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近いうちに必ずやってくる観光地の弊害について考察2

関東でも指折りの観光地、鎌倉へ行ってきました。というのも娘(14歳、中2)の「SEKAI NO OWARIの聖地へ行くんじゃ!」の号令の基、折角関東へ足を伸ばすのだから、鎌倉へ寄って、横浜へ向かえばいいんじゃないの?という強行プランを提案。嫁殿の了解も得て、午前5時出発、名古屋ー小田原ー鎌倉ー横浜ー名古屋という奇跡の日帰りプランを実行したのであった。(多くの移動は新幹線)

小田原ー鎌倉までの江ノ電の旅に見た観光地

小田原に9時頃着、名古屋から始発のこだまに乗ったこともあり思ったよりも早く着いた印象だ。小田原から乗り換えてJRで藤沢まで。車窓から夏の海が見えたり途中トンネルに入ったり、普段は新横浜までぴょんと行ってしまうので新鮮ではあった。因みに小田原は降りたことがない。熱海ならあるが…。

藤沢まで着くとさすがに湘南、観光地の様相を見せてくれた。そのまま江ノ電にのり、一路鎌倉まで。と、小田原から鎌倉まで移動として考えていたため観光は鎌倉に着いてから考えることにした。が、北鎌倉あたりから中国人の団体客だろうか、車内には北京語が飛び交っていた。

鎌倉までついてすぐに、タイから来られた女性二人組に声をかけられた。なんでも長谷寺へ行きたいらしく、地図を見てもわからない、電車はどこで降りたらいいかと尋ねられる。私達も遠くからきた観光客、長谷寺は今回のプランに入ってないし、江ノ電の駅員さんを捕まえて説明を任せた。無事にたどり着けただろうか?遠巻きに様子を伺っていたが、無事に江ノ電へ乗って行かれた。多分たどり着いただろう。しかし江ノ電の駅員さん、説明が上手だったな。観光客がインターナショナルだと慣れたもんだと感心した。

鎌倉駅から一路銭洗弁財天(正式には銭洗弁財天宇賀福神社)へ。Google Maps様様である。途中住宅街かここは?という場所も通ったが、無事に着けた。ネット社会に感謝である。多分だが、観光マップではたどり着けないだろう。それだけ奥まった場所にあるし、日本人なら住宅街を抜けるのに気が引ける。鎌倉駅から30分歩いてたどりつく場所である。
真夏なので汗だく。こんなことならタクシー捕まえればよかったと少しだけ後悔した。

銭洗弁財天から歩いて鎌倉駅まで。途中、隠れ家的なカフェを何件か発見するが時間が早いのかまだ営業前であった。午前11時からの営業開始の店が多く、名古屋のカフェ文化から考えられないのんびりさであった。地域性だろうか?

鎌倉駅まで着くと、さすがに汗だくだったのが気に入らなかったのか、嫁殿がブティックへ…。なんでも名古屋では売ってないような尖った帽子を見つけたとかで吸い込まれてしまった。「観光地まで来て…」と思うのだが、たしかに名古屋、中部地方では見ないデザインの帽子。さすがセレブの街だ(笑)。
しかし入ったブティックの店主がユニークな方で、話もはずみ、楽しい買い物となった。観光地の一見さんなのに神のような接客。店内を見回すと地元の人だろうか、数人のお客さんがいた。店主も忙しそうに話をしたり、説明したり。こんな店だとまた来たくなってしまう。そのくらい丁寧に接客して頂いたのだ。

と、ふと思うのだが、鎌倉の土地柄なのか、よそから来る人にとても優しい。駅の駅員さん、銭洗弁財天の巫女さん、ブティックの店主、すべての人が昨日も来てたよね!と錯覚させてくれるようなフレンドリーな対応なのだ。
「また来よう、次は違う店へ」と何度でも来たくなる観光地はやはり人が素敵。鎌倉のブティックにまた行きたいんだよな~とは帰宅した嫁殿の言葉。お土産で購入したコーヒーラスクは絶品、鳩サブレーの会社のラスクだった。
人たらしではないが観光地とはかくあるべきを見た気がする(後でまとめる)。

鎌倉ー横浜・都会とは田舎とは

鎌倉から一路、横浜へ。大船辺りで昼食でもと思ったのだが、電車旅が快適だったため、横浜まで来てしまった。横浜から地下鉄に乗り換え、みなとみらいへ。SEKAI NO OWARIの聖地とやらに。
ここでも人、ひと、ヒトであるさすが横浜。歴史的な建物、路地、所々に感じさせる異国情緒が横浜というマチが面白い。みなとみらいというマチが未来を本当に見せてくれているようだった。20時ごろまで滞在したのだが、夜景も香港の夜景に引けを取らないほどの美しさである。娘がいなければどこか夜景のきれいなホテルを取っていたところだ。
みなとみらいにも人は住んでいるのだろうか?一見ホテルとカフェと公園がある街。都会らしくうまくまとまっている印象を受けた。

鎌倉も横浜も岐阜や犬山から比べるととても都会的だ。ただ、人が温かい。都会を行き交う人は冷たい様な勝手なイメージがあったが、どこのお店に入ってもとてもあたたかいのだ。勝手な妄想だが、土地柄は十分にあるのだと。妬むことよりもハッピーに生きたいのだろうと。

観光地は車優先で道が作られている?

