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ハーパーBOOKSのお仕事用語が独特すぎる件

この夏ハーパーBOOKS編集部にやってきて2か月が経ちました、編集Sです。
わたしはいわゆる純ドメ(日本で生まれ、日本語しか使わずに育ち、日本的企業でしか働いたことのない人)というやつでして、このたび外資系出版社に入社するにあたり、英語環境の不安から暴飲暴食を繰り返し、2kg増の体重とともに初日を迎えることとなりました。

だって、外資系会社員って、スタバのカップ片手に優雅に出勤、メールやミーティングはジョークをまじえてHAHAHA…なんつって流暢な英語でやりとりをしてると見せかけて、じつは純ドメをディスってるんでしょ……。
と脳内で勝手な妄想を広げていましたが、社内会議はちゃんと日本語でわかりやすいし、
編集部内のスタッフはふつうにペットボトルのお茶飲んでるし、コンビニごはんだって食べるし、やさしくて、個性豊かで、頭の回転がよい、志の高い人たちばかり。
そう、どちらかといえば、今までの環境と近いかもしれない。

緊張の初日を終え、ほっとしたのもつかの間、翌日から容赦なく入れられるミーティングに出席するようになると、聞き覚えのないワードがばんばん飛び交っておりました……。
外資系は横文字カタカナ用語が頻発するらしいけど、
このスキームでコンセンサスとるためのエビデンスは――
とかぐらい、ある程度わかっていたはずだったのに……。
だがしかし、わからぬワードはその場で検索! と、デスクの下でスマホをいじっているのですが、なにぶん用語が独特すぎて欲しい情報にたどりつかない。
そんなわけで、とりあえずノートのすみっこにメモをして、ミーティング後に隣の席のいろいろ教えてくれる担当Nさんの仕事の邪魔をしながらしつこく質問する毎日を送っております

今回は一度聞いてもわからない独特なハーパーBOOKS共用語メモのなかから
その一部をご紹介したいと思います。


●AZ(えーぜっと)
「まずAZ入稿ですが、〇〇日までにお願いします」
はて、これはなんの頭文字なのか……。
ググって出てきたのは

AZアルクマール - オランダのプロサッカークラブ
AZ熊谷 - 熊谷駅の駅ビル
A-Zスーパーセンター - 鹿児島県のスーパーセンター
MLB・アリゾナ・ダイヤモンドバックスの略称
(wikipediaより)

……いやいや絶対違う!

ということで、ノート片手に聞いてみたところ、
いわゆる扉(1ページ目)と奥付(発行日や会社の情報が載っているページ)のことなんだそう。
なるほど、スタートをA、終わりがZ、と言われると納得ですね。
とうなずいていると、Nさん曰く、普通に使ってきたので意味を考えたこともなかった……そうです。
仕事用語なんてそんなものです。

●ブラーブ
「つぎにブラーブの締め切りですが――」
ぶらーぶ…手元の資料を見ると帯ブラーブ、ショートブラーブとあります。
これはいわゆる宣伝文句やあらすじってやつにあたります。
今度出る本がどんな内容でどう面白いのかを読者のみなさんにお伝えするため、限られたスペースと文字数でビシッとキメる、編集者の腕の見せどころですね。
……ていうかあらすじでええやん。という言葉はぐっと飲みこんで、これからドヤ顔で使いますよ、ブラーブ。
ブラーブの女王って称号、なんかかっこいい。

●JK(じぇーけー)
「このタイトルのJKについてですが……」
念のためですが、女子高生のことではありません(若干古いがお約束)。
JKとはジャケット、日本でいうカバーのことです。
英語でCOVERは表紙、カバーをとった状態のあれのことを指します。
本に着せる=ジャケットっていう認識なんでしょうかね。

海外では安くて軽いペーパーバックが一般的なので(最近は電子書籍もですね)、高額なハードカバー以外はほとんどJKはついていません。
なので、海外で「本のカバー」と言ったとて、デニーロポーズでスルーされるだけです(偏見)。
日本でもまれにJKがついていない形態の本もありますが、返品などの流通システムの都合上、JKは必須アイテムなんですね。
ちなみに重版出来!とか累計〇〇部!とか書いてある帯のことはWraparound(ラップアラウンド)なんて言ったりします。

そんなJK、わが社にも個性豊かな作品がたくさんあります。
ということで、ここからは個人的推し表紙をば……。

「毒見師イレーナ」

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今月刊行の最新刊で完結した大人気シリーズ。巻が進むにつれイレーナの表情に意志の強さが出てきてるんです。こちらのイラストを手掛けるのは、乃木坂46高山一実さんの「トラぺジウム」の表紙でもおなじみのたえさん。イレーナの瞳の奥の凛々しさにぐっと引き込まれるJKです。
※試し読みしてみたい、という方はコチラから↓

「怪奇日和」

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細かいところまでホラーみの強いアート、圧巻です。Alan Dingmanというデザイナー兼アーティストの作品で、こちらはアメリカ版原書の表紙を一目見た担当が「これでいくしかない!」となったそうです。この強いJKデザインに負けない4編の中編が収録されている本作は、ホラー読みにはたまらない1冊です!

JK買いしました!っていうのもうれしい誉め言葉ですので、そちらのご感想もお待ちしております!


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