力がある

本作も緩和ケアな生死が題材で
ギリギリの表現で仕上げている感がある「治療して欲しい」をコメディに転換する演技の力量は相当だ

瞳は写真が趣味だが、奈緒さんも同じらしい
ひょっとすると、本作の制作の早い時期にプロット作りから参加し、
自然な演技ができるよう、制作サイドが合わせたのかもしれない
作り手と演じ手の信頼関係すら感じるほど、
良い仕上がりのドラマだ


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