鎌倉を歩いて気付いたのだが、車通りが大変多い。交通量が半端ないのである。それも他府県ナンバーで、山梨、静岡あたりをよく見かけた。交通マナーもお世辞にも良いとは言えず、路上駐車は当たり前だったし、割り込みこそないが、イライラしてクラクションを鳴らしているドライバーさんもいた。交通事情は名古屋はひどいみたいなことをよく言われるが、鎌倉に訪れる観光客も十分ひどいではないか。なんて感じたのだ。そして、鎌倉駅周辺にはコインパーキングが点在しているのだからそこへ止めればいいのに、観光地近くまで車を乗り付けていくのである。

日本の交通事情は総じて道が狭い。これは江戸時代から行き交う人が徒歩の場合が多かったことからだと思う。せいぜい馬車か牛車が道を行き交いしていただろう日本の街道はそこまで道幅が広くなくても良かったのだろう。鎌倉だけでなく地方の町中の路地は車では行き来できないような路地もまだあるのだ。
その情緒がいかにも日本らしいといえば日本らしい。筆者の友人で、日本のうら路地の写真ばかり撮っている奴がいる。曰く「路地裏こそ日本の面白さが詰まっているのだ」と熱く語る。このへんは個人の感覚の世界なのでさっぱりわからない。筆者は夜景がきれいな都会的な日本も好きだし、空の広い日本の田舎風景も大好きなのだ。
鎌倉は住宅街の中に古い町並みがあるため高層ビルも少なく空も広く好きだ。路地裏にもどこかストーリーがありそうな場所ばかりだし、山があって海がすぐという立地がとても羨ましく思う。あと東京からそこそこ近い点も住むなら不便がないだろう。そして程よく田舎なので、どこか犬山によく似ている印象を受けた。古いと言っても鎌倉時代の建物はお寺か神社だけだろうから、「作られた古臭さ」を自慢する某街と比べると気取らない観光地なのかなと印象を受ける。これは海外から入ってくるカルチャーの量に比例して、海外からの観光客の期待値にもよるのだと痛感する。つまり、町中の町角の隅っこを日本らしいと撮影されても大丈夫な寛容さが鎌倉にはあるのだ。
これは横浜にも同じことが言えて、カルチャーという人の根源や信念をひっくり返すようなショックを受け続けてここまで大きくなったマチが横浜で、すべてをヨシとして飲み込み続けた結果が今のみなとみらいなんだと思うのだ。

では横浜も鎌倉もブームなのか?

やっと本題というか、やっと書きたいことの本題に来た。最近、鎌倉や横浜といった観光地は人影がまばらになってきた気がするという、在住のコラムニストから話を聞いた。今回の鎌倉ー横浜の旅は筆者自身が気になったことをあるいて、みて来ないといただけない性分なので、日帰りだが行ってきたのである。
率直に感想だけ述べると、鎌倉も横浜も人で溢れかえっていた印象を受ける。鎌倉駅から銭洗弁財天まで徒歩で30分は掛かった、炎天下の中徒歩である。みなとみらい駅から赤レンガまでもそのくらいの時間を歩いた。それでも大勢の人が参拝に訪れていたり、赤レンガを目指していることから、高い人気を誇っているのだ。
こうして書いてまとめていると、観光地とは何なのかと考えてしまう。嫁殿が帰宅後に「こんなに素敵なお店が鎌倉や横浜にあるのなら、また行きたいなぁ~」と。このひとことこそ、観光地の観光なんだ。
「また行きたい、通いたい、また食べたい」と思わせて、帰宅してからも思い出話がそこに向かう。観光地の有名な観光場所はその街のシンボリックな場所であり、本当の意味での観光体験はその街の人となりや暖かさに触れることなのだと思う。
つまりは人気の観光地とは、どれだけ寛容にカルチャーを吸収して変化を楽しみ、それを他の人達、つまりは訪れる人と共有できるかが、街そのものを豊かにするのだと、今回鎌倉、横浜を訪れて思うところなのだ。
決してブームではなく、また本物を体験できると喧伝するわけでもなく、住んでいる人が過去からあった資産を上手に利用して、外のカルチャーを有効に活用して変容を楽しみながら共通の価値観を醸し出していく事が、観光立国として成功する秘訣に思える。
その心意気は今からではなく、過去から、そして未来へとどう続けるのかを常に考えてきたプレイヤーがもたらした結果でもあるのだ。

近いうちに訪れる観光地の弊害とは

日本にある全ての観光地が訪れるというかすでに訪れている弊害は、交通渋滞、外国人というより訪れる人のマナー、景観の保護の難しさだ。先日の鎌倉ー横浜観光で思ったのだが、マチを管轄する市町村の体温とそのマチに住む人の体温が少しだけズレている。
市町村としてマチを盛り上げて観光客をたくさん呼んで~と皮算用を弾きたいのだが、財源も整備する人の手配も誰か任せ、ひどい場合は上から目線でNPOや市民活動団体を「使ってやる」という態度も見受けられる。
一方マチの人は経済的な潤いよりも平穏を求める声も多く、平日はまだしも休日になると家から車で出かけるのも困難になっているところもあり、観光客が迷惑だとすら思う人も中にはいる。
また、その中で活動する経営者、市民団体にも温度差ははっきりしていて、一方では「古き良き日本を意地でも変えずに守り続ける」人もいれば「変化変容を柔軟に楽しむ」人もいる。どちらも正解ではあるが、気まぐれな観光客を迎え入れてもう一度来てもらうには理由が乏しい。
これから先の観光は、シンボリックな建物、祭りを含む行事、街の歴史を知る資料館はその街の魅力の付属品なのではないか?嫁殿の言葉には続きがあって「鎌倉のあの店にもう一度行きたい、そんでもって今度は鶴岡八幡宮へ参拝行って、江ノ島も行ってみたい」と、つまりは有名観光地は逃げない、最近の観光はそこが重要な目的の観光ではないのである。この声が聞こえないところは軒並み飽きられてしまうのだろう。

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