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抽象と具体のはざま~KATインターン生に向けて

KATインターンは僕が主宰している大学生インターンです。詳しくはこちら。

昨年11月に参加した新メンバー(現2・3年生)が初期トレーニングを終えて、実践編に入りました。実践編では実際に社会人のお客様を相手にやり取りを全て自分たちで行い、ウェブサイトを制作し、納品して対価をいただいて分配するところまでやります。

先日、実践編初めての打ち合わせがありました。メンバーにはアウトプットでブログを書いてもらっています。印象的だった内容を引用。

現在ひとつめの案件に取り掛かっている真っ最中で、3人チームになって取り組んでいます。
そして内容は企画書の作り込みです。
3人で作った企画書を池田さんに見ていただいたのですが、いろいろな点を深く考えさせられました。
具体的には〇〇ってどういう意味?やそれぞれはどう考えてる?などです。
説明をするとなると、抽象的で頻繁に用いられスルーしがちなキーワードを、もっと具体的に自分の解釈を話さなければなりません。
この企画書に書いている本当の目的や公開日、そしてそのあとのメンテナンスの軸をくっきりさせてぶれないようにするために必要なんだなと思いました。
また池田さんにひとつひとつ確認されるたびになんかこんなことつい最近したばっかりだなぁ〜...と。
3つほど前の投稿にもありますが、ゼミで哲学を学んだときさんざん考えた“成長”の感じと私自身の考えるルートがほぼ同じでした。
哲学的対話がこんなにはやくインターンに繋がってくるとはとっても驚き、また実際に仕事としても基本のチーム間、お客様間の情報共有や意思疎通をより充実させるために、必要なのだと思いました。

別のメンバー。

インターンシップでは受け取った仕事情報の現状報告を踏まえてホームページを解説するにあたってターゲットは誰なのか、目的、サイトの雰囲気、コンセプトやコンテンツを1つ1つ考えていきました。
途中で池田さんが何度も仰っていたのが「それって本当にそうなのか?」でした。
深く考えてみると自分の思い込みで物事を決めていたりコンセプトと対象ターゲット層が微妙にずれてたりしてしまったことが何度かあって、改めて自分の当たり前を当たり前だと思わずに常に『問い』を持ち続けることの大切さを感じました。
↑これはゼミの哲学の授業で学んだのでしっかり教養で学んだことがインターンシップやビジネスの場面で使えるようになってワンランクアップです⤴️
哲学とかゼミでの教養は自分の考えていることに深みを与えたり新たな視点を与えてくれる重要な素材でただマーケティングの勉強をしているだけじゃ身につかないものだな、と思いました。
一瞬関係なくない?と思っていても実際にはめちゃくちゃ関係あることだったり活用できたりして無駄になるものなんてないんだなってことがすぐに身近で実感できて良かったです。

全員で6名のブログを読んで、僕から書き送ったのが次のメッセージ。

哲学にしても商売にしても、組織論にしても、実際の仕事でも活用できることを経験できるのもKATとかインターンの醍醐味かもね。ただし、社会人全員が今回みたいなコミュニケーション取るわけじゃないから、そこは気を付けて。特に、適切な方法で、適切な問いをできる社会人は、悲しいことにとても少ない。

「問い」って難しいんですよね。場の流れを一気に変える力もあり、壊す力もあり、全員を思考の渦に巻き込む力もあります。僕まだまだ。

続いて送ったのが次。

大切なことは主に3つ。

① 企画や提案の意味
今その瞬間には誰の頭の中にも具体的な解を示して、選んでもらわないといけない。お客様の頭の中を整理しただけでは企画提案とは言えない。相手も考えつかなかったような、もしくは、もやもやとしていたイメージを、適切なコンセプトやコンテンツとして編み出す。それが企画提案であり、仕事。
言われたことをやる、決められたことをやる、これは作業。
②創造性を発揮する
こうじゃないといけないとか、誰かがこう決めたからとか、そんなものはいったんゴミ箱に捨ててしまった方がいい。
絶対に正しい解はないが、文脈に沿った正しい解は存在する。自分なりの解にたどり着くには、誰もが必ず持っている創造性を発揮しようとすること。
③具体性を持つ
コミュニケーションの99%はほとんど誤解によって成り立っていると思ってよい。抽象レベルの話はより100%の誤解に近くなり、すれ違いばかりが起きる。くだらない争いも、人はわかり会えると思い込んでいたり、自分が正しいと思い込む所から始まる。
お客様も含めて協働するチームでは、ボタンの掛け違いを防ぐために、何気なく使っているコトバを具体化することで相互理解につながる。相互理解こそが、仕事の納得感にもつながる。

以前読んだ大人のための発達心理学について、アメリカ人の方が書いた本が印象的で(タイトル忘れてしまったので今度追記します…)、だいたい30歳ごろまでは抽象的な話が得意で、概念理解やシステム的な考え方がしやすい年齢なんだそうです。実際、著名な数学者も30歳手前で優れた業績を残しているのだとか。ちなみに、アインシュタインが相対性理論を唱えたのも26歳。

「最近の若いやつは・・・」みたいな言説ははるか昔、ギリシャ時代から言われていたことなので、抽象レベルが得意な20代までと、具体性を好む30代以上でかみ合うにはそれなりに相互理解が必要になります。

頭がやわらかい人は、いくつになっても抽象性の理解が速い気がします。そして、具体性にすぐさま落とし込み、「抽象と具体のはざま」に立っていて、両岸を行ったり来たりできます。

恐らくですが、僕の考えでは20代では自然に持っている創造性(抽象性にもつながる)をうまく具体化する習慣を、そして、30代以上では具体性の海から抽象性の空へと飛び出す習慣を身に付ければ良いのかな、と。

そんな思考回路は、トレーニング次第で何とかなると思っていて、学生にはインターンでの対話、社会人には"VTS(Visual Thinking Strategy)"が有効と思い、VTSは絶賛取り組み中です。こちらもそのうち書きたいな。

※ 本筋とは関係ないですが、国語力がやや弱い学生メンバーがいるので、こちらもトレーニング・プログラムを個別に組んでトライすることになりました。半年くらいでどう変わるかな。

